Legacy NVIDIA Graphics Drivers 470 のサポート方針再検討
以前 Legacy NVIDIA Graphics Drivers 470 のサポートを終了するとのアナウンスが出されていましたが、この方針が再検討されます。サポート終了のアナウンス
以前紹介したサポート終了のアナウンスや関連する内容は、以下を参照してください。古い NVIDIA GPU の扱い
アナウンスの通り NVIDIA Graphics Drivers 470 のサポートが終了し、NVIDIA Graphics Drivers 470 を利用していたユーザーは、アップデートを通じて NVIDIA Graphics Drivers 535 に移行することになりました。NVIDIA Graphics Drivers 470 は Kepler 世代 の NVIDIA GPU をサポートする最後のドライバーであり、古い NVIDIA GPU を利用しているユーザーは、Nouveau ドライバーに移行することになります。
しかし Nouveau ドライバーは NVIDIA GPU ドライバーよりも性能や機能面で劣っています。
その理由や背景の一部は、以下を参照してください。
そのためユーザーによっては引き続き NVIDIA Graphics Drivers 470 を使いたいと考えるのも自然ですし、Ubuntu をアップグレードではなくアップデートしただけで、今まで動作していた機能が動作しなくなる状況を受け入れにくい心情も理解できます。
諦める者、受け入れる者、反発する者、何とかしようとする者
多くのユーザーが影響を受けており、方針の再検討を求めています。- Nvidia 470/470-server fails to build on kernel 6.17 HWE
- Latest Update Breaks Systems Using Nvidia 470
そもそも NVIDIA GPU ドライバーは、NVIDIA が開発しリリースしているドライバーです。
Ubuntu はそれをパッケージングして Ubuntu ユーザーに提供しています。
そして NVIDIA Graphics Drivers 470 はすでにサポートが終了しから何年も経過しており、新しいバージョンの Linux kernel に対応していくには、別途継続的な追加作業が必要になります。
言い換えると Ubuntu 側の誰かが継続的にメンテナンスとテストを実施し、デスクトップ全体の安全性や信頼性を確保していく負担を担うことになります。
しかもメンテナンスといっても NVIDIA GPU ドライバーはプロプライエタリーなドライバーですから、その範囲や出来ることには限度があります。
今回のようにユーザーが Ubuntu に矛先を向ける出来事は、以前からしばしば見かける現象です。
これはそもそも Ubuntu のユーザー数の規模が大きく、加えて今回の件で言えば NVIDIA GPU のユーザー数の規模も大きく、それらの相乗効果によってユーザーに対する影響範囲が広範に広がるため、今回のような出来事に繋がりやすくなります。
中上級者のユーザーであれば、新しいバージョンの Linux kernel に対応できるよう自分でパッチを適用するといった対症療法がありますが、皆が出来ることではありません。
- 470 しか使われへんユーザーを切り捨てるんか
- 535 使え言われても、うちの GPU は 470 が最後やねん
- 移行しろ言われても移行先なんかあらへんやん
- 470 は NVIDIA が EOL にしたから Ubuntu としても保守できへんと説明しとるけど、ユーザーからしたら事情は分かるけど、それで終わりはあんまりや
- LTS やから安心してたのに、アップデートしただけで画面映らんようになるとか何考えとるんや
- もっと前から知らせるべきやったやろ
- アップデートする間に警告くらい出せたやろ
- 他所のディストリやったら 470 動いとるやん?非公式パッチ当てたらビルドできるやん?技術的に無理なんやなくて、Ubuntu が面倒見んことにしただけちゃうんか
その一方で理解を示すユーザーや、対処方法を模索するユーザもいます。
- NVIDIA が保守やめた以上しゃあない
- Ubuntu だけ責めてもどうにもならん
- 説明してくれてありがとうな!
- 6.8 カーネルに戻して使うことにしたわ
- 全部 NVIDIA があかん気がしてきた
- 全部 NVIDIA があかんねんな
問題の主体
NVIDIA Graphics Drivers 470 をアップデートしたら移行先の NVIDIA Graphics Drivers 535 がインストールされ、NVIDIA Graphics Drivers 535 がサポートしていない Kepler 世代以前 の NVIDIA GPU が動作しなくなり、結果ユーザーのデスクトップも以前のように動作しなくります。しかしアップデート実行前にユーザーに事前告知のようなメッセージも出ないため、ユーザーから見るとこの結果はリグレッションであり、今回のような混乱に繋がりました。
NVIDIA Graphics Drivers 535 がサポートしていない NVIDIA GPU を搭載した環境では、事前にその旨を示すメッセージや案内を表示したり、自動的に Nouveau ドライバーに移行したり、本来のサポート無しで引き続き NVIDIA Graphics Drivers 470 を提供するなど、ユーザーの混乱をなるべく回避できるような移行手続きが必要だったのかもしれません。
サポート方針再検討
さて2026年6月18日に、Legacy NVIDIA Graphics Drivers 470 のサポート方針が再検討されることになりました。そもそもこの問題は、対応しない問題としてクローズされていました。
しかし Ubuntu の SRU Team ミーティングでこの件について議論され、この問題のステータスがクローズから Confirmed 及び Critical(致命的な問題)に変更されました。
今回のステータスを変更した理由に、以下の内容が挙げられています。
- 今回の方針により、特定のハードウェアを使用している一部のユーザーに対し、Ubuntu のサポート期間中に不用意な問題を引き起こしてしまっている
- このドライバーに既知の深刻な脆弱性がなく、引き続きこのドライバーを提供できない技術的な理由がない
- 提供方法が署名付きカーネルパッケージの一部ではなく、DKMS 版のみになるとしても提供する方法がある
ただし本件のキーとなるチームには Ubuntu Kernel Team もあり、SRU Team だけではありません。
そのため Ubuntu Kernel Team にも再検討の判断を求めることになります。
現時点でこれ以上の進展はありませんが、今後何かしらのアクションが出てくると思います。
