GNOMEからX Window System/X11セッションを削除する提案
2023年10月8日、「GNOME」で「GNOME」から「X Window System/X11(X.Org Server)」セッションを削除する提案が出されました。2種類のディスプレイサーバー
ディスプレイサーバーはマウスやキーボードと言った入力デバイスの管理や仲介、ディスプレイの出力や管理など、GUIデスクトップを支えるソフトウェアです。現在利用されているディスプレイサーバーには、以下の2種類のディスプレイサーバーがあります。
- X Window System/X11(X.Org Server)
- Wayland(GNOME Mutter)
「Wayland」は後からでてきた新しいディスプレイサーバーであり、将来的に「X Window System/X11」を置き換える存在です。
現在「GNOME」を採用している「Ubuntu」では、上記2種類のディスプレイサーバーをサポートしており、ログイン画面で利用するディスプレイサーバーを切り替えられるようになっています。
また搭載している「GPU」及び利用している「GPU」ドライバーにもよりますが、現在「Ubuntu」ではデフォルトのディスプレイサーバーが「Wayland」になっています。
もうそろそろいいんじゃないか?
上記の提案では「X Window System/X11(X.Org Server)」セッションを選択できなくする提案であり、元に戻すことは可能になっています。しかし将来的には「X Window System/X11(X.Org Server)」のサポート自体を削除する提案も出されています。
この提案が通れば「X Window System/X11(X.Org Server)」は利用できなくなります。
後はこの提案がいつ「GNOME」に反映されるかですね。
「GNOME」は毎年2回、3月と9月にリリースされているため、来年以降リリースされる「GNOME」に向けて明らかになっていくでしょう。
影響範囲は広い
「Budgie」など「GNOME」ベースで開発されているデスクトップ環境が複数存在しており、現状まだ「Wayland」へ移行できていないデスクトップ環境もあります。また「Wayland」を利用するには「Wayland」が要求する要件を満たしたGPUドライバーが必要になります。
例えばNVIDIA GPUドライバーは「Wayland」のサポートが不十分です。
ユーザー視点から見た場合、「Wayland」に対応していないアプリは「Wayland」が提供する「X Window System/X11(X.Org Server)」互換環境で動作しますが、アプリによっては素の「X Window System/X11(X.Org Server)」環境かどうかをチェックし、「Wayland」環境では実行を拒否するアプリもあります。
また「Wayland」上では正常に動作しないアプリもあるでしょう。
サードパーティーにWaylandへの移行を促す
今回の提案はサードパーティーに「Wayland」への移行を積極的にかつ迅速に促すサインでもあります。「GNOME」は方針として7年前にデフォルトで「Wayland」へ移行するとの決定を下しています。