Ubuntu LTS Enablement Stack その4 - LTS Enablement Stackにより提供されるパッケージについて・lts-サフィックスが付かないパッケージ・Linux KernelとXサーバーのパッケージ

LTS Enablement Stackにより提供されるパッケージ

  「LTS Enablement Stack」により提供されるパッケージを見ていきます。

  サフィックス

    まずパッケージ名に共通するサフィックス（パッケージ名の後ろに付く名前）は、以下のようになります。

    lts-Ubuntuの開発コードの略名（全て小文字）
  
    従って以下のようになります。


    現時点でリリースされているUbuntuのバージョンは、Ubuntu 12.10とUbuntu 13.04です。
    この2つについてパッケージを見てみます。

  lts-quantal

    このサフィックスでパッケージを検索すると以下のパッケージが見つかります。
    デバッグ用のパッケージは除いています。

  lts-raring

    このサフィックスでパッケージを検索すると以下のパッケージが見つかります。
    デバッグ用のパッケージは除いています。

lts-サフィックスが付かないパッケージ

  上記でリスト化したパッケージは、「LTS Enablement Stack」により提供されるパッケージですが、中には「lts-開発コード」がつかないパッケージも存在します。

  例えばUbuntu 13.04で採用されているLinux Kernel 3.8のパッケージは、現時点のバージョンで「linux-image-3.8.0-31-generic」です。

  これらを個別にインストールしなければならないかというと、そんなことはありません。
  「lts-開発コード」が付くパッケージの中にメタパッケージが存在しています。

  「LTS Enablement Stack」のパッケージをインストールする場合は、このメタパッケージをインストールすることで必要なパッケージがインストールされる仕組みになっています。
  もちろんその中には、Linux Kernelのパッケージ等も含まれています。

  メタパッケージ

    メタパッケージは、Windowsで言えば、複数のインストーラーを束ねたインストーラーと言ったところでしょうか。

    メタパッケージは、個別にインストールするパッケージが多い時や、インストールするパッケージの選択ミスを回避するためによく使われるパッケージです。

    ただしメタパッケージはアンインストーラーとして利用することはできません。
    あくまでインストール用です。

Linux KernelとXサーバー

  「LTS Enablement Stack」により提供されるパッケージを大別すると、Linux Kernel及びXサーバーにわかれます。
  それぞれ個別にインストールする必要があります。

  これらをまとめてインストールするメタパッケージは存在しません。

  Linux KernelとXサーバーの組み合わせについて

    個別にインストールするという事は、Linux KernelとXサーバーのバージョンに複数の組み合わせが存在するという事です。

    Linux Kernelは複数のバージョンをインストールすることができ、どのバージョンのLinux KernelでUbuntuを起動するかは、ブートメニューで選択できます。

    一方Xサーバーは、1つのバージョンのみインストール可能です。
    異なるバージョンが共存することはできません。

    ということは、「Ubuntu 12.10のLinux Kernel」と「Ubuntu 13.04のXサーバー」というように、異なるUbuntuのバージョンの組み合わせが存在します。

    ただし、異なるUbuntuのバージョンのLinux KernelとXサーバーを組み合わせて利用することは、公式にサポートされた使い方ではありません。

    問題なく利用できるケースもあれば、何かトラブルが発生するケースもあります。
    このような異なるバージョンの組み合わせで利用することは避けましょう。

Linux Kernel

  「LTS Enablement Stack」により提供されるLinux Kernelのパッケージについて見てみます。
  ここでは、Ubuntu 13.04のLinux Kernel（lts-raring）を見てみます。

  Linux Kernelのメタパッケージ

    Linux Kernelのメタパッケージは、「linux-generic-lts-raring」です。


    このメタパッケージをインストールすると、「Linux Kernel 3.8」及び「Linux Kernel 3.8」のヘッダーがインストールされます。

  Linux Kernelのメタパッケージ（セキュアブート用）

    セキュアブート用のLinux Kernelのメタパッケージは、「linux-signed-generic-lts-raring」です。



    このメタパッケージをインストールすると、「Linux Kernel 3.8（セキュアブート用）」及び「Linux Kernel 3.8」のヘッダーがインストールされます。
 

  Linux Kernelのメタパッケージ（EOL）

    「EOL」とは「End Of life」の略で、サポート期間の終了のことを意味します。
    メタパッケージは、「linux-generic-lts-raring」です。


    このメタパッケージは、「LTS Enablement Stack」により提供されるUbuntu 13.04のLinux Kernelのサポート期間が終了した時に、Ubuntu 14.04のLinux Kernelへ自動的にアップデートするメタパッケージです。

    現状Ubuntu 13.04のLinux KernelはEOLではないため、このメタパッケージをインストールすると、「linux-generic-lts-raring」メタパッケージがインストールされます。

  Linux Kernelのメタパッケージ（EOL・セキュアブート用）

    こちらはセキュアブート用のLinux Kernelです。
    メタパッケージは、「linux-signed-generic-lts-raring-eol-upgrade」です。


    同様にEOLになったらUbuntu 14.04のLinux Kernelへ自動的にアップデートするメタパッケージです。

    現状Ubuntu 13.04のLinux KernelはEOLではないため、このメタパッケージをインストールすると、「linux-signed-generic-lts-raring」メタパッケージがインストールされます。

Xサーバー

  次に「LTS Enablement Stack」により提供されるXサーバーのパッケージについて見てみます。
  ここでは、Ubuntu 13.04のXサーバ（lts-raring）を見てみます。

  Xサーバーのメタパッケージ

    Linux Kernelのメタパッケージは、「xserver-xorg-lts-raring」です。

  EOL用のメタパッケージがない

    現状EOL用のメタパッケージが存在しません。
    Mirの採用でUbuntu 12.04とは大きく描画環境が変更されるためでしょうか？