Ubuntu 25.04 の開発方針とロードマップ
Ubuntu 25.04 の開発方針とロードマップを紹介します。GNOME 48
Ubuntu Desktop 25.04 ではデスクトップ環境に GNOME 48 が採用されます。現在開発版 Ubuntu Desktop 25.04 では、GNOME 48 β版が導入されています。
GNOME 48 β版のリリースアナウンスは、以下を参照してください。
バッテリーいたわりモード(Preserve Battery Health)
GNOME 48 ではノートPCのバッテリー寿命を長持ちさせる充電モードが搭載されます。ウェルビーイングパネル
新しいウェルビーイングパネルが登場しました。ウェルビーイングパネルではスクリーンタイムの情報を提供し、ユーザーが自身の習慣を管理するのに役立てることができます。
HDR のサポート
HDR(ハイダイナミックレンジ / High Dynamic Range)がサポートされ、高精細な映像を楽しめるようになりました。Ubuntu Desktop 25.04
その他 Ubuntu Desktop 25.04 の開発方針です。プリインストールアプリの変更
Ubuntu Desktop 25.04 では ドキュメントビューアーが Evince から Papers に変更される予定です。ドキュメントビューアーはPDFファイルを開く時によく利用されるアプリですね。
今後テストが実施され、問題がなければ Papers に変更されます。
ロケーションプロバイダーの変更
今までロケーションプロバイダーに Mozilla が提供するサービスを利用してきました。しかしこのサービスが終了したため、代替サービスが必要になりました。
代替サービスを検討した結果、beaconDB を採用することになりました。
ただし現状 beaconDB は試験的なサービスの提供であり、以前のロケーションプロバイダーと比較して精度や信頼性が揺らぐ可能性があります。
そのためロケーションプロバイダーと連携して動作する GNOME Maps のようなアプリでは、現在位置の表示に誤差が発生する可能性があります。
その一方で Night Light での利用やタイムゾーンの自動検出、天気予報の取得機能の利用には十分な精度が期待できるでしょう。
今後も Ubuntu ではプライバシーと使い勝手をバランスよく両立できるよう、ロケーションサービス機能の改善が継続的に予定されています。
Ubuntu Desktop Installer
Ubuntu Desktop Installer は Ubuntu Desktop をインストールするためのインストーラーです。マルチブートのサポート改善
インストール済みのOSと共存して Ubuntu をインストールする機能が改善されました。BitLocker が有効化された Windows との共存機能も強化されました。
高度な暗号化オプション
高度な暗号化オプションを選択する画面が追加されました。Landscape による自動インストール
Landscape による自動インストールがサポートされました。Ubuntu Core Desktop
Ubuntu Core Desktop は Snap 版の Ubuntu Desktop です。今までに何度か Ubuntu Core Desktop の話題が出ていましたが、現在も継続的に開発作業が進められています。
モジュールベースのデスクトップシェルへ
現在モノリシックなデスクトップシェル Snap から、モジュールベースのアーキテクチャーへ移行する作業が行われています。これにより搭載するデスクトップシェル(デスクトップ環境)のカスタマイズや変更が可能になります。
つまり従来の Ubuntu Desktop のように、Ubuntu Core Desktop をベースに GNOME 以外のデスクトップシェル(デスクトップ環境)を搭載できるようになります。
エンタープライズ
エンタープライズ向けの取り組みです。authd
authd はクラウドIDプロバイダー向けの認証デーモンです。クラウドベースの認証システムのサポートを強化する取り組みが続けられており、Microsoft Entra ID のサポート強化や新しい Google の認証プロバイダーのサポート、OIDC ベースの認証システム全体のサポート改善作業が行われています。
authd の公式ドキュメントは、以下を参照してください。
ADSys
ADSys は Ubuntu 向けの Active Directory Group Policy クライアントです。ADSys では最新の Polkit に対応しました。
また証明書のエンロールメントポリシーが改善され、様々な Active Directory での信頼性が向上しています。
WSL
WSL 向けの取り組みです。tar ベースの配布形式に対応
以前紹介したように Ubuntu では、tar ベースの配布形式に対応しました。先日リリースされた Ubuntu 24.04.2 LTS では、WSL 向け tar ベースの Ubuntu 24.04.2 LTS をダウンロードできるようになっています。
Ubuntu は WSL 向け Ubuntu も公式にサポートしており、以下から公式ドキュメントにアクセス可能です。
Multipass
Multipass は Linux/Windows/macOS 向けの軽量な仮想マシンマネージャーです。Linux では KVM を活用し、Windows では Hyper-V を活用し、macOS では QEMU を活用して仮想マシンを実行します。
Multipass の公式ドキュメントは、以下を参照してください。