Linux Mint 20の新機能と変更点
「Linux Mint 20」の新機能と変更点を紹介します。リリース情報
各エディションの新機能と変更点の詳細は、以下を参照してください。- Cinnamon Edition:New features in Linux Mint 20 Cinnamon
- MATE Edition:New features in Linux Mint 20 MATE
- Xfce Edition:New features in Linux Mint 20 Xfce
サポート期間
「Linux Mint 20」はLTSリリースであり、2025年までサポートされます。また「Linux Mint 20」は、「Ubuntu 20.04 LTS」がベースになっています。
デスクトップ環境
「Cinnamon Edition」ではデスクトップ環境に「Cinnamon 4.6」を採用しています。「MATE Edition」ではデスクトップ環境に「MATE 1.24」を採用しています。
「Xfce Edition」ではデスクトップ環境に「Xfce 4.14」を採用しています。
Warpinator
「Warpinator」は、ローカルネットワーク上で簡単にファイルを転送(共有)するためのアプリです。「Warpinator」は「Linux Mint 20」で新しく追加されたアプリです。
転送先のPC一覧
「Warpinator」を起動すると、以下のようにローカルネットワーク上に接続されたPCの一覧が表示されます。この時一覧に表示されるPCは、「Warpinator」を起動しているPCだけです。
ですのでファイルを転送する場合は、転送先のPCでも「Warpinator」を起動しておく必要があります。
転送するファイルの一覧
一覧からPCを選択すると、転送するファイルの一覧とファイルの概要が表示されます。この画面からファイルの送受信が可能です。
NVIDIA Optimusのサポート改善
「Linux Mint 20」では「NVIDIA Optimus」のサポートが改善されました。GPUレンダラーの切り替え
「NVIDIA Primeアプレット」はGPUレンダラー(描画に使用するGPUのこと)の一覧を表示し、描画に使用するGPUを一覧から切り替えることができます。On-Demandの完全なサポート
「On-Demand」プロファイルの完全なサポートも行われています。「On-Demand」プロファイルを選択すれば、セッションのレンダリングに「Intel GPU(内蔵GPU)」を使用して消費電力を抑え、アプリケーションランチャーのメニューから特定のアプリ実行時に「NVIDIA GPU」を使用するオプションを利用できるようになります。
アプリケーションランチャーでアプリを右クリックし表示されるメニューから「Run with NVIDIA GPU」をクリックすれば、そのアプリは「NVIDIA GPU」を使用してレンダリングするようになります。(Xfce Edition除く)
Cinnamon Edition
MATE Edition
コマンドからGLXやVulkanを指定する
以下のコマンドが追加され、オフロード先を指定できるようになりました。- nvidia-optimus-offload-glx
- nvidia-optimus-offload-vulkan
Compatibility Modeの改善
NVIDIA GPU搭載PCで適切なNVIDIA GPUドライバーがない環境でもライブセッションを起動できるように、「Compatibility Mode」に「nomodeset」オプションが追加されました。画面がブラックアウトするなどライブセッションがうまく起動しない場合は、ブートメニューで「Compatibility Mode」を選択して起動してみてください。
システムトレイの改善
「XAppStatusIcon」が改良され、マウスホイールのスクロールイベントを扱えるようになりました。また「gtk_menu_popup()」と同様の機能をサポートし、インジケーターを「GtkStatusIcon」からもっと簡単に移植できるようになりました。
アイコンデザインの一貫性向上
アイコンにシンボリックアイコンを採用し、「HiDPI」がサポートされました。これによりアイコンデザインの一貫性が向上しています。
以下のアプリは「XAppStatusIcon」を使用し、システムトレイにアイコンを表示すす用になっています。
- Blueberry
- mintupdate
- mintreport
- nm-applet
- mate-power-manager
- mate-media
- redshift
- rhythmbox
XAppsの改善
「XApps」はテキストエディターや画像ビューアーなど、デフォルトでインストールされる基本的なアプリケーション群です。Xed
「Xed」はテキストエディターです。「Xed」では行を結合する機能と、ファイルを保存する前に最後の空白行を削除する機能が追加されました。
Xviewer
「Xviewer」は画像ビューアーです。「Xviewer」はフルスクリーンに切り替える機能やスライドショーのツールボタン、ウィンドウの最大化状態を記憶する機能が追加されました。
Xreader
「Xreader」はドキュメントビューアーです。印刷ボタンがツールバーに追加されました。
その他の改善
その他の改善です。gdebiのUI改善
debパッケージファイルをインストールする「gdebi」のUIが改善されました。ログイン画面の改善
ログイン画面(Slick Greeter)では、複数のモニターで横断的に背景を拡大する機能が追加されました。システムの改善
システムの改善です。AptUrl
AptUrlのバックエンドが「Synaptic」から「aptdaemon」へ変更されました。推奨パッケージのインストール
「APT」で新規にパッケージをインストールする際、インストールするパッケージの推奨パッケージがデフォルトで有効になりました。(パッケージのアップグレード時は除く)
Snapdの無効化
デフォルトで「Snapd」が無効化され、「APT」及びパッケージから「Snapd」をインストールできないように変更されました。Virtualboxの画面解像度
「Virtualbox」上でライブセッションを起動する際、画面の最小解像度が自動的に「XGA(1024x768)」に設定されるようになりました。Linux kernelとデバイスのファームウェア
「Linux kernel 5.4」と「linux-firmware 1.187」が採用されています。アートワークの改善
アートワーク(テーマや壁紙など)の改善です。Mint-Yテーマ
「Mint-Yテーマ」のカラーリングが調整され、鮮やかさやコントラストレベルが調整されました。以下のスクリーンショットは「Mint-Y-Aqua」テーマです。
イエローフォルダーアイコン
イエローフォルダーアイコンも利用可能です。カラーリングの選択
初めて「Linux Mint 20」にログインした時に、ようこそ画面からデスクトップで使用するカラーリングを選択できるようになりました。壁紙
様々な壁紙が提供されています。その他の新機能と変更点
「Linux Mint 20」は「Ubuntu 20.04 LTS」をベースに構築されているため、「Ubuntu 20.04 LTS」の情報も参照してください。Cinnamon 4.6の新機能と変更点
「Cinnamon 4.6」の新機能と変更点です。Nemoのパフォーマンス改善
「Nemo」はデフォルトのファイルマネージャーです。「Nemo」のパフォーマンスが改善されました。
可能な限りディレクトリー(フォルダー)のコンテンツとナビゲーション処理を優先するようになり、サムネイルの生成処理は優先順位が落とされました。
この結果ディレクトリー内のファイルを一覧表示する際、ファイルのサムネイル描画を行う前は一般的なファイルアイコンが表示されるようになりますが、代わりにユーザーが体感できるくらいパフォーマンスが向上しています。
またこれによりファイル数が多く大量のディスクI/Oが発生する状況や、HDD等遅いストレージを利用している環境では、顕著にパフォーマンスが向上しています。
ディスプレイの設定
ディスプレイの設定では、リフレッシュレートの設定が可能になりました。分数スケーリングのサポート
「Cinnamon 4.6」で「分数スケーリング(Fractional Scaling)」が導入されました。今まで画面の拡大率は100%のノーマルモードと200%のHiDPIモードの2種類がありました。
また拡大率はすべてのモニターに一律に適用されていました。
「Cinnamon 4.6」ではモニター毎に画面の拡大率を指定できるようになり、また拡大率も100%から200%の間で一定間隔(125%, 150%, 175%)で拡大率を調整できるようになりました。