将来はWaylandへ移行
「Ubuntu Touch」を様々なモバイルデバイスに移植している「UBports」コミュニティーでは、しばらくは現状のまま「Unity 8」と「Mir」を維持し、将来的に「Wayland」への移行を検討しています。前回紹介したように「UBports」では、開発者のMarius Gripsgård氏が「Ubuntu Touch」と「Unity 8」の継続に向けて意思表明を行い、今後の方針をアナウンスするとのことでした。
今回出されたアナウンスでは、目標(焦点)が異なるため協調して取り組むことはしないが、「Yunit(unity8orgから改名)」の成果物を活用し、将来的に「Wayland」への移行を検討しているとのことです。
「Wayland」に移行することで「Libhybris」のサポートが得られ、アップストリームの「libhybris」を直接利用できるようになる予定です。
またその日が来るまで既存のデバイスをサポートする方針を立てています。
しばらくは現状維持
自動化された手法を通じ、どうやって「Unity 8」と「Mir」のビルドを行い「system-image-server」に反映させるのか、その方法を調査する必要があり、しばらくは現状のまま「Unity 8」と「Mir」を維持するとのことです。また「Yunit(unity8orgから改名)」が「Unity 8」を「qtWayland」へ移植するまでの間、一時しのぎとしてWayland上でMir(クライアント)を動作させる方法調査するとのことです。
もう一つのUnity 8継続プロジェクトYunit
「unity8org」から改名したもう一つのUnity 8継続プロジェクト「Yunit」については以下を参照してください。ディスプレイサーバーのメンテナンスは行いたくない
「Mir」などディスプレイサーバーのメンテナンスは行いたくないとのことです。既存のデバイスは引き続きサポート予定だが・・・
既存のデバイス(スマフォやタブレット)は引き続きサポートする計画ですが、ハードウェアの制約により「レガシーモード」になる予定です。「Ubuntu 15.04」ベースの「Ubuntu Touch」を採用しているデバイスでは、「Ubuntu 15.04」ベースの小さなアップデートは受けられるが、おそらく「Ubuntu 16.04」ベースの「Ubuntu Touch」へはアップグレードできないだろう、とのことです。
Androidベースのアップデートは行わない
「UBports」では、Androidベースのアップデートの提供は行いません。Q&A
上記のアナウンスと共にQ&Aが掲載されています。ユーザーに直接影響する内容をピックアップします。
1.bq M10はどうなるの?
bq M10は性能が高く、未だ活用できるデバイスである。我々はこのデバイスをレガシーデバイスではなくオフィシャルデバイスとして扱う予定だ。
つまり我々がビルドした新しいOSを利用できるようにする予定だ。
2.Unity 8のデスクトップ体験はどうなる?
デスクトップ体験は「convergence(収束)」の重要な一要素であり、 我々に必要なものだ。我々はこのデスクトップ体験をMir上でこれ以上開発・実現するつもりはないが、「convergence(収束)」のゴールとして「Unity 8」は継続させなければならない。
3.通知サービスやUbuntu Oneに依存したサービスはどうなる?
我々は引き続き「Canonical (Ubuntu One)」を通じて「OpenID」を利用できる。しかし我々は通知サービスを見直したいため、OSからサーバーコンポーネントを削除する予定だ。
通知サービスはあまりにも閉鎖的な(クローズドな)サービスであり、オープンで使い勝手に焦点をあてたシステムを開発する予定だ。
4.なぜYunitと協調して取り組まないの?
我々はYunitコミュニティーと連絡を取りあっている。我々はモバイルに焦点を当てているが、Yunitはデスクトップに焦点を当てている。
両プロジェクトは他の成果物から成果を享受しており、同じ目的を持つ「Unity 8」のフォークは意味がない。
5.MerやPlasma Mobileと連携するの?
まだ検討中だ。同じAndroidベース上で共同して作業し、我々のディストリビューションをその上に構築することは、我々にとって価値があることだ。
我々はすべての作業を共同して行うことができるだろうし、1つのデバイスで複数の新しいOSを利用できる可能性を生み出すことになる。
共に作業することは、我々にとって大きな成功につながるのだ。
6.Open Storeは続くの?
Open Store閉鎖後、我々はOpen Storeをフォークするか、我々がOpen Storeを継続して維持するつもりだ。7.活動資金どうするの?
寄付に頼る。サーバーの運用維持費は高額になりつつあるし、一方でデバイスは安くならない。
QAチームの各メンバーはテストを行うため、多くをデバイスを必要としている。
今は心配いらないが、近い将来これが問題になるだろう。
8.Ubuntu Touchをプリインストールして販売できる?
それは難しい。Qualcommライセンスのようなライセンスに問題があり、我々の「Ubuntu Touch」をプリインストールして販売するようなビジネスを禁止している。
プロプライエタリーブロブに一切手を加えることなくデバイスを販売しなければならない。
いずれにせよ今は別の話だ。
9.Canonialの方針を引き継ぐの?それとも新たなOSを作るの?
現在は「Canonial」の方針に従っている。しかし「Ubuntu Touch」にとってその方針が正しいのか、それとも間違っているのか判断の結果次第で、我々は方針を変更するだろう。
10.Snapはサポートするの?
するよ。しかしレガシーデバイスではサポートしない予定だ。
Androidエコシステム上でアトミックなアップデートをサポートするにはどうすれば良いかアイデアが思いつかない。
そしてそれはおそらく出来ないだろうと見ている。
11.Ubuntu Touchで長い間対応されていない致命的な不具合は修正するの?
可能な限り「Ubuntu Touch」を洗練させていくつもりだが、近い将来OTA-16の登場に期待しないで欲しい。12.Ubuntu Touchの名称はそのまま維持するの?
なんとも言えない。まだOSの名称を変える理由はないが、将来「Canonical」から我々自身が分離した際、名称を変更することになるだろう。
13.UBportsが対応したデバイスにアップデートはくるの?
くるよ。今は我々が移植したデバイスの安定性を向上させるため、必要な取り組みに注力している。