ボリュームの空き領域のデータを完全に消去する
「Nautilus Wipe」からボリュームの空き領域のデータを完全に消去することができます。前回紹介した方法は、削除するファイルを選択してファイルのデータを消去する方法でした。
「Nautilus」からファイルを削除(ゴミ箱を空にする)と、ユーザーがファイルにアクセスできなくなり、消去するファイルが選択できなくなります。
しかし、ボリュームの空き領域のデータを完全に消去することで、それらのファイルに残っていたデータを完全に消去することができます。
注意
ボリュームの空き容量が多い場合、データの消去に時間がかかります。またルートボリュームの空き領域のデータを消去する場合、処理が完了するまでボリュームの空き領域が0になるため、他のアプリの動作に支障が出る場合があります。
1.ボリュームの選択
空き領域のデータを消去したいボリュームを表示します。2.ファイルの削除画面の表示
「Nautilus」のファイル一覧の適当な場所を右クリックし、表示されるメニューから「Wipe available diskspace」をクリックします。3.削除の確認とオプションの設定
以下のように空き領域のデータ消去の確認画面が表示されます。また、削除オプションの設定を行うこともできます。
Options
削除オプションを表示します。 (「4.」)通常削除オプションを変更する必要はありません。
「Wipe available diskspace」ボタン
空き領域のデータ消去を実行します。「キャンセル」ボタン
空き領域のデータ消去を中止します。4.削除オプションの設定
「Options」をクリックすると、削除オプションの画面が表示されます。Number of passes
空き領域のデータをランダムデータで書き変える回数や方法をメニューから選択します。通常はデフォルトの2が良いでしょう。
38 (Gutmann method for old disks)
グートマンメソッドによるデータの書き換えを38回行います。グートマンメソッドは、HDD表面の磁気解析によるデータの復旧を防ぐメソッドです。
38回書き換えを行うため、時間がかかります。
この方法は古いHDDで使用する方法です。
おおよそ2002年ぐらいまでに発売されたHDDが対象です。
新しいHDDでは、この方法は推奨されません。
2 (advised for modern hard disks)
2回書き換えを行います。1回目は0xFFでデータを書き換え、2回目にランダムデータでデータを書き換えます。
HDD表面の磁気解析によるデータの復旧も防ぐことができます。
1 (only protects against software attacks)
1回書き換えを行います。ランダムデータでデータを書き換えます。
HDD表面の磁気解析によるデータの復旧は防ぐことができませんが、ソフトウェアによるデータの復旧は防ぐことができます。
Fast and insecure mode (no /dev/urandom, no synchronize mode)
チェックをオンにすると、空き領域のデータ消去にかかる時間を軽減します。ただしセキュリティー強度は落ちるため、データを復旧できる可能性が出てくるかもしれません。
ランダムデータの生成は擬似乱数生成を利用するため、乱数を予測される可能性があります。
また、ランダムデータがHDDに確実に書き込まれているか確認を行いません。
Last pass with zeros instead of random data
最後のデータの書き換えをランダムデータによる書き換えではなく、「0x00」による書き換えにします。これもセキュリティー強度が落ちますが、空き領域のデータ消去にかかる時間を軽減します。
5.パスワードの入力
空き領域のデータ消去は「root」で実行する必要があります。以下の画面が表示されるので、管理者ユーザーのパスワードを入力し「認証」ボタンをクリックします。
6.ファイルの削除
以下の画面が表示され、ファイル削除の進捗が表示されます。「キャンセル」ボタンをクリックすると以下の画面が表示され、処理を中止することができます。
「Resume operation」ボタン
処理を続行します。「Cancel operation」ボタン
処理を中止します。ただし即座に中止することはできません。
7.空き容量の警告
環境によっては、以下の画面が表示されます。これは空き領域のデータ消去する際、空き領域に空き領域分のファイルを作成しデータの消去を行うため、処理が完了するまでボリュームの空き容量が0になるためです。
そのまま放っておいてください。
8.ファイルの削除完了
ファイルの削除が完了すると、以下の画面が表示されます。「閉じる」ボタンをクリックして完了です。
ファイルの削除に失敗した場合
ファイルの削除に失敗した場合は、以下の画面が表示されます。「Details」をクリックすると、失敗した内容の詳細が表示されます。
この例では処理を中止したため、上記の内容が表示されています。