Ubuntu Touch その127 - Ubuntu Touch OTA-21がリリースされました・Ubuntu Touch OTA-21の新機能と変更点

Ubuntu Touch OTA-21がリリースされました

2022年1月5日、「Ubuntu Touch OTA-21」がリリースされました。

Ubuntu Touch OTA-21 Release

Ubuntu Touchとは

「Ubuntu Touch」は、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイス向けのOSであり、ユーザーのプライバシーと自由を尊重するOSです。

A Mobile Version of the Ubuntu Operating System

UbuntuベースのOS

「Ubuntu Touch」は「Ubuntu」ベースで開発されているOSであり、開発は「UBports」コミュニティーにより行われています。

モバイルのUXとデスクトップのUX

外部ディスプレイとキーボード、そしてマウスをモバイルデバイスに接続すれば、UIがデスクトップ向けのUIに変化し、デスクトップとして活用することもできます。
つまり1つのモバイルデバイスで、モバイルのUXとデスクトップのUXを利用することができます。

Ubuntu Touchがサポートしているデバイス

「Ubuntu Touch」がサポートしているデバイスや、各デバイスで利用可能な機能及び制限は、以下を参照してください。

Ubuntu Touch devices

Ubuntu Touchインストーラー

「Ubuntu Touch」は「UBports Installer」を利用してインストールします。
「UBports Installer」は、「Windows」「macOS」「Linux」に対応しています。

Install Ubuntu Touch

「UBports Installer」の使い方は、以下の動画を参考にしてください。

Ubuntu Touch OTA-21の新機能と変更点

「Ubuntu Touch OTA-21」は「UBports」による「Ubuntu Touch」の21回目のアップデートです。

1.機能の改善や改良が主な変更点

現在開発チームは「Ubuntu Touch」のベースOSを「Ubuntu 16.04 LTS」から「Ubuntu 20.04 LTS」へ移行する作業に注力しています。
そのため「Ubuntu 16.04 LTS」ベースの「Ubuntu Touch」では開発コストを抑えるため、不具合修正など安定性向上に注力した取り組みが行われています。
言い換えれば大規模な新機能の実装等は行われず、機能の改善や改良が主な変更点になります。
また「Ubuntu Touch OTA-21」は引き続き「Ubuntu 16.04 LTS」ベースで構築されています。

2.アップデート対象デバイス

「Ubuntu Touch OTA-21」は、以下のデバイス向けにリリースされています。
以下のデバイスを利用しているユーザーは、来週までにアップデートが提供されます。

BQ E4.5 Ubuntu Edition
BQ E5 HD Ubuntu Edition
BQ M10 (F)HD Ubuntu Edition
BQ U Plus
Cosmo Communicator
F(x)tec Pro1
Fairphone 2
Fairphone 3
Google Pixel 2XL
Google Pixel 3a
Huawei Nexus 6P
LG Nexus 4
LG Nexus 5
Meizu MX4 Ubuntu Edition
Meizu Pro 5 Ubuntu Edition
Nexus 7 2013 (Wi-Fi 及び LTE モデル)
OnePlus 2
OnePlus 3 and 3T
Oneplus 5 and 5T
OnePlus 6 and 6T
OnePlus One
Samsung Galaxy Note 4 (910F, 910P, 910T)
Samsung Galaxy S3 Neo+ (GT-I9301I)
Sony Xperia X
Sony Xperia X Compact
Sony Xperia X Performance
Sony Xperia XZ
Sony Xperia Z4 Tablet (LTE もしくは Wi-Fi のみ)
Vollaphone
Vollaphone X
Xiaomi Mi A2
Xiaomi Mi A3
Xiaomi Mi MIX 3
Xiaomi Poco F1
Xiaomi Redmi 3s/3x/3sp (land)
Xiaomi Redmi 4X
Xiaomi Redmi 7
Xiaomi Redmi Note 7 及び 7 Pro
Xiaomi Redmi 9 及び 9 Prime
Xiaomi Redmi Note 9, 9 Pro, 9 Pro Max 及び 9S

PinePhone/PineTabについて

「PinePhone」及び「PineTab」向けのアップデートは、上記デバイスとは別にリリースされます。
また「PinePhone」及び「PineTab」向けの「Stableチャンネル」では、「OTA-21」の名称（ラベル）が付いたアップデートは提供されません。

3.ストレージ統計の改善

システム設定のストレージ統計では、空き領域と使用済み領域の情報が表示されます。
このストレージ統計のUIが見直され、新たなカテゴリーが追加されました。
また「Ubuntu Touch」が専有しているストレージ領域とシステムパーティションレイアウトによって使用されているストレージ領域の詳細がより正確に表示されるようになりました。

4.グリーターの改善

スクリーンロックを解除する時の画面のデザインが見直されました。
見た目がよりモダンになり、なめらかなデザインで表示されるようになりました。
PINもしくはパスワードによるアンロックを行う際に、異なるスタイルで画面が表示されます。

5.Halium 10デバイスのサポート改善

「Halium 10」デバイスの自動インストールとアップデート機能が動作するように修正されました。
ただし実際に「Halium 10」デバイスが動作するようになるには、まだ追加作業が必要です。

6.フォントの追加

「Tamilフォント」が追加されました。

7.磁気センサーとコンパスのサポート改善

「Halium 9」デバイスのセンサーフレームワークで、磁気センサーとコンパスプラグインが有効になりました。
ただしコンパスに関してはセンサー値のプリフィルタリングが必要であり、不正な値を読み込んでしまう問題があります。
そのためコンパスに関してこの改善は、コンパスの完全なサポートに向けた取り組みとなります。

8.Media-Hub の改善

「Media-Hub」の実装が見直され、「Media-Hub」サービスが書き直されました。
また「Media-Hub」のクライアントライブラリーも「Qt」のクラスを利用するように書き直されました。

これによりメンテナンスされていないいくつかのライブラリーへの依存を断ち切ることができ、「UBports」の開発者によるメンテナンスが容易になりました。
加えて「qtubuntu-media」のディスク使用量とメモリー使用量が少しですが削減されました。
ちなみに「qtubuntu-media」は「QtMultimedia」に「Media-Hub」の機能を提供するためのプラグインです。

ただし他のプロジェクトが開発するソフトウェアの中には、それらのメンテナンスされていないライブラリーに依存しているソフトウェアもまだあります。
それらのソフトウェアも今後は新しいライブラリーへと移行していくことになります。

今後も改善作業が続く

今後も「Media-Hub」の改善作業が予定されており、リモートメディアの再生機能のサポート改善や、アプリケーション内から音量を調整する機能のサポート、再生スピードの変更機能、そして1つのアプリケーション内から複数の動画を再生する機能のサポートが計画されています。
最後の機能は「TELEports」にとって必須の機能となります。

9.Halium 9デバイスの不具合修正

「Halium 9」デバイスで新しく追加された「APN」の設定が正常に保持されるようになりました。

10.MMSの改善

2Gネットワークのみが有効な環境でも「MMS」を取得できるようになりました。
また「MMS」がダウンロードできなかった時に赤文字の警告メッセージを表示し、ユーザーは「MMS」を再ダウンロードできるようになりました。
ただしダウンロードボタンを押す前に、ネットワーク接続が確立されているかどうか確認してください。
ネットワーク接続が確立されていない場合、永遠と再ダウンロードが実行され、UIがフリーズします。
この問題は次のアップデートで修正される予定です。

11.ユーザーメトリックスの不具合修正

「Halium 9」以降のすべてのデバイスで、ロックスクリーン上のユーザーメトリックスが表示されない問題が修正されました。

12.メッセージアプリの修正

連絡先等のアイテムを共有する際、メッセージアプリで連絡先を正常に選択できるようになりました。
連絡先は「+」アイコンから追加でき、最終的に受信者の詳細に表示され、「To:」フィールドに追加されなくなりました。
また一部の環境でメッセージアプリが起動時に頻繁にクラッシュする問題が修正されました。

13.時計アプリの不具合修正

「時計アプリ（clock-app）」のタイマーモードで12時を過ぎた時に発生するアニメーションの不具合が修正されました。

14.レイアウトの修正

カスタムメッセージと着信音の選択画面で、画面の一部が見切れる問題が修正されました。

15.Morph Browserの改善

「Morph Browser（ウェブブラウザー）」でマイク入力がサポートされました。
この機能はブラウザー上での通話・会議システムで重要な機能です。

16.Googleアカウントがセットアップできない問題の修正

Googleアカウントを適切にセットアップできるようになりました。

既知の問題

既知の問題です。

録画に失敗する

「Pixel 3a（sargo）」や「Halium 9」デバイスで映像の録画に失敗する可能性があります。
これはソフトウェアの起動時、競合により「gstreamer」キャッシュのクリアが不完全になるケースがあるためです。
この問題が発生した場合、以下のいずれかの方法で問題を回避できます。

1回から複数回再起動する
以下のコマンド等で「$HOME/.cache/gstreamer-1.0」の中身をクリアする

rm -rf $HOME/.cache/gstreamer-1.0

Ubuntu Touch OTA-21をインストールするには

「Ubuntu Touch OTA-21」をインストールする方法です。

1.stableチャンネルでUbuntu Touchを利用している場合

現在「stable」チャンネルですでに「Ubuntu Touch」を利用している場合、「System Settings」の「Updates」画面から「Ubuntu Touch OTA-21」へアップデートできます。

ただしアップデートはリリース日から来週にかけてランダムに提供されるため、デバイスによってアップデートを受け取れる時期が異なります。
これはアップデートに問題が見つかった際に、ユーザーへの影響を軽減するための措置です。