ext4ファイルシステムとe2fsprogsで提供されるツールの非互換
「Ubuntu 16.10」以降の「Ubuntu」で作成された「ext4」ファイルシステムは、「Ubuntu 16.04」以前の「ext4」ファイルシステムと一部機能が異なっています。metadata_csumオプション
「Ubuntu 16.10」以降インストーラーが「ext4」ファイルシステムを作成する際、「metadata_csum」オプションが有効になっています。これは「Ubuntu 16.04」以前の「ext4」ファイルシステムでは設定されていなかったオプションです。
e2fsprogsのツールが期待通り動かない
そのため「Ubuntu 16.04」から「Ubuntu 16.10」以降の「Ubuntu」で作成された「ext4」ファイルシステムを「e2fsprogs」パッケージから提供されるツールで操作しようとすると、ツールが意図通りに動作しない問題が発生しています。例えば「Ubuntu 16.10」以降の「Ubuntu」で作成された「ext4」ファイルシステムに対し、「Ubuntu 16.04」からファイルシステムのチェックや修復を行おうとしても、期待通りに動作しません。
回避策
「Ubuntu 16.10」以降の「Ubuntu」で「ext4」ファイルシステムの操作を行う方法があります。Ubuntu Desktopユーザーの多くは影響を受けない
この問題は多くの「Ubuntu Desktop」ユーザーにとって問題になることはないでしょう。例え「Ubuntu 16.04」と「Ubuntu 18.04」でデュアルブートしていても、「Ubuntu 18.04」のファイルシステムは「Ubuntu 18.04」からチェックや修復などの操作を行えば済みます。
必要ならライブメディアから起動した「Ubuntu 18.04」から操作を行うこともできます。
システム管理者にとっては困る場合も
サーバーなどエンタープライズの分野でシステムの管理を担当している人や組織にとって、この非互換が問題になる可能性があります。管理上、使用できるOSやリソースに制限があることもあるでしょう。
対応方針
来月「Ubuntu 18.04」がリリースされます。この課題に対し「Ubuntu 18.04」でどのように対応するのが良いか議論が行われています。
以下の4種類の提案が出されています。
1.何もしない
文字通り何もしません。現状維持です。つまり「Ubuntu 18.04」で作成された「ext4」ファイルシステムは、「Ubuntu 16.04」から操作できません。
この案を採用するなら、リリースノートへの注意点の記述が提案されています。
2.metadata_csumオプションを無効にする
現状デフォルトで有効になっている「metadata_csum」オプションを無効にします。「metadata_csum」を利用したいユーザーは、「metadata_csum」オプションを指定してファイルシステムを作成することも可能です。
また「Ubuntu 18.04」の「e2fsprogs」はこのプションを処理できるため、「Ubuntu 18.10」以降で再度このオプションをデフォルトで有効にする提案も出されています。
3.バックポートする
「Ubuntu 16.04」に「metadata_csum」オプションを処理できる「e2fsprogs」をバックポートする案です。この時「metadata_csum」オプションはデフォルトで無効化したままにします。
またさらに「Ubuntu 14.04」にもバックポートすれば、この問題は解消されます。
完全な解決を望むのであれば、バックポートが良いでしょう。
4.インストーラーを修正する
「e2fsprogs」は今のまま変更せず(つまり「metadata_csum」オプションが有効なまま)、インストーラーで「ext4」ファイルシステム作成時に、「metadata_csum」を有効にしないオプションを付けて「ext4」ファイルシステムを作成する方法です。ただしデフォルトでは「metadata_csum」オプションが有効なため、「mkfs.ext4」などユーザーが「metadata_csum」を有効にしないオプション付けずに「ext4」ファイルシステムを作成した場合は、「metadata_csum」が有効になります。