Ubuntu Desktop開発チームの取り組み
2023年10月9日、Ubuntu Desktop開発チームは、以下で「Ubuntu Desktop」の開発状況や現在の取り組みを紹介しました。いくつかピックアップします。
1. App Center
「App Center」は「Ubuntu 23.10」で導入される新しいアプリケーションストアであり、従来の「Ubuntu Software(Snap Store)」を置き換えます。
ちなみにアプリケーションストアはアプリの検索やインストール、アンインストールなどアプリを管理するためのアプリです。
「App Center」は「Flutter」を利用して一から開発されています。
1. バイナリー名の変更検討と維持
「App Center」のバイナリー名(実行ファイルのファイル名)は従来と変わらず「snap-store」になっています。「App Center」のバイナリー名を「app-center」に変更する案が検討されました。
しかし多くのユーザーが「App Center」のバイナリー名を意識せずにドックやオーバービューから「App Center」を起動しており、内部修正のリスクを負ってまで変更する価値はないと判断し、「App Center」のバイナリー名は引き続き「snap-store」を維持することになりました。
2. App Centerのチャンネル
「App Center」はSnapで提供されるソフトウェアです。Snapにはアプリの異なるバージョンを配置するチャンネルという仕組みがあります。
例えば最新版やβ版、開発版など目的に応じて複数のチャンネルを用意でき、各チャンネルに目的に沿ったソフトウェアを配置できます。
ソフトウェアはいずれかのチャンネルからインストールすることになります。
さて「App Center」のソフトウェア情報やチャンネル情報を確認するには、以下のコマンドを実行します。
snap info snap-store
「Ubuntu 23.10」上で上記のコマンドを実行すると、以下の出力結果が得られます。
「tracking:」の項目がインストールに使用したチャンネルを表しています。
「channels」にチャンネルの一覧が表示されています。
「Ubuntu 23.10」で「tracking:」の項目を見ると、「App Center」は「latest/stable/ubuntu-23.10」チャンネルからインストールされていることが分かります。
3. App Center β版
「App Center」の自動ビルドと「Snap Store」への公開は、「latest/edge」チャンネルで行われるようになっています。そのため「latest/edge」チャンネルに配置される「App Center」は、β版の「App Center」になります。
以下のコマンドを実行すれば、「latest/edge」チャンネルに切り替えることもできます。
sudo snap refresh --channel=edge snap-store
4. Flutter版Ubuntu Software
「2.」のチャンネル一覧の中に「preview/」で始まるチャンネルがあります。これは以前紹介したFlutter版「Ubuntu Software」であり、現在このソフトウェアのビルドはメンテナンスされていないため、これらのチャンネルの削除が検討されています。
5. 新しいアプリの評価システム
「App Center」に新しいアプリの評価システムが導入されました。ユーザーはYoutubeの評価ボタン見たくいいねボタンかバッドボタンをクリックすることでそのアプリを評価できます。
そして評価が25票以上集まった時に、高評価から低評価までのいずれかの評価が表示されるようになっています。
それまでは投票が不十分と表示されます。
ちなみに評価アルゴリズムに「ウィルソンの信頼区間」が導入されています。
評価の協力を
この新しいアプリの評価システムは登場したばかりであり、ユーザーからの投票が十分に集まっていません。お気に入りのアプリがあったら気軽にいいねボタンをクリックしてもらえればと思います。
2. GNOME Rustライブラリーのアップデート
「Ubuntu 23.10」でGNOME Rustライブラリーがアップデートされました。詳細については以下を参照してください。