Recursiveマージストラテジーで、現在のファイルの差分を優先してマージする
「Recursiveマージストラテジー」では、現在のファイルの差分を優先してマージすることができます。これを利用すると、コンフリクトが発生した差分は、常に現在のブランチ(HEAD)のファイルの差分が優先されるようになります。
コンフリクトが発生しなかった差分は、通常通りマージされます。
マージコンフリクトの発生状況
比較のため、まず通常のマージで発生する「マージコンフリクト」の中身を見てみます。1.ブランチの確認
現在のブランチ構成を確認すると、以下のようになっています。現在のブランチは、「master」ブランチであることが分かります。
同様に、「HEAD」は「master」ブランチを指していることが分かります。
ここでは例として、「master」ブランチに「fix」ブランチをマージします。
2.ブランチの状態
ブランチの状態を図にすると、以下のようになります。3.masterブランチのcommon.txtの中身
「master」ブランチのcommon.txtの中身は、以下のようになっています。4.fixブランチのcommon.txtの中身
「fix」ブランチのcommon.txtの中身は、以下のようになっています。5.マージを行う
「master」ブランチに「fix」ブランチをマージします。マージすると、以下のように「common.txt」ファイルで「マージコンフリクト」が発生します。
6.common.txtの中身
「マージコンフリクト」が発生した「common.txt」ファイルの中身を見ると、コンフリクトが発生した差分に「コンフリクトマーカー」が挿入されています。現在のファイルの差分を優先してマージする
上記の例を利用して、現在のファイルの差分を優先してマージしてみます。上記の「4.」までは同じです。
5.マージを行う
コマンドのオプションは、以下のオプションを指定します。ショートオプション | ロングオプション | オプションの値 |
---|---|---|
-X | --strategy-option= | ours |
「端末」から、以下のコマンドを実行します。
コマンドの詳細は、「ファイルのマージを行うコマンドの説明」を参考にしてください。
ポイントは、赤字の箇所です。
git merge --verbose --strategy=recursive --strategy-option=ours fix
6.コミットメッセージの入力
「3ウェイマージ」によるマージが行われ、かつ、「マージコンフリクト」が発生した差分は、現在のファイルの差分を優先して適用します。従って自動的に「マージコンフリクト」が解消されるため、「マージコミット」が行われます。
通常のコミットと同様に「コミットメッセージ」を入力します。
「コミットメッセージ」を入力したら、ファイルを上書き保存してテキストエディターを終了します。
7.コマンドの実行結果
「3ウェイマージ」によるマージの結果が表示されます。「Recursiveマージストラテジー」でマージを行ったと表示されています。
8.common.txtファイルの中身
上記の例で「マージコンフリクト」が発生した「common.txt」ファイルの中身は、以下のようになっています。9.マージ後のブランチの確認
マージ後のブランチを確認すると、以下のようになっています。「master」ブランチのブランチヘッドが指す「コミットオブジェクト」の識別子は、「マージコミット」で生成した「コミットオブジェクト」を指しています。