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Ubuntu 18.04 その82 - Ubuntu 18.04の新機能や変更点をピックアップ

Ubuntu 18.04の新機能や変更点をピックアップ

2018年4月26日に「Ubuntu 18.04 LTS」がリリースされました。


  • Ubuntu 18.04 LTSがリリースされました・ディスクイメージのダウンロード 

「Ubuntu 18.04 LTS」のリリースノートから「Ubuntu Desktop」に関する新機能や変更点をピックアップします。
「Ubuntu 18.04 LTS」のリリースノートは、以下を参照してください。

  • ReleaseNotes

全体的な新機能や変更点

全体的な新機能や変更点です。

1.Linux kernel

「Linux kernel 4.15」ベースの「Linux kernel」が採用されました。
これにより「IBM」や「Intel」などが販売している最新のハードウェアや周辺機器を活用できるようになりました。


「Ubuntu 18.04 LTS」に搭載されている「Linux kernel」は「Linux kernel 4.15」がベースであるため、アップストリームの以下の新機能も活用できます。

  • Control Group v2(cgroup v2)インターフェースのCPUコントローラー
  • AMD Secure Memory Encryption
  • 拡張されたソフトウェアRAIDを管理・構築する最新のMDドライバー
  • SATA Link Power Managementシステムの電源管理の改良

また「Ubuntu 18.04 LTS」に搭載されている「Linux kernel」では、以下の新機能も活用できます。

  • Linux Security Module Stacking
  • POWERホスト及びNVカーネルの署名
  • IBM及びIntel製ハードウェアのサポート改善(Linux kernel 4.16からバックポート)

2.OpenJDK

「Ubuntu 18.04 LTS」リリース時点では、「OpenJDK 10」がデフォルトの「JDK」及び「JRE」になっています。


2018年9月リリース予定の「OpenJDK 11」がリリースされた後、「Ubuntu 18.04 LTS」のデフォルトの「JDK」及び「JRE」は、「OpenJDK 11」に切り替わる予定です。

OpenJDK 8

「OpenJDK 8」は「universe」に配置され、「Canonical」のサポート対象から外れました。


「Ubuntu 18.04 LTS」のサポートが終了するまで「OpenJDK 8」を利用できますが、これはソフトウェアが「OpenJDK 10/11」へ移行するための猶予期間であり、「OpenJDK 10/11」でビルドできないパッケージやアプリケーション、スクリプトのために提供されます。

「OpenJDK 8」のアップデートは、「Ubuntu 16.04 LTS」のサポートが終了する2021年4月まで提供される予定です。

3.セキュリティーの向上

「Ubuntu 18.04 LTS」では、「Address Space Layout Randomization(ASLR)」をより効果的に活用するため、「GCC」はデフォルトでアプリケーションを「Position Independent Executable(PIE)」及び「Immediate Binding」でコンパイルするようになりました。

「main」に配置されているすべてのパッケージは、いくつかの例外を除き、この利点を活用するためリビルドされました。

SpectreとMeltdownの対応

「Spectre」と「Meltdown」の脆弱性に対する軽減策が盛り込まれています。
これらの脆弱性に関する対応と詳細は、以下を参照してください。

  • SpectreAndMeltdown

軽減策の制御方法に関しては、以下を参照してください。

  • MitigationControls

4.Thunderbolt

「Thunderbolt」デバイスのセキュリティーを制御する「bolt」と「thunderbolt-tools」パッケージを「main」に配置するよう、MIRの手続きが行われています。


  • [MIR] thunderbolt-tools

5.CIFS/SMBプロトコルバージョンの変更

「Ubuntu 17.10」以降、「cifs-utils」パッケージで提供される「mount.cifs」でリモートの「CIFS」ファイルシステムをマウントする際、デフォルトで使われる「SMB」プロトコルのバージョンが、サーバーとのネゴシエーション結果に応じて「2.1」もしくはそれ以降に変更されました。

ネットワーク上で共有されているリソースをマウントする際、プロトコルバージョンが指定されていない場合は、以下のメッセージがログに出力されます。

No dialect specified on mount. Default has changed to a more secure dialect, SMB2.1 or later (e.g. SMB3),
from CIFS (SMB1). To use the less secure SMB1 dialect to access old servers which do not support SMB3
(or SMB2.1) specify vers=1.0 on mount.

互換性の問題が発生する場合は

環境によっては、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • SMB driver (SMBv2) does not show all files when mounting a windows top level share
  • Problems with SSSD + pam mount

このような問題が発生した場合は、共有されているリソースをマウントする時に「vers=1.0」オプションを指定してマウントしてください。
また「vers=1.0」オプションを指定して問題を回避できたならば、その内容を不具合として報告してください。

6.チーミングのサポート

「Network Manager」が「libteam」によるチーミングデバイスをサポートしました。

Ubuntu Desktopの新機能と変更点

「Ubuntu Desktop」の新機能と変更点です。

1.ディスプレイサーバー

「Ubuntu 17.10」では、デフォルトのディスプレイサーバーに「Wayland」を採用していましたが、「Ubuntu 18.04 LTS」では「X」がデフォルトのディスプレイサーバーになりました。


「Wayland」は引き続きデフォルトでインストールされますが、テクニカルプレビューとして提供されます。
「Wayland」は、うまくいけば「Ubuntu 20.04 LTS」でデフォルトのディスプレイサーバーになる予定です。

Waylandを試すには

「Wayland」はデフォルトでインストールされるため、すぐに試すことが可能です。
「Wayland」を試すには、ログイン画面でログインするユーザーを選択した後、「サインイン」ボタンの右側の歯車をクリックし、表示されるメニューから「Ubuntu on Waylan」を選択してください。


後はいつも通りにログインすれば、「Wayland」が利用できます。

2.最小インストール

「Ubuntu Desktop」インストール時、ブラウザーとユーティリティーのみインストールする最小インストールがサポートされました。


最小インストールは多くのフレーバーでも利用可能です。

3.GNOME 3.28

「Nuatilus」など一部のアプリを除き、「GNOME」が提供する多くのアプリが「3.28」にアップデートされました。
「GNOME 3.28」の紹介は、以下を参照してください。

  • Introducing GNOME 3.28: “Chongqing”

4.LibreOffice 6.0

「LibreOffice 6.0」が採用されました。


「LibreOffice 6.0」の変更点や紹介は、以下を参照してください。

  • LibreOffice 6.0 リリースノート

5.カラー絵文字

多くのアプリでカラー絵文字が表示できるようになりました。
また多くのアプリでカラー絵文字の入力が簡単になりました。


絵文字を入力したい場面で「Ctrl+.」キーか「Ctrl+;」キーを押します。
以下のように絵文字一覧が表示されるので、絵文字を選択すればその絵文字がエディターに入力されます。


絵文字一覧の下部のバーから絵文字のカテゴリーを選択することができます。
絵文字はエディターの現在のカーソル位置に挿入されます。

6.カレンダーが天気予報に対応

「カレンダー」が天気予報に対応しました。


7.Snapアプリ

「Ubuntu」の新規インストール時、以下のアプリはSnap版がインストールされます。

  • 電卓(GNOME Calculator)
  • 文字(GNOME Characters)
  • ログ(GNOME Logs)
  • システムモニター


「Snap」は既存のシステムとは切り離した環境を提供するため、「Snap」で提供されるソフトウェアは「Ubuntu 18.04」のサポート期間中に新しい安定版へのアップグレードが可能になります。

8.UbuntuソフトウェアがSnapのチャンネルをサポート

「Ubuntuソフトウェア」がSnapのチャンネルをサポートし、Snapアプリのチャンネルを選択できるようになりました。


9.GNOME To Doがデフォルトのインストール対象に

「GNOME To Do」がデフォルトでインストールされるようになりました。
(最小インストール時は除く)
「GNOME To Do」はタスクを管理するアプリです。


10.Spice agent for Linux

「GNOME Boxes」のような「Spice」クライアントアプリのパフォーマンスを改善するため、「Spice agent for Linux(spice-vdagent)」がデフォルトでインストールされるようになりました。

11.タッチパッドの右クリック操作が2本指クリックに

物理ボタンがついていないタッチパッドで右クリック操作を行う方法が、タッチパッドの右下をクリックする方法から、2本指クリックに変更されました。
元の操作方法に戻すには、「GNOME Tweaks」から設定を変更してください。


「GNOME Tweaks」はデフォルトでインストールされていないため、必要なら別途インストールしてください。

12.Synapticsドライバーのサポート

マウスやタッチパッドのドライバーは「libinput」がデフォルトのドライバーとして使用されますが、「Synaptics」ドライバーもサポートされます。
ただし将来の「Ubuntu」で「Synaptics」のサポートが落とされる予定です。

13.自動サスペンド

PCがバッテリーで動作している時、デフォルトで20分PCに対して操作がなければ、自動的にサスペンドするようになりました。

14.Thunderbolt 3のサポート

「GNOME Shell」は「Thunderbolt 3」をサポートしました。
このサポートはデスクトップ環境に統合されており、「Thunderbolt 3」デバイス接続時トップバーにその情報が表示されます。

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