フェーズドアップデート(Phased Update)
「フェーズドアップデート」とは、段階的にパッケージのアップデートをユーザーに提供する仕組みです。「フェーズドアップデート」は「ソフトウェアの更新」で有効になっています。
「Ubuntu」が正式リリースされた後、ユーザーにパッケージのアップデートが提供されるようになります。
ユーザーにパッケージのアップデートを提供する手続きを、SRU(Stable Release Update)といいます。
アップデートの種類とフェーズドアップデート
アップデートにはいくつか種類があり、アップデートの内容によりどのポケットに配置されるかが決まります。「フェーズドアップデート」は、「-updates」ポケットに配置されるアップデートに適用される可能性があります。
「-updates」ポケットに配置されたアップデートのうち、「フェーズドアップデート」が指定されたパッケージは、段階的にアップデートがユーザーに提供されていきます。
つまり、アップデートが適用されるタイミングがユーザーによって異なるということになります。
なぜ段階的なアップデートなのか
リグレッション対策のためです。システムに大きな影響を与えるアップデートは、リグレッションが発生するとアプリが起動しなくなったり、今まで動作していた機能が動作しなくなるなどの問題が発生する可能性があります。
もちろんアップデートはテストが行われてからリリースされているのですが、残念ながらすべてのユーザーの環境を想定してテストを行うことは不可能です。
そこでまずアップデートを一部のユーザーに提供します。
その後リグレッションの問題が確認できなければ、さらに多くのユーザーにアップデートを提供します。
例えばまず10%のユーザーにアップデートを提供し、特に問題がなければ6時間後にさらに10%のユーザーにアップデートを提供します。
このように徐々にアップデートを提供するユーザーを増やしていき、最終的にすべてのユーザーにアップデートが提供されるようになります。
もし致命的なリグレッションが見つかった場合
もし致命的なリグレッションが見つかった場合、そのアップデートの提供を中止し、再度修正を行ってからアップデートが提供されます。Synapticやaptコマンドでは
「Synaptic」や「apt」コマンドでは、「フェーズドアップデート」が適用されません。これらのソフトウェアでパッケージをアップデートする場合、すべてのアップデートが適用されます。
apt
「apt-get」コマンドでも同様です。Synaptic
より安定した環境を
日々の作業に「Ubuntu」を利用しているユーザーにとって、アップデートによりアプリが起動しなくなるなどの問題は致命的です。上記で記述したように、「フェーズドアップデート」は少しでもこの状況を改善しようという意図を反映したものです。
気になって仕方がない
ユーザーにとってアップデートがあるのにアップデートが適用されない状況は、気になって仕方がない状況かも知れません。「Synaptic」や「apt」コマンドを利用すればすべてのアップデートが適用されますし、アップデートが提供される最初のユーザーになる可能性もありますが、余計なトラブルを避けるためにも「フェーズドアップデート」によるアップデートを利用したほうが良いでしょう。
つまり「ソフトウェアの更新」からパッケージのアップデートを行いましょう、ということです。