Ubuntu Touch OTA-16がリリースされました
2021年3月15日、「Ubuntu Touch OTA-16」がリリースされました。Ubuntu Touchとは
「Ubuntu Touch」は、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイス向けのOSであり、ユーザーのプライバシーと自由を尊重するOSです。UbuntuベースのOS
「Ubuntu Touch」は「Ubuntu」ベースで開発されているOSであり、開発は「UBports」コミュニティーにより行われています。モバイルのUXとデスクトップのUX
外部ディスプレイとキーボード、そしてマウスをモバイルデバイスに接続すれば、UIがデスクトップ向けのUIに変化し、デスクトップとして活用することもできます。つまり1つのモバイルデバイスで、モバイルのUXとデスクトップのUXを利用することができます。
Ubuntu Touchがサポートしているデバイス
「Ubuntu Touch」がサポートしているデバイスや、各デバイスで利用可能な機能及び制限は、以下を参照してください。Ubuntu Touchインストーラー
「Ubuntu Touch」は「UBports Installer」を利用してインストールします。「UBports Installer」は、「Windows」「macOS」「Linux」に対応しています。
「UBports Installer」の使い方は、以下の動画を参考にしてください。
Ubuntu Touch OTA-16
「Ubuntu Touch OTA-16」は「UBports」による「Ubuntu Touch」の16回目のアップデートです。アップデート対象デバイス
「Ubuntu Touch OTA-16」は、以下のデバイス向けにリリースされています。以下のデバイスを利用しているユーザーは、来週までにアップデートが提供されます。
- LG Nexus 5
- OnePlus One
- FairPhone 2
- LG Nexus 4
- BQ E5 HD Ubuntu Edition
- BQ E4.5 Ubuntu Edition
- Meizu MX4 Ubuntu Edition
- Meizu Pro 5 Ubuntu Edition
- BQ M10 (F)HD Ubuntu Edition
- Nexus 7 2013 (Wi-Fi and LTE models)
- Sony Xperia X
- Sony Xperia X Compact
- Sony Xperia X Performance
- Sony Xperia XZ
- Sony Xperia Z4 Tablet
- Huawei Nexus 6P
- OnePlus 3 and 3T
- Xiaomi Redmi 4X
- Google Pixel 3a
- OnePlus 2
- F(x)tec Pro1
- Xiaomi Redmi Note 7
- Xiaomi Mi A2
- Volla Phone
- Samsung Galaxy S3 Neo+ (GT-I9301I)
- Samsung Galaxy Note 4
PinePhone/PineTabについて
「PinePhone」及び「PineTab」向けのアップデートは、上記デバイスとは別にリリースされます。また「PinePhone」及び「PineTab」向けの「Stableチャンネル」では、「OTA-16」の名称(ラベル)が付いたアップデートは提供されません。
新しいデバイスのサポート
「Ubuntu Touch OTA-16」で以下のデバイスが新たにサポートされました。- Samsung Galaxy S3 Neo+ (GT-I930I)
サポート対象になったデバイスは、「Stable」チャンネルからアップデートを受け取れるようになります。
チャンネルの設定画面は、以下の手順で呼び出せます。
- System Settings -> Updates -> Update Settings -> Channels
またサポート対象になったデバイスは、「UBports Installer」を利用して「Ubuntu Touch」をインストールすることも可能です。
デバイスのサポート改善
「Qt 5.12」の採用により「gst-droid」を統合できるようになり、32bitの「Android 7」デバイスで録画がサポートされました。新しい「GStreamer」の採用により「PinePhone」のカメラでハードウェアアクセラレーションが有効になりました。
「Sony Xperia X」で録画がサポートされ、「OnePlus 3」及び「Sony Xperia X」で通話音が大きすぎる問題が修正されました。
また「Xperia X」ではバッテリーの持ちが改善され、電源ボタンや電話、メッセージで常にデバイスが復帰するなど安定性が向上しています。
「Snapdragon 835」及び「Snapdragon 845」デバイスのフラッシュライト制御がサポートされました。
「Android 9」デバイスでモバイルデータ向けSIMを切り替える際、特定の状況で発生する問題が修正されました。
Qt 5.12.9へアップグレード
インストールされる「Qt」のバージョンが「Qt 5.9.5」から「Qt 5.12.9」へアップグレードされました。「Qt 5.9」から大きくバージョンアップし、「Ubuntu Touch」や「Lomiri」で活用可能な多数の新機能の導入や改善が行われています。
「Qt」は「Ubuntu Touch」を支える非常に重要なコンポーネントであり、モバイル及びデスクトップ向けのソフトウェアを開発する際「Qt」の移植性により、開発コストを大幅に抑えることができます。
長期サポート版
「Qt 5.12」はLTSリリースであり、「Qt 5.12」にアップグレードしたことで「Qt」の長期サポートを受けられるようになりました。Ubuntu 20.04 LTSへの移行を見据える
現在開発チームは「Ubuntu Touch」のベースOSを「Ubuntu 16.04 LTS」から「Ubuntu 20.04 LTS」へ移行させる作業を行っていますが、「Qt 5.12」の採用はこの移行作業の大きな手助けとなります。Morph Browser
「Morph Browser」はデフォルトのブラウザーです。ダウンロードのUX改善
ファイルのダウンロードの開始時及び完了時、今までは全画面でページが表示されユーザーのブラウジングを妨げていましたが、ヘッダーバーのアイコンでダウンロードの進捗を通知するように改善されました。ダウンロード完了時、アイコンが青色に変わり震える演出がなされるようになりました。
最近のダウンロード
ダウンロードの履歴を表示する「Recent Downloads」パネルを利用できるようになりました。このパネルでは現在のブラウジングセッションで開始したダウンロードの一覧が表示されます。
最近閉じたタブを開く
タブ管理ページに最近閉じたタブを再度開くコントロールが追加されました。その他の改善
- カスタムユーザーエージェントの再有効化
- 位置情報のアクセスを常に拒否する(Always Deny)チェックボックスが追加されました
- ページのズーム設定がユーザーの設定に従わない不具合が修正されました
- タブの高さが増やされ、タッチ・クリック操作の操作性が向上しました
- ウィンドウの幅より高さのほうが長い場合、ブラウザーが回転しなくなりました
Oxideの削除
以前から何度か紹介されているように、ついに「Ubuntu Touch OTA-16」で「Oxide」が削除されました。ウェブレンダリングエンジン
「Oxide」は「Canonical」の「Ubuntu for Devices」プロジェクトで開発された「Chromium」ベースの古いウェブレンダリングエンジンです。2018年10月12日にリリースされた「Ubuntu Touch OTA-5」で、デフォルトのウェブレンダリングエンジンが「Oxide」から「QtWebEngine」に変更されました。
その日以来開発チームはアプリの開発者に「Oxide」や「Ubuntu.Web」を使用しないように案内していました。
Oxideに直接依存しているアプリは動作しない
これにより「Oxide」に直接的に依存しているアプリは動作しなくなります。一方で「Ubuntu.Web」をインポートしているアプリは引き続き動作する可能性はありますが、何かしら問題が発生する可能性もあります。
Anboxインストーラーのプリインストール
「Ubuntu Touch」に「Anbox」インストーラーが含まれるようになりました。「Anbox」に対応したデバイスでは、「Ubuntu Touch」のルートファイルシステムを修正することなしに「Anbox」を利用できます。
「Anbox」に対応したデバイスの一覧は、以下を参照してください。
またアップデート毎に「Anbox」のインストール環境が壊れないようになりました。
Anboxをインストールするには
「Anbox」自身がデフォルトでインストールされている、ということではありません。「Anbox」を利用するにはまずインストーラーを実行し、「Anbox」をインストールしてください。
「Anbox」のインストール方法は、以下を参照してください。
その他の改善
その他の改善です。メッセージングアプリ
デフォルトのメッセージングアプリがイメージのアニメーションに対応しました。録音と再生
コアアプリ上で横断的にオーディオの再生や録音を行う際に発生する問題やタイミングに関する問題が修正されました。UIの改善
「Morph Browser」や「system-settings」では、「Update Settings」ペインが画面下部からヘッダーバーに移動するなどUIが改善されています。Ubuntu Touch OTA-16をインストールするには
「Ubuntu Touch OTA-16」をインストールする方法です。1.stableチャンネルでUbuntu Touchを利用している場合
現在「stable」チャンネルですでに「Ubuntu Touch」を利用している場合、「System Settings」の「Updates」画面から「Ubuntu Touch OTA-16」へアップデートできます。ただしアップデートはリリース日から2021年3月22日にかけてランダムに提供されるため、デバイスによってアップデートを受け取れる時期が異なります。
これはアップデートに問題が見つかった際に、ユーザーへの影響を軽減するための措置です。
即座にアップデートを適用したい場合
即座にアップデートを適用したい場合、まずデバイスのADBアクセスを有効にします。次に「adb shell」上で以下のコマンドを実行します。
sudo system-image-cli -v -p 0 --progress dots
2.Ubuntu Touchを新規にインストールする場合
「Ubuntu Touch」を新規にインストールする場合、以下を参考にして「Ubuntu Touch OTA-16」をインストールしてください。不具合を見つけた時は
不具合を見つけた時は、まず以下のドキュメントに目を通し不具合の報告方法を確認してください。また同様の不具合がすでに報告されていないか、以下で確認してください。