Plymouth
「Plymouth(プリムス・プリマス)」は、Ubuntuの起動時や終了時にスプラッシュスクリーンを表示するソフトウェアです。Ubuntuではこの「Plymouth」が標準でインストールされ、Ubuntuの起動時や終了時にスプラッシュスクリーンを表示しています。
また「Plymouth」はユーザーにメッセージを表示し、ユーザーに操作を促す機能も備えています。
スプラッシュスクリーンの役割
Ubuntuの起動時、ログイン画面を表示するまで様々な処理が行われます。ハードウェアの初期化やサービスの起動及び初期化など、これらの処理には時間がかかります。
この処理の間、ユーザーは特に何もすることはなく、ログイン画面が表示されるまで待つことになります。
スプラッシュスクリーンは、この待ち時間の間に表示されます。
スプラッシュスクリーンを表示することで、現在起動処理を行っている最中であること、アニメーションすることで処理が止まっていないことをユーザーにアピールすることができます。
また起動時に出力される情報を整形し、ファイルシステムのチェック中などのメッセージを表示します。
ちなみに起動時のログは、syslogを参照すると良いでしょう。
またスプラッシュスクリーンが表示されている最中に「ESC」キーを押すと、スプラッシュスクリーンを非表示にできます。
Plymouthが起動するタイミング
「Plymouth」はUbuntu起動時早い段階で起動し、スプラッシュスクリーンやメッセージの表示に備えます。Linux Kernelがframebufferを初期化後、「Plymouth」はスプラッシュスクリーンを表示します。
Xサーバーを起動するのは「LightDM」の役目なので、Xサーバーが起動するよりも前に 「Plymouth」が起動します。
そしてXサーバー起動時に「Plymouth」は役目を終え、画面の表示をXサーバーにスイッチします。
高性能のハードウェアを利用している場合
スプラッシュスクリーンは起動が完了するまでの待ち時間の間に表示されます。従ってSSDなど高性能なハードウェアを搭載しているPCでは、起動にかかる時間が短すぎてスプラッシュスクリーンが一瞬しか表示されなかったり、全く表示されないケースもあります。
グラフィカルなスプラッシュスクリーンとテキストベースのスプラッシュスクリーン
スプラッシュスクリーンには、グラフィカルなスプラッシュスクリーンとテキストベースのスプラッシュスクリーンがあります。framebufferコンソールが利用できない環境では、テキストベースのスプラッシュスクリーンが表示されます。
ちなみに上図のスプラッシュスクリーンは、グラフィカルなスプラッシュスクリーンです。
Plymouthのテーマ
デスクトップ環境と同じように「Plymouth」にもテーマがあります。どのようなスプラッシュスクリーンが表示されるのかは、Plymouthのテーマで決まります。
UbuntuのフレーバーであるKubuntuでも「Plymouth」を利用してスプラッシュスクリーンを表示しています。
Kubuntuでは、以下のようなスプラッシュスクリーンが表示されます。
このスプラッシュスクリーンは、Kubuntu向けに用意したPlymouthのテーマを利用して表示しています。
ユーザーはPlymouthのテーマを用意して、スプラッシュスクリーンを変更することができます。
Plymouthテーマの配置場所
Plymouthテーマは、「/lib/plymouth/themes」フォルダー内に配置します。Ubuntuでは、グラフィカルなスプラッシュスクリーンのテーマを「ubuntu-logo」フォルダー内に配置しています。
同様にテキストベースのスプラッシュスクリーンのテーマを「ubuntu-text」フォルダー内に配置しています。
Alternativesシステムに登録が必要
Plymouthテーマを利用するには、テーマをAlternativesシステムに登録する必要があります。Plymouthのテーマを切り替えるには
「Plymouth」が使用するテーマは、Alternativesシステムで管理されています。ここでは例として、「GAlternatives」を利用して「Plymouth」が使用するテーマを選択します。
1.グラフィカルなスプラッシュスクリーンのテーマ
グラフィカルなスプラッシュスクリーンのテーマは、「default.plymouth」で指定します。「Alternatives」で「default.plymouth」を選択すると、以下のようにテーマの一覧が表示されます。
使用したいテーマを選択します。
2.テキストベースのスプラッシュスクリーンのテーマ
テキストベースのスプラッシュスクリーンのテーマ、「text.plymouth」で指定します。「Alternatives」で「text.plymouth」を選択すると、以下のようにテーマの一覧が表示されます。
使用したいテーマを選択します。
3.initramfsの更新
設定を反映するため、initramfsを更新します。initramfsはインストールされているLinux Kernelごとに存在します。
最新バージョンのinitramfsのみ更新する場合
最新バージョンのLinux KernelでUbuntuを起動することがほとんどなので、最新バージョンのinitramfsを更新しておけば十分です。「端末」を起動して、以下のコマンドを実行します。
sudo update-initramfs -u
以下のように、initramfsが更新されます。
すべてのinitramfsを更新する場合
すべてのinitramfsを更新する場合、「端末」を起動して以下のコマンドを実行します。
sudo update-initramfs -u -k all
以下のように、すべてのinitramfsが更新されます。
以上で完了です。