Snap版Steamの注目すべき進歩と改善
Snap版Steamの注目すべき進歩と改善を紹介します。早期アクセス版から安定版へ
早期アクセス版のSnap版Steamがリリースされてから約1年半が経過しました。また同様に安定版のSnap版Steamがリリースされてから約半年が経過しました。
Snap版Steamの振り返り
Snap版Steamをメンテナンスしている開発者が、以下でSnap版Steamの注目すべき進歩と改善を紹介しています。Protonのサポート改善
「Proton」はWindowsの互換レイヤーを提供するソフトウェアです。Steamでは「Proton」を活用し、Windows向けのゲームをLinux上で動作させています。
「Proton」はWindows向けのゲームにWindowsの互換環境を提供するソフトウェアだと思えば分かりやすいでしょう。
Snapによる制限
Windowsゲームのサポート状況は、この「Proton」の互換性の高さにかかっているわけですが、Snap版Steamではそれに加えSnapならではの制限にも影響を受けます。Snapはソフトウェアをコンテナのように隔離して配置し、セキュリティーを高める仕組みを備えており、不用意に外側のリソースへアクセスできないようになっています。
steam_supportインターフェースの改善
そこで外部ストレージのマウントやNVIDIA GPUドライバーへのアクセス、ネットワークの互換性向上、「/usr」や「/lib/libexec」ファイルへのアクセス許可など、snapdが提供する「steam_support」インターフェースが改善されました。これによりSnap版SteamではWindowsゲームのサポートが改善されました。
外部ライブラリーのサポート
多くのプレーヤーはゲームをSnapアプリからアクセスできない外部ストレージに保存します。そのため外部ストレージに保存されたゲームをSnap版Steamから起動できるようにするには、Snap版Steamがそれらの外部ストレージへアクセスできなければなりません。
そこでSnap版Steamでは、以下のフォルダー内に配置されたゲームライブラリーにアクセスできるように改善されました。
- /mnt
- /media
- /run/media
- /opt
- /src
- /home
GameModeの同梱
Snap版Steamに「GameMode」が同梱されました。「GameMode」はそのゲームに最適な各種システム設定を自動的に設定するソフトウェアです。
GameModeを簡単に利用できる
「GameMode」の同梱によりゲームのランチャーの引数に「gamemoderun %command%」を指定することで、簡単に「GameMode」を利用できるようになりました。また「GameMode」自身もSnap版Steamに対応するため、以下の修正が行われました。
注意事項
「GameMode」が動作するには、以下の修正が取り込まれている必要があります。現時点でまだ本修正は取り込まれていません。
MangoHUDの同梱
Snap版Steamに「MangoHUD」が同梱されました。「MangoHUD」はゲーム画面上にFPSや温度、CPU/GPUの使用率を表示するソフトウェアです。
MangoHUDを簡単に利用できる
「MangoHUD」の同梱により「mangohud %command%」を指定することで、簡単に「MangoHUD」を利用できるようになりました。コントローラーのサポート改善
ゲームコントローラーのサポートがここ1年で大幅に改善されました。「uinput」プラグの追加や「steam_support」インターフェースの改善などにより、多くのゲームコントローラーがそのまま動作するようになりました。
NVIDIA GPUドライバーのサポート改善
「opengl」や「steam_support」インターフェースの改善により、NVIDIA GPUドライバーのサポートが改善され、パフォーマンスが向上しました。また「opengl」の改善により、NVIDIA GPUドライバー環境で「opengl」を活用する他のSnapアプリでも、NVIDIA GPUをより効果的に活用できるようになりました。
デバッグツールの同梱
Snap版Steamに不具合や問題の特定を支援するデバッグツールが同梱されました。デバッグツールはシンプルなツール及びテストスクリプトで構成されており、「glxgears」や 「vkcube」のようなグラフィックデモも含まれています。
steamreportとnvidia32スクリプト
Snap版Steamにゲームの動作報告やライブラリーの導入を支援するユーザー向けのスクリプトが同梱されるようになりました。steamreport
「steamreport」はゲームの問題を報告するためのスクリプトです。ユーザーはゲームの動作に問題が見つかった時に「steamreport」を利用してその問題を開発者に伝えることができます。
いわゆる不具合報告なのですが、不具合の報告にはハードウェアやシステム情報などユーザーの環境に関する情報が必要になります。
カジュアルユーザーでも簡単に不具合を報告できるようにするため、ユーザー環境の情報を自動的に収集し、不具合報告の中に含められるようになっています。
元々「steamreport」はコマンドラインツールだったのですが、GUIにも対応しました。
ゲームの問題を報告するには
「steamreport」を利用してゲームの問題を報告する方法は、以下を参照してください。nvidia32
「nvidia32」スクリプトは64bit版のNVIDIA GPUドライバーと共にインストールが推奨されている32bit版のNVIDIAライブラリーのインストールを支援するスクリプトです。Steam起動時に必要に応じて32bit版のNVIDIAライブラリーのインストールをユーザーに促すようになっています。
ドキュメントの改善
Snap版SteamのインストールやFAQ、トラブルシューティングなどを載せたドキュメントが改善されました。Snap版Steamのドキュメントは、以下からアクセスできます。