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Ubuntu 32bit版の廃止に向けて

Ubuntu 32bit版のサポートをいつまで続けるのか、あるいはどのように終息させていくのか、「ubuntu-devel/ubuntu-devel-discuss」メーリングリストで議論が行われています。



以前紹介した以下の話の続きなのですが、もっと踏み込んだ内容になっています。


32bit版どうしよう?

Ubuntu 18.04及びそれまでに我々はどうするべきか、この話をもう一度させて欲しい。
2018年は以下のような状況になっているだろう。

・サードパーティー(ISV)が32bit版(i386)のサポートをやめて2年以上経つだろう。
例えば「Google Chrome」や「ZFS」、「Docker」は32bit版のOSをサポートしていない。

・UbuntuデスクトップもUbuntuサーバーも、ソフトウェアの開発、テスト、及びデプロイは、64bit(amd64)の環境でのみ行われる。

そして2018年、我々は32bit版のセキュリティーサポートを実用的に提供できるのだろうか。
実際に世の中の32bitのハードウェアがなくなる、あるいは、使われなくなる前にアップストリームのソフトウェアのサポートはなくなり、アップストリームのセキュリティーサポートもなくなる。

32bit版のユーザー数を減らしていきたい&64bit版に移行して欲しい

今から2018年までに、32bit版を新規にインストールするユーザーの数を減らしていくことは合理的だろう。
我々は32bit版から64bit版への既存の環境を引き継いだ確実なアップデート方法を提供できないためだ。

我々は引き続き32bit版のソフトウェアの提供を行わなければならないが、それはmultiarchと32bit版しか提供していないサードパーティーのアプリケーションをサポートするためだ。(スカイプなど)

タダじゃない

32bit版のディスクイメージの作成は"タダ"ではない。

ビルド環境の構築やQA(テスト)及び検証にかかるコストがある。
我々のビルド環境は拡張性があり柔軟な対応ができるとはいえ、32bit版を提供するには、すべての32bit版のパッケージ、autopackageテスト、ディスクイメージが要求される。
我々のインフラ上で繰り返し検証しなければならない。
同様に、ミラースペースもネットワーク帯域も必要になる。

従って質問は、32bit版のサポートを切る前に我々は何が出来るのだろうのか、そして32bit版を新規にインストールするユーザーの数を減らしていくためにはどうすれば良いのか、ということである。

こんな計画はどうだろうか

草案だけど、以下のような計画はどうだろうか。

Ubuntu 16.10、Ubuntu 17.04、Ubuntu 17.10

  • 32bit版しか提供していないアプリをサポートするため、64bit版向けに32bit版のソフトウェアをサポートする。
  • 32bit版の「d-i」と「netboot installer」のビルドは引き続き行う
  • 32bit版のLinuxカーネルのビルドは引き続き行う
  • 32bit版のcloud-imagesのビルドは引き続き行う
  • 「Ubuntuデスクトップ」のディスクイメージは提供しない
  • 「Ubuntuサーバー」のディスクイメージは提供しない

Ubuntu 18.04 LTS

  • 32bit版しか提供していないアプリをサポートするため、64bit版向けに32bit版のソフトウェアをサポートする。
  • 32bit版の「d-i」と「netboot installer」を提供しない
  • 32bit版のLinuxカーネルを提供しない
  • 32bit版のcloud-imagesを提供しない
  • 「Ubuntuデスクトップ」のディスクイメージは提供しない
  • 「Ubuntuサーバー」のディスクイメージは提供しない

Ubuntu 18.10以降

  • 32bit版のソフトウェアの提供をやめる
  • 32bit版しか提供していないアプリは、snapやコンテナー、仮想マシン上で動作させる

この計画は、32bit版が提供されている「Ubuntu 16.04」のサポート期間が終了する2021年4月に32bit版が終わりになるということ、そして、「Ubuntu 18.04」のサポート期間が終了する2023年4月に古い32bit版のアプリを動作させるために必要なソフトウェアとそのセキュリティーサポートが終わるということを意味する。

軽量系フレーバーにおける懸念

「Lubuntu」や「Xubuntu」など軽量系のフレーバーは、メモリー使用量を抑えハードウェアの性能がそれほど高くないPCや、OSのメモリーの消費を抑えたいPC向けによく利用されます。
64bit版のOSのメモリー使用量は、32bit版よりも増加します。
そのため、軽量系のフレーバーへの影響が懸念されています。


ライブメディアから起動した各OSで、メモリーの使用量の統計が取られています。


Lubuntu 32bit版とLubuntu 64bit版の比較で見ると、Firefox使用時に120MiB強のメモリーの使用量の差がでています。
搭載メモリーが少ない環境では、大きな差になるでしょう。

小型のIoTデバイスでは

Mark Shuttleworth氏から、ハードウェアリソースが制限される小型のIoTデバイスについても考慮が必要との指摘がなされています。


非常に小型のIoTデバイスで32bit版のソフトウェアが広く使用されていないか把握する必要がある。
非常に小型のIoTデバイスをターゲットにしている開発者達にとって、32bit版のソフトウェアは重要だ。

PCやラップトップに関して32bitを取り巻く環境は理解できるが、小型の組み込み環境で32bit版のソフトウェアが使われていても驚かない。

小型のIoTデバイスの分野も視野に入れ、再度議論を行って欲しい。

あくまで草案

上記は草案なので、枝葉に分かれた細かな内容を提示しているわけではありません。
またこの件は、決定事項ではありません。(だからこそ、議論が行われている)

何をいつまでにどうするのかは、変化する可能性が十分にあります。
多くのユーザーが32bit版はもう必要ないとの声を上げれば、早々に32bit版は無くなるでしょうし、それでは困るという声を多く上げれば、その内容に応じた変化があるでしょう。

今現在32bit版のUbuntuやフレーバーを利用しているユーザーに向けて、以下でアンケートが実施されます。


フレーバーも事情は同じ

もしUbuntuで32bit版のソフトウェアのサポートがなくなった場合、リポジトリーからも32bit版のソフトウェアが無くなります。

そのため、フレーバーは32bit版もOSを提供できなくなります。
フレーバーは開発や保守のプロセスにおいて、多くの部分をUbuntuのリソースに頼っています。
従ってフレーバーが独自に32bit版を提供するには相応のコストが必要になり、現実的ではないでしょう。

派生ディストリビューションも事情は同じ

同様にUbuntuのリソースに頼っているUbuntuの派生ディストリビューションも事情は同じです。
それらのコストを十分に払う余地があるディトリビューションなら32bit版の提供も可能ですが、実現は困難でしょう。


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