ついにWSLからベータが取れ、正式版に
先ほど紹介した通り、「Build 16251」にて「WSL」からβが取れ、正式版になりました。2017年秋にリリースが予定されている「Windows 10 Fall Creators Update(FCU)」では、「Windows Subsystem for Linux(WSL)」はβでの提供ではなく、完全にサポートされたWindowsの一機能として提供されるようになります。
これで「Windows Insider Program」参加者でなくても、正式版の「WSL」が利用できるようになります。
企業や組織にとってβ版の「WSL」は、β版ということもあり主要なツールセットとして活用するには思い留まらせるものでした。
正式版のリリースにより企業や組織でも「WSL」を日々の開発ツールとして活用できるようになり、ソフトウェアのビルドやテスト、デプロイ、そしてアプリやシステムの管理を「Windows 10」上で行えるようになります。
正式版により何が変わるのか?
「beta」という表記がなくなります。また「WSL」で問題が発生した時、ユーザーが公式の問題解決プロセスに従った作業を行いたければ、Windowsの通常のサポートメカニズムを利用してWSLやWindowsに関する問題を報告することができます。
フィードバックも「Windows 10 Feedback Hub」アプリを利用して、直接WSLチームに届けることが可能になります。
つまり「Microsoft」による公式なサポート及びそれに付随するサポートの仕組みが得られるようになります。
引き続き改良作業が行われていく
「WSL」が正式版になってもWSLチームの作業はそこで終わりではありません。引き続き不具合の修正や機能の改良が行われていきます。
WSLチームは、GitHubに投稿された不具合や問題報告に対応したり、SNSやフォーラムでの質問のチェックや回答を行っていきます。
WSLの目的
「WSL」が想定する主な利用方法は、以下の通りです。- ソフトウェアの開発や基本的な管理のために、Linuxのコマンドラインツールを実行する
- LinuxからWindowsのファイルシステムにあるファイルを共有したりアクセスする
- LinuxからWindowsプロセスを起動する
~$ cd /mnt/c/temp/ && echo "Hello" > hello.txt && notepad.exe hello.txt
- WindowsのコマンドラインからLinuxプロセスを起動する
C:\> bash -c "fortune | cowsay"
サポートしていない使い方
以下の使い方は、明示的にサポートされていません。- WSL上で動作するLinuxディストリビューションは、対話的にユーザーの作業を実現するものであり、「Apache」や「nginx」、「MySQL」や「MongoDB」などサービスを実行する環境ではありません。
- Linux環境内にあるファイルは、Windowsからアクセス可能ではありません。
しかしこの状況を改善する作業が行われており、今後この状況が何かしら変わるかもしれません。
- 現時点では、XサーバーやGUIアプリ、デスクトップ環境、サーバー環境等のサポートは計画されていません。
サポートと不具合
正式版になったことで、どの部分を誰がサポートするのかが重要になってきます。「WSL」及びそれに関するツール類は、「Microsoft」が担当します。
一方Linuxディストリビューションで発生する問題は、各ディストリビューションのプロジェクトやコミュニティーが担当します。
問題の根本となる原因の特定は双方が協力して作業にあたり、目処がつき次第スケジュールを立て、ユーザーに修正を提供します。
不具合を見つけた場合
もし期待通りに動作しない機能や再現可能な問題を見つけた場合、以下の内容に従い不具合を報告してください。テンプレートは可能な限り内容を埋めてください。
ユーザーの不具合報告は、「WSL」や「WSL」上で動作するLinuxディストリビューションにとって品質の向上や問題解決に大きく寄与するものです。