KDE Gear 22.08の新機能と変更点
2022年8月18日、「KDE Gear 22.08」がリリースされました。KDE Gear
「KDE Gear」は「KDE」コミュニティーによって開発されているソフトウェア群(アプケーション群)です。例えばファイルマネージャーの「Dolphin」や高度なテキストエディターである「Kate」、ターミナルエミュレーターの「Konsole」など多くのアプリがこれに含まれます。
「KDE」環境では「KDE Gear」から提供されるアプリケーションの多くがデフォルトで採用されています。
Kubuntu 22.10でKDE Gear 22.08.2を採用
先日リリースされた「Kubuntu 22.10」で「KDE Gear 22.08.2」が採用されています。「KDE Gear 22.08.2」は「KDE Gear 22.08」シリーズの2回目のマイナーアップデートです。
ここではリリースノートから「KDE Gear 22.08」の新機能と変更点を紹介します。
「KDE Gear 22.08」シリーズのリリースノートは、以下を参照してください。
Spectacle
「Spectacle」はスクリーンキャプチャーアプリです。その場で作成したキャプチャーに注釈を入れたり、オンラインサービスにアップロードしたり、キャプチャーをファイルに保存するなど、多機能で使いやすいスクリーンキャプチャーアプリです。
1.撮影モードにショートカットキーを表示
頻繁にスクリーンをキャプチャーする場合ショートカットキーを活用したほうが作業が捗るでしょう。撮影モードの選択にショートカットキーが表示されるようになりました。
これにより、わざわざショートカットキーを調べる必要がなくなりました。
2.注釈ウィンドウの自動拡大
注釈ウィンドウを開いてキャプチャー画像を編集する際、注釈ウィンドウが画像のサイズに合わせて自動的に拡大されるようになりました。Kalendar
「Kalendar」はカレンダー及びスケジュール管理アプリです。いわゆるPIMアプリに相当するものですね。
「Kalendar」に様々な新機能が搭載され、今までよりも多くの情報を「Kalendar」から利用及び管理できるようになりました。
1.連絡先ビュー
「Kalendar」に連絡先ビューが追加され、連絡先に簡単にアクセスできるようになりました。連絡先は「KAddressBook」といった他のアプリケーションと共有されており、お互い連携して連絡先を利用することができます。
2.連絡先情報のソース
連絡先情報は「KAddressBook」と同様に、「Nextcloud」といった「WebDav」や「Etesync」、「Microsoft Exchange Server」そしてローカルの「vCard」から取得することも可能です。3.QRコードの生成
連絡先ビューから連絡先のQRコードを生成できるようになりました。これによりQRコードから簡単に連絡先を共有できます。
4.アプレット
システムトレイにアドレス帳のアプレットが統合されました。このアプレットから連絡先を検索したり、QRコードを生成したり、特定の連絡先にメールを送信するなどのアクションを実行できます。
5.連絡先エディター
「Kalendar」に連絡先の追加や編集など、連絡先エディターが搭載されました。連絡先の一部の項目には対応していませんが、十分な機能を持っている連絡先エディターです。
6.連絡先グループ
複数の連絡先をグルーピングする連絡先グループに対応しました。もちろん連絡先グループの編集も可能です。
7.親タスクとサブタスクの表示
親タスクとそのタスクに関連するサブタスクをサイドバーに表示できるようになりました。タスク間で移動することも可能です。
KDE Itinerary
「KDE Itinerary」は旅行日程の管理や旅行を支援するアプリです。1.チケット情報のインポート
紙チケットのバーコードを読み取りアプリにその情報を取り込むバーコードスキャナーが追加されました。2.チケットのサポート改善
定額チケットや割引プログラムカードがサポートされました。詳細画面からチケットの詳細を確認することができます。
3.電車やバス情報のインポート
電車やバス情報をオンラインサービスからインポートできるようになりました。また特定の区間で電車やバスの代替案を検索できるようになりました。
4.カレンダーとの連携
カレンダーからイベントをインポートする機能が改善され、インポートするイベントを選択できるようになりました。Kate/KWrite
「Kate」及び「KWrite」はテキストエディターです。「Kate」は多機能なテキストエディターであり、「KWrite」は「Kate」よりもシンプルなテキストエディターです。
1.マルチカーソルのサポート
1つのドキュメント内に複数のカーソルを配置し、同時に文字列を入力できるようになりました。2.タブと画面分割のサポート(KWrite)
「KWrite」ではタブと画面分割がサポートされ、複数のドキュメントを開けるようになりました。3.ツールバーの表示(Kate)
「Kate」ではデフォルトでツールバーが表示されるようになりました。4.メニューバーの見直し(Kate)
「Kate」のメニューには多くのメニュー項目があり、メニュー構成が見直されわかりやすさが向上しています。Filelight
「Filelight」はディスクスペースを調査するアプリです。サイズの大きいファイルの発見などに活用できます。
1.UIデザインの改良
UIデザインが改良され、モダンなデザインになりました。2.ツールチップの修正
ツールチップのテキストが端で切られてしまう問題が修正されました。Partition Manager
「Partition Manager」はストレージのパーティション操作やフォーマットなどを行うソフトウェアです。1.情報ウィンドウのデザイン調整
情報ウィンドウに表示される各種情報が、ウィンドウの上部を基準に配置されるようになり、情報の見やすさが向上しました。2.ストレージの電源投入時間の表示改善
「S.M.A.R.T.」から取得できるストレージの電源投入時間を、ユーザーが理解しやすい表現で表示するように修正されました。Dolphin
「Dolphin」はファイルマネージャーです。ローカルファイルの操作だけでなく、「Samba」や「SSH」、「FTP」といったリモート上のファイル操作にも対応しています。
1.ファイルの拡張子による並び替え
ファイルの拡張子による並び替えに対応しました。2.履歴の削除
「最近使用したファイル」や「最近使用した場所」内に表示される各アイテムを個別に履歴から削除できるようになりました。3.メッセージの改善
フォルダーを開くのに時間がかかる場合、その操作をキャンセルした時に表示されるメッセージが適切なメッセージに修正されました。Elisa
「Elisa」はミュージックプレーヤーです。1.キーボード操作の改善
サイドバーに配置されているプレイリストでキーボード操作によるナビゲーション操作に対応しました。2.タッチスクリーン操作の改善
タッチスクリーンでは、プレイリスト操作時に曲を選択するだけでなく即座にその曲が再生されるようになりました。3.プレイリストのUI改善
プレイリストの各アイテムの高さが調整され、プレイリストのタッチ操作が改善されました。4.起動時の自動スキャンの無効化が可能に
音楽コレクションで起動時の自動スキャンを無効化できるようになりました。5.トラックの並び替え
変更日時でトラックを並び替えられるようになりました。最近追加したトラックや変更したトラックを優先的に再生したいときに活用できるでしょう。
6.ファイルビューの改善
ファイルビューでは「/(root)」からファイル一覧を表示するように変更されました。これによりユーザーのホームフォルダー内にない音楽ファイルに容易にアクセスできるようになりました。
Ark
「Ark」はアーカイブファイルの作成や展開など、アーカイブを操作するアプリです。アーカイブファイルを展開する時に事前にアーカイブを展開するのに十分な空き容量がストレージにあるかチェックするようになりました。
Konsole
「Konsole」は端末です。特定のセッションに関する「Konsole」の通知をクリックした時に、そのセッションがアクティブになるように改善されました。
Skanpage
「Skanpage」はスキャナーからスキャンするアプリです。「OCR(光学文字認識)」を利用した検索可能なPDFファイルをエクスポートできるようになりました。
Gwenview
「Gwenview」はイメージビューアです。1.注釈機能に対応
画像に注釈を入れる注釈機能に対応しました。この機能の使い勝手は「Spectacle」と同様です。