BootInfoサマリの内容
「BootInfoサマリ」の内容を見てみます。MBRとGPTについて
MBRとGPTについてです。MBRとは
BIOS環境やMBR形式のパーティションテーブルにおいて、MBRは重要な役割を持っています。ブートマネージャーはMBRにあるブートローダーを経由して起動します。
MBRは1つのHDDに1つしかありません。
1つのHDDに複数のパーティションを作成し複数のOSをインストールすると、MBRは1つしかないため、MBRの取り合いが発生します。
このままでは各パーティションにインストールされたOSを、PCの起動時に切り替えて起動することができません。
そこで起動するOSを切り替える(選択する)役割を、ブートマネージャーが担います。
UbuntuではGRUB2がブートマネージャーに該当します。
ブートマネージャーは、リカバリーモードで起動するなどOSの切り替え以外の機能も持っています。
GPT
GPTは、MBR形式のパーティションテーブルを置き換える新しいパーティションテーブルの形式です。主にUEFI環境で利用されるパーティションテーブルの形式です。
MBR形式のパーティションテーブルでは扱えなかった2TBを超えるHDDを扱うことができます。
もちろん、2TB以下のHDDでも利用することができます。
MBR形式のパーティションテーブルと比較するとパーティションテーブルを複数持ち、障害に対して強くなっていたり、作成できるパーティション数が多いなど、従来あった制限がなくなっています。
モダンな設計になっています。
GPTとMBR
UEFI環境で利用されるGPTでは、MBRの役割が大きく異なります。MBRが持っていた役割は、UEFIが担っています。
UEFIで起動するOSを選択することができます。
とはいえブートマネージャーは健在で、OSを切り替える(選択する)機能を利用することができます。
GPTにおけるMBRは、GPTを認識できないディスク操作を行うアプリから、GPTパーティションを保護するために存在しています。
WindowsではこのMBRのことを「Protective MBR」と表現しています。
ハイブリッドMBR
GPTは2TB以下のHDDで利用することができ、また、MBRを持っています。この仕組みに着目し、MBRに有効な値を設定しMBRとしてもGPTとしても利用できるようにする仕組みがハイブリッドMBRです。
しかしOSによって解釈の仕方が異なるということと、本来持つGPTパーティションを保護する役割から逸脱するため、積極的に利用する仕組みではありません。
ここでは扱いません。
BIOSとGPT
BIOS環境では通常GPTからOSを起動することはできませんが、UbuntuではBIOS環境でもGPTからOSを起動する仕組みがあります。しかしよく利用される使い方ではないため、ここでは扱いません。
BootInfoサマリの範囲
ここで扱うBootInfoサマリの範囲は、以下の構成になります。- BIOS + MBR
- UEFI + MBR
- UEFI + GPT
1.Boot Info Summary
「Boot Info Summary」には、MBRの状態や、各パーティションのファイルシステムやインストールされているOSの状況が出力されます。1-1.各HDDのブートローダー
まず最初に、各HDDのブートローダーの情報が出力されます。以下は出力例です。
ブートローダーが検出できなかった場合
MBRがない場合や、MBRにブートローダーが存在しない場合です。
=> No boot loader is installed in the MBR of /dev/sda.
ブートローダーがGRUB2の場合
Ubuntuはこれに該当します。
=> Grub2 (v2.00) is installed in the MBR of /dev/sdb and looks at sector 1 of
the same hard drive for core.img. core.img is at this location and looks
in partition 1 for (,msdos1)/boot/grub.
the same hard drive for core.img. core.img is at this location and looks
in partition 1 for (,msdos1)/boot/grub.
ブートローダーがWindowsの場合
=> Windows 7/8/2012 is installed in the MBR of /dev/sda.
ブートローダーがSyslinuxの場合
ライブUSBがこれに該当します。
=> Syslinux MBR (4.04 and higher) is installed in the MBR of /dev/sdf.
1-2.各パーティションの情報
全HDD内の全パーティションの情報が、各パーティションごとに出力されます。各パーティションごとに以下の情報が出力されます。
File system
パーティションのファイルシステムです。以下は「File system」の一例です。
識別子 | ファイルシステム |
---|---|
vfat | FAT32 |
ext4 | Ext4 |
swap | Ubuntuのスワップパーティション |
ntfs | NTFS |
Extended Partition | MBR形式のパーティションテーブルの拡張領域 |
出力なし |
|
Boot sector type
パーティションのブートセクターの種類です。パーティションのブートセクターとは、PBR(パーティションブートレコード)のことです。
GRUB2では、PBRへのインストールが推奨されていないため、通常UbuntuがインストールされたパーティションではPBRがありません。
識別子 | 概要 |
---|---|
- | PBRなし |
SYSLINUX |
|
Windows 2000/XP: NTFS |
|
Windows XP: FAT32 |
|
Windows XP: NTFS |
|
Windows Vista: FAT32 |
|
Windows Vista: NTFS |
|
Windows Vista/7: NTFS |
|
Windows 7/2008: NTFS |
|
Windows 7/2008: FAT32 |
|
Windows 8/2012: NTFS |
|
Windows 8/2012: FAT32 |
|
Boot sector info
パーティションのブートセクターの情報です。パーティションのブートセクターとは、PBR(パーティションブートレコード)のことです。
このPBRのBPB(Boot Parameter Block / BIOS parameter block)の情報が出力されます。
パーティションのファイルシステムが「FAT」や「NTFS」の時に出力されます。
以下のように出力されれば、問題ありません。
No errors found in the Boot Parameter Block.
また、以下のようにPBPと「fdisk」で報告されたパーティションのセクターの開始位置の違いが出力されることがあります。
According to the info in the boot sector, sda1 starts at sector 0. But according to the info from fdisk,sda1 starts at sector 2048.
実際このパーティションは、「fdisk」で報告されたパーティションのセクターの開始位置が正しい情報なのですが、特に問題なく利用できています。
Operating System
インストールされているOSを出力します。OSがインストールされていない場合や、OSが検出できない場合は、何も出力されません。
Boot files
ブートマネージャーもしくはOSの起動に使用するファイルの一覧が表示されます。それらのファイルが存在しない場合は、何も出力されません。
以下は出力例です。
Ubuntu(BIOS + MBR)
/boot/grub/grub.cfg /etc/fstab
/boot/grub/i386-pc/core.img
/boot/grub/i386-pc/core.img
Ubuntu(UEFI + GPT)
/boot/grub/grub.cfg /etc/fstab
Windows 7 回復パーティション(BIOS + MBR)
/bootmgr /Boot/BCD
Windows 7(BIOS + MBR)
/bootmgr /Boot/BCD /Windows/System32/winload.exe
EFIシステムパーティション(Ubuntuのみ)
/EFI/ubuntu/MokManager.efi /EFI/ubuntu/grubx64.efi
/EFI/ubuntu/shimx64.efi
/EFI/ubuntu/shimx64.efi
EFIシステムパーティション(Ubuntu + Windows 8)
/EFI/Boot/bootx64.efi /EFI/ubuntu/grubx64.efi
/EFI/Microsoft/Boot/bootmgfw.efi
/EFI/Microsoft/Boot/bootmgr.efi
/EFI/Microsoft/Boot/memtest.efi
/EFI/Microsoft/Boot/bootmgfw.efi
/EFI/Microsoft/Boot/bootmgr.efi
/EFI/Microsoft/Boot/memtest.efi
Windows 8(UEFI + MBR)
/bootmgr /Windows/System32/winload.exe