Ubuntu 17.10 その168 - Meltdownの対応によりどの程度パフォーマンスに影響が出るのか？

Meltdownの対応によりどの程度パフォーマンスに影響が出るのか？

「Meltdown」の対応（KPTI）によりどの程度パフォーマンスに影響が出るのか、「Phoronix」で「KPTI」に関するベンチマークテストの結果が複数公開されています。

最初のベンチマーク

最初に行われたベンチマークです。

• Initial Benchmarks Of The Performance Impact Resulting From Linux's x86 Security Changes 

このテストでは、以下の組み合わせでテストが行われています。



「pre」が「KPTI無効」、「post」が「KPTI有効」の結果です。
ベンチマーク結果を見ると、ディスクI/Oのパフォーマンスに大きな影響が出ています。
特に「NVMe」接続のSSDでは、40％〜55%程度の落ち込みが確認できます。
また「Compile Bench」では、両方の環境で15%程度パフォーマンスが低下しています。
「PostgreSQL」や「Redis」でも同様にパフォーマンスが低下しています。

一方で動画のエンコードや「Linux Kernel」のコンパイルなど、処理の多くをユーザースペースで費やす処理は、影響が出ていません。

ゲームパフォーマンス

次にゲームのベンチマークです。

• Linux Gaming Performance Doesn't Appear Affected By The x86 PTI Work

「Pre」が「KPTI無効」、「Post」が「KPTI有効」の結果です。
ゲームに関してはパフォーマンスに有意な差は出ていません。
「KPTI」は、ゲーム及びそれに類似する処理を行うソフトウェアに影響が出ていないことがわかります。

仮想マシンやクラウドコンピューティング

仮想マシンやクラウドコンピューティングに関するベンチマークです。
仮想マシンで実行したテストとホストマシンで実行したテスト結果が比較されています。
いずれも「KPTI」は有効です。

• VM Performance Showing Mixed Impact With Linux 4.15 KPTI Patches

このテストでは、以下の環境でテストが行われています。



「最初のベンチマーク」と似たような傾向になっています。
マルチスレッドCPUテストでは、5%程度パフォーマンスが低下しています。
全体的に差が出ている結果を見ても、最大10%程度の差に収まっています。

Linux Kernel 4.14/4.9/4.4

最後に「Linux Kernel」のバージョン違いのテストです。

• Linux KPTI Tests Using Linux 4.14 vs. 4.9 vs. 4.4

いずれも「KPTI」は有効です。


どれも似た傾向であり、どのテスト結果を見ても差はわずかです。
「Linux Kernel」のバージョンが異なることで、「KPTI」によるパフォーマンスに大きな差は出ません。