Ubuntu 18.04の新機能や変更点をピックアップ(Ubuntu 16.04ユーザー向け)
2018年4月26日に「Ubuntu 18.04 LTS」がリリースされました。「Ubuntu 18.04 LTS」のリリースノートから、特に「Ubuntu 16.04 LTS」ユーザーにとって影響の大きい「Ubuntu Desktop」に関する新機能や変更点をピックアップします。
「Ubuntu 18.04 LTS」のリリースノートは、以下を参照してください。
また以下も併せて参照してください。
Ubuntu 16.10からUbuntu 17.10までのリリースノート
「Ubuntu 16.10」から「Ubuntu 17.10」までのリリースノートは、以下を参照してください。いずれも日本語で記述されていますので、目を通しておくと良いでしょう。
全般的な変更点
全般的な変更点です。1.DNSリゾルバの変更
デフォルトのDNSリゾルバが「systemd-resolved」に変更されました。2.Netplanの採用とifupdownの非推奨
「Netplan」が採用され、「ifupdown」が非推奨になりました。「Ubuntu 18.04 LTS」の新規インストール時、「ifupdown」はデフォルトでインストールされません。
「Ubuntu」インストール時、インストーラーは「/etc/netplan」ディレクトリー内に「Netplan」の設定ファイルを生成します。
「Ubuntu Desktop」では、「Netplan」が採用されてもネットワークの設定は従来通り「NetworkManager」から行います。
そのため特別ユーザーが意識する必要はありません。
Netplanの情報
「Netplan」に関する情報は、「man 5 netplan」で表示できます。もしくは「Netplan」の公式サイトを参照してください。
ifup及びifdownの代わりにipを
「ifupdown」が非推奨になりインストールされなくなったため、「ifup」及び「ifdown」は利用できなくなりました。代わりに「ip」コマンドを利用してください。
例えば以下のように「ip」コマンドを利用します。
ip link set $device up
ip link set $device down
ip link set $device down
Netplanがネットワークシステムの要件に合わない人のために
「ifupdown」は非推奨になりインストールされなくなりましたが、引き続き後からインストールすることは可能です。また「ifupdown」は「main」に配置されており、サポートも行われます。
3.networkctlが利用可能に
ネットワークデバイスの概要を表示する「networkctl」コマンドが利用できるようになりました。「networkctl status」を実行すれば、現在のシステム上のIPアドレスのグローバルステートを表示できます。
特定のネットワークデバイスの情報を表示するには、「networkctl status $device」を実行します。
4.gpg
「gpg」コマンドは、「gnupg2」から提供されるようになりました。5.スワップファイルの採用
従来はスワップ領域をパーティションに確保していましたが、「Ubuntu 18.04」の新規インストールでは、スワップファイルにスワップ領域を確保するようになりました。つまり「Ubuntu 18.04」インストール時にスワップ用のパーティションを作成する必要がなくなりました。
従来通りスワップ領域をパーティションに確保することも可能です。
6.Python 2
「Python 2」はデフォルトでインストールされなくなりました。ユーザーは必要なら後から「Python 2」をインストールすることも可能です。
「Python 2」は引き続き「main」から提供され「Canonical」によるサポート対象になっていますが、「Python 2」が「main」に配置されるLTS版「Ubuntu」は、「Ubuntu 18.04」が最後になります。
7.Python 3
「Python 3」が「Python 3.6」にアップデートされました。8.ホームフォルダーの暗号化の非サポート
インストーラーから「ecryptfs-utils」を利用したホームフォルダーの暗号化オプションがなくなりました。代わりにディスクの暗号化が推奨されます。
9.OpenSSH
「OpenSSH」は1024bitより短いRSAキーの利用を拒否するようになりました。キーの長さは以下のコマンドで確認できます。
ssh-keygen -l -f /path/to/key.pub
Ubuntu Desktopの新機能と変更点
「Ubuntu Desktop」の新機能と変更点です。1.32bit版のディスクイメージ提供終了
「Ubuntu Desktop 32bit版」のディスクイメージが提供されなくなりました。2.GNOMEの採用
デスクトップ環境が「Unity」から「GNOME」に変更されました。3.GDMの採用
デフォルトのディスプレイマネージャーが「LightDM」から「GDM」に変更されました。またログイン画面は「VT7」の代わりに「VT1」を使用するようになりました。
4.ウィンドウコントロールボタンの配置位置の変更
ウィンドウの最大化や最小化を行うウィンドウコントロールボタンの配置位置が、左から右に変更されました。5.ドライバーがなくても印刷可能に
プリンターが「IPP Everywhere」に対応したモデルなら、メーカー固有のプリンタードライバーがなくても印刷できるようになりました。6.スクリーンキーボードの変更
今まではスクリーンキーボードに「Onboard」が利用されていましたが、「Onboard」の代わりに「GNOME」に組み込まれているスクリーンキーボードが使用されるようになりました。7.カレンダーの新機能
「GNOME Calendar」が週ごとの表示及び繰り返しイベントに対応しました。8.UIデザインの変更
以下のアプリはUIのデザインが変更されました。- Disk Usage Analyzer
- ファイル(Nnautilus)
- Remmina
- Settings(設定)
- Ubuntuソフトウェア
9.ログアプリの変更
システムログを表示するアプリが「GNOME Logs」に変更され、「Systemd Journal」のログを表示するようになりました。10.ショートカットキーの表示
多くの「GNOME」アプリがアプリケーションメニューからショートカットキー情報を表示できるようになりました。11.gconf
「gconf」はデフォルトでインストールされなくなりました。また「gconf」は「gsettings(dconf)」に置き換えられました。
ゲームの情報を「gconf」に記録していた「Aisleriot」は「gsettings」に移行するため、情報が引き継がれません。
「gconf」は将来「Ubuntu」のアーカイブから削除される予定です。
12.Ubuntu GNOMEが無くなった
「Ubuntu」のフレーバーである「Ubuntu GNOME」は無くなり、「Ubuntu」に統合されました。これは「Ubuntu」が「GNOME」を採用したためです。
「gnome-session」をインストールしログイン画面で「GNOME」もしくは「GNOME on Wayland」を選択すれば、「GNOME」のデザインでデスクトップ環境を利用することができます。
「Ubuntu」で採用していない「GNOMEコアアプリケーション」をインストールするには、「vanilla-gnome-desktop」パッケージをインストールしてください。