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Ubuntu mdadm その29 - RAID 0とは・RAID 0アレイを作成するコマンドの説明

RAID 0

  「RAID 0」はストライピングとも呼ばれ、複数の物理ボリュームにデータを分散して保存します。
  個人で「RAID 0」を利用している人は多いのではないでしょうか。

  また、相性の良い「RAID 0」と「RAID 1」を組み合わせた「RAID 10」を利用している人も多いのではないでしょうか。


  パフォーマンスの向上

    複数の物理ボリュームにデータを分散して書き込み、読み込み時には複数の物理ボリュームから読み込むため、データの読み書きのパフォーマンスを向上させることができます。
    HDDが遅く、パフォーマンスを向上させたい時に利用されます。

  使用効率が高い

    物理ボリュームの使用効率が高いです。
    例えば200GBのHDD 2つで「RAID 0」を構築した場合、400GB(200GB * 2)のHDDとして利用できます。
    200GBのHDD 4つなら、800GB(200GB * 4)のHDDとして利用できます。

    ただし、200GBと300GBのHDDで「RAID 0」を構築した場合、500GBにはなりません。
    最も容量の少ない物理ボリュームのサイズに合わせるため、400GB(200GB * 2)のHDDとして利用します。

  信頼性は落ちる

    冗長性が無いため、アレイを構成する物理ボリュームが1つでも故障すると、データは利用できなくなります。
    HDD1台で運用している時よりも信頼性は落ちます。
    物理ボリュームの台数を増やせば増やすほど、信頼性は落ちていきます。

    従って、バックアップは非常に重要です。
    信頼性の低いメーカーのHDDや、信頼性の低いHDDのモデルの利用は、できるだけ避けましょう。

RAID 0アレイを作成するコマンドの説明

  「mdadm」コマンドの説明です。

  ショートオプションとロングオプションについて

    モードやオプションの記述方法には、「ショートオプション」と「ロングオプション」の2種類があります。
    どちらを利用しても良いでのですが、ここでは意味が分かりやすい「ロングオプション」を使用します。 

コマンドのフォーマット

  「mdadm」コマンドのフォーマットは以下になります。

  mdadm <モード> <論理ボリューム> <オプション> <アレイを構成する物理ボリューム>

モード

  モードは、「mdadm」の動作モードを指定します。
  アレイの作成なので、以下のモードを指定します。

ショートオプション ロングオプション 記述例
-C --create --create

論理ボリューム

  論理ボリュームのデバイスファイルを指定します。
  新規に論理ボリュームを作成するので、既存の論理ボリュームのデバイスファイルと重複しないデバイスファイルを指定します。

  デバイスファイルのフォーマット

    以下のフォーマットで指定すると良いでしょう。

      /dev/md/アレイの名称

  記述例

  • /dev/md/MyArray
  • /dev/md/Data
  • /dev/md/Backup

必須オプション

  指定するオプションには、必須のオプションと任意のオプションがあります。
  必須オプションは必ず指定してください。

  1.アレイの種類の指定

    「RAID 0」のアレイを作成するので、以下の指定を行います。

ショートオプション ロングオプション 記述例
-l --level --level=raid0

  2.アレイを構成する物理ボリューム数の指定

    アレイを構成する物理ボリューム数を指定します。
    3つの物理ボリュームでアレイを構築するなら、「3」を指定します。

ショートオプション ロングオプション 記述例
-n --raid-devices --raid-devices=3

任意のオプション(推奨)

  任意のオプションは指定しなくてもよいですが、指定を検討したほうが良いオプションを紹介します。
  アレイの使い勝手に影響するオプションです。
 

  1.チャンクサイズの指定

    「チャンクサイズ」の指定を行います。
    チャンクは、データの分割単位です。

    指定するチャンクサイズの単位は、「KiB」です。
    このオプションを省略した場合は、「512」が指定されたものと見なされます。

ショートオプション ロングオプション 記述例
-c --chunk --chunk=32

    単位の指定

      単位の指定を省略した場合は、上記でも記述した通り「KiB」が単位になります。
      以下のように単位を指定することも可能です。

単位の指定 単位 記述例 記述例の説明
単位の指定なし(省略) KiB --chunk=32 チャンクサイズに「32KiB」を指定する
M MiB --chunk=1M チャンクサイズに「1MiB」を指定する
G GiB --chunk=1G チャンクサイズに「1GiB」を指定する

任意のオプション

  指定しなくても良いオプションです。

  1.アレイ名の指定

    「アレイの名称」を指定します。
    このオプションを省略した場合、論理ボリュームのデバイスファイル名からアレイの名称が生成されます。
 
ショートオプション ロングオプション 記述例
-N --name --name=RAID0Array

  2.追加情報の表示

    「mdadm」実行時に、追加情報を表示します。

ショートオプション ロングオプション 記述例
-v --verbose --verbose

  3.メタデータフォーマットの指定

    「メタデータ」(スーパーブロック)のフォーマットを指定します。

    このオプションを省略した場合、デフォルト値が指定されたものとして扱われます。
    Ubuntu 13.10では、デフォルト値は「1.2」です。

ショートオプション ロングオプション 記述例
-e --metadata --metadata=default

    指定できる値は以下のとおりです。

メタデータのバージョン 記述例
0.90 --metadata=0.90
1.0 --metadata=1.0
1.1 --metadata=1.1
1.2 --metadata=1.2
デフォルト値 --metadata=default

  4.ホームホストの指定

    ホームホストを指定します。

ショートオプション ロングオプション 記述例
なし --homehost --homehost=myHost

アレイを構成する物理ボリューム

  アレイを構成する物理ボリュームのデバイスファイルを指定します。
  各物理ボリュームのデバイスファイルは、スペースで区切ります。

    /dev/sdd1 /dev/sde1 /dev/sdf1

  globによる記述

    物理ボリュームのデバイスファイルの指定は、globに対応しています。
    例えば上記の記述は、以下のように記述することもできます。

    /dev/sd[d-f]1
    /dev/sd[def]1


mdadm
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