Recursiveマージストラテジーで、Diffアルゴリズムを指定してマージする
「Recursiveマージストラテジー」では、ファイルの差分の生成に使用するDiffアルゴリズムを指定して、マージを行うことができます。通常のマージでミスマージが多い場合は、他のDiffアルゴリズムを使用したマージを利用してみるとよいでしょう。
ミスマージとは、マージされたファイルの中身が、ユーザーが期待した中身にならないことを意味します。
指定できるDiffアルゴリズム
指定できるDiffアルゴリズムは以下のとおりです。- default
- patience
- minimal
- histogram
- myers
1.default
ユーザーが「diff.algorithm」設定で指定したDiffアルゴリズムを使用します。設定を行っていない場合、「myers」が使用されます。
2.patience
Patience Diffアルゴリズムを使用します。3.minimal
差分を可能な限り細かい集まりで生成します。4.histogram
「patience」を拡張したDiffアルゴリズムで、「patience」と同様の性質を持ちます。加えて、「patience」よりも高速に動作します。
5.myers
デフォルトのDiffアルゴリズムです。どのDiffアルゴリズムを選ぶのか
どのDiffアルゴリズムを選ぶと良いマージ結果になるかは、実際に試して確認したほうが良いです。デフォルトのDiffアルゴリズムである「myers」でミスマージが多い場合は、「patience」や「histogram」を試してみるとよいでしょう。
コマンドの実行例
コマンドの実行例です。ここでは例として、「histogram」を指定します。
1.ブランチの確認
現在のブランチ構成を確認すると、以下のようになっています。現在のブランチは、「master」ブランチであることが分かります。
同様に、「HEAD」は「master」ブランチを指していることが分かります。
ここでは例として、「master」ブランチに「fix」ブランチをマージします。
2.ブランチの状態
ブランチの状態を図にすると、以下のようになります。3.マージを行う
コマンドのオプションは、以下のオプションを指定します。ショートオプション | ロングオプション | オプションの値 | Diffアルゴリズムの指定 |
---|---|---|---|
-X | --strategy-option= | diff-algorithm= |
|
「端末」から、以下のコマンドを実行します。
コマンドの詳細は、「ファイルのマージを行うコマンドの説明」を参考にしてください。
ポイントは、赤字の箇所です。
git merge --verbose --strategy=recursive --strategy-option=diff-algorithm=histogram fix
4.コミットメッセージの入力
「3ウェイマージ」によるマージが行われ、かつ、「マージコンフリクト」が発生しなかったため、「マージコミット」が行われます。通常のコミットと同様に「コミットメッセージ」を入力します。
「コミットメッセージ」を入力したら、ファイルを上書き保存してテキストエディターを終了します。
5.コマンドの実行結果
「3ウェイマージ」によるマージの結果が表示されます。「Recursiveマージストラテジー」でマージを行ったと表示されています。
6.マージ後のブランチの確認
マージ後のブランチを確認すると、以下のようになっています。「master」ブランチのブランチヘッドが指す「コミットオブジェクト」の識別子は、「マージコミット」で生成した「コミットオブジェクト」を指しています。