Xfce 4.14がリリースされました
2019年8月12日、「Xfce 4.14」がリリースされました。「Xfce」は「Xubuntu」で採用されているデスクトップ環境であり、軽さと機能性のバランスを高度に実現しているデスクトップ環境です。
愛用者も多いかと思います。
前バージョンの「Xfce 4.12」は、2015年2月28日にリリースされたバージョンであり、今回のリリースは実に4年5ヶ月ぶりのバージョンアップとなります。
Xfce 4.14の主な目標
「Xfce 4.14」では、以下を主な目標として開発が行われました。- 「GTK2」から「GTK3」に移植すること
- 「D-Bus GLib」から「GDBus」へ移行すること
これらの目標はすべてのコアコンポーネントが対象です。
また多くのコンポーネントでは、「GObject Introspection」のサポートが行われています。
新機能の搭載と機能の改良
「Xfce 4.14」では上記に加え、新機能の搭載と機能の改良も行われています。もちろん不具合の修正も行われています。
今回のバージョンアップは、すべてのユーザーにとって魅力的なバージョンアップになるでしょう。
1.ウィンドウマネージャーの改善
「ウィンドウマネージャー」がアップデートされ、以下の改善が行われました。- VSyncのサポートによるディスプレイのチラツキ低減もしくは解消(Present / OpenGLバックエンド使用時)
- HiDPIのサポート
- NVIDIA GPUプロプライエタリードライバー利用時のGLXサポート改善
- XInput2のサポート
- コンポジターの改良
- 新しいデフォルトのテーマ
2.パネルの改善
「パネル」では、以下の改善が行われました。- RandRのPrimary Monitor機能のサポート
- 「tasklist」プラグインのウィンドウグルーピング機能の改善(使い勝手の向上やVisual Group Indicatorのサポートなど)
- パネルごとにアイコンサイズの設定が可能に
- 時計フォーマットに新しいデフォルトのフォーマットを採用
- デフォルトのパネルレイアウトの改善
3.デスクトップの改善
「デスクトップ」では、以下の改善が行われました。- RandRのPrimary Monitor機能のサポート
- アイコンの整列に整列方向を指定可能に
- コンテキストメニューに「次の壁紙(Next Background)」項目を追加
- ユーザーが選択している壁紙を「AccountsService」へ同期
4.カラープロファイルの改善
カラープロファイルを管理するための新しい設定ダイアログが作成されました。多くのユーザーは追加作業なしに、「cupsd」を通じてカラープロファイルを適用して印刷したり、「saned」を通じてカラープロファイルを適用してスキャンできるようになります。
ただしモニターにプロファイルを適用するには、「xiccd」といったサービスを追加インストールする必要があるでしょう。
5.ディスプレイダイアログの改善
「ディスプレイダイアログ」では、以下の改善が行われました。- マルチディスプレイ設定の保存と自動的な復元が可能に
- RandRディスプレイスケーリングオプションの追加
「1.」はノートPCに外部ディスプレイを接続するときなど、PCのディスプレイ構成が頻繁に変わるユーザーにとって特に有用です。
「2.」は隠しオプションになっており、「Xfconf」で設定可能です。
6.外観ダイアログの改善
「外観ダイアログ」では、以下の改善が行われました。- GTKウィンドウスケーリングオプションの追加
- モノスペースフォントオプションの追加
その一方でテーマプレビュー機能が削除されました。
これはプレビューで表示される外観と実際の外観が一致しないためです。
7.セッションマネージャーの改善
「セッションマネージャー」では、以下の改善が行われました。- ハイブリッドスリープのサポート
- デフォルトセッション起動時の競合解消
- 自動起動するソフトウェアエントリーの追加と編集機能のサポート
- ログアウトダイアログにユーザー切り替えボタンの追加
- セッション選択機能の改善や、保存されたセッションを表示するタブの追加など設定ダイアログの改善
- PCのサスペンドやログアウト時に実行するコマンドの設定が可能に
その一方でスプラッシュスクリーンのサポートが削除されました。
8.Thunarの改善
「Thunar(ファイルマネージャー)」では、以下の改善が行われました。- パスバーのデザイン改善
- サイズが大きいサムネイルのサポート
- フォルダーアイコンに使用する「folder.jpg」のサポート
- ズームやタブ操作などキーボードナビゲーションの改良
- ボリュームマネージャーがBlu-rayをサポート
また「tumbler(サムネイルサービス)」では、「Fujifilm RAF」フォーマットがサポートされました。
9.Application Finderの改善
「Application Finder」はシングルウィンドウで開けるようになり、キーボードのみでも簡単に操作できるようになりました。10.Power Managerの改善
「Power Manager」では、以下の改善が行われました。- 「XF86Battery」ボタンのサポート
- バッテリー残量表示のサポート(残り時間や割合表示)
- 「xfce4-screensaver」の開発と採用
「LXDE」が「Qt」ベースの「LXQt」並行するため、「LXDEパネルプラグイン」のサポートが削除されました。
アプリケーションとプラグインの改良点
アプリケーションとプラグインの改良点です。1.通知サービスの改善
通知サービスでは、以下の改善が行われました。- 通知内容の保存機能(通知内容の永続化)
- すべての通知を抑制する機能の追加
- 過去の通知を表示するパネルプラグインの追加(通知の表示と抑制の切り替えも可能)
- 「RandR」でPrimary Monitor追加時に通知する機能のサポート
2.Paroleの改善
「Parole(メディアプレーヤー)」では、以下の改善が行われました。- ネットワークストリーミングのサポート
- ポッドキャストのサポート
- ミニモードのサポート
- 適切なビデオバックエンドの自動選択
- 動画再生中にスクリーンセーバーや省電力の動作を抑制する機能
3.Ristrettoの改善
「Ristretto(画像ビューアー)」では、UIの改良やデスクトップの壁紙に画像を設定する機能が追加されました。4.Screenshooterの改善
「Screenshooter(スクリーンキャプチャー)」では、以下の改善が行われました。- 選択範囲の移動が可能に
- キャプチャー範囲の幅と高さを表示
- imgurアップロードダイアログの改善
- コマンドラインを利用可能に
5.Clipmanの改善
「Clipman(クリップボードマネージャー)」では、キーボードショートカットのサポートが改善され、新しいアプリケーションアイコンと共にアイコンサイズの一貫性が向上しました。6.PulseAudio Panel Pluginの改善
「PulseAudio Panel Plugin」- MPRIS2によるリモート制御が可能に
- マルチメディアキーのサポート改善
7.Terminal Emulatorの改善
「Terminal Emulator」では、非常に多くの不具合修正と改善が行われています。廃止されるソフトウェア
以下のソフトウェアは、メンテナンスされていない、もしくは、非推奨のソフトウェアであり、廃止される予定です。- garcon-vala
- gtk-xfce-engine
- pyxfce
- thunar-actions-plugin
- xfbib
- xfc
- xfce4-kbdleds-plugin
- xfce4-mm
- xfce4-taskbar-plugin
- xfce4-windowlist-plugin
- xfce4-wmdock-plugin
- xfswitch-plugin