Ubuntu 24.10 の開発方針とロードマップ
Ubuntu 24.10 の開発方針とロードマップを紹介します。
ロードマップはあくまで方針であり、途中で変更になる可能性もあります。
機能の改良
Ubuntu 24.04 LTS ではフレームポインターをデフォルトで有効化する作業や、armhf アーキテクチャーで time_t を 64bit化する作業、xz-utils の脆弱性対応作業により、Ubuntu 24.04 LTS β版リリース前にソフトウェアのリビルドに多くの時間が必要になりました。
そのため Ubuntu 24.04 LTS β版前に十分なリソースを確保できず、開発チームは方針を変更し、最も重要な機能の実装や安定化に注力することになりました。
そこでUbuntu 24.10 では、Ubuntu 24.04 LTS で導入したが間に合わなかった既存機能の改良が計画されています。
この機能を利用可能なハードウェア構成は限られており、サポートするハードウェア構成の拡大に向けた取り組みが予定されています。
また TPM による FDE では外部カーネルモジュールを利用できませんが、NVIDIA GPUドライバーを利用できるように対応作業が行われる予定です。
かつてプリインストールイメージで GNOME Initial Setup が提供していたユーザーアカウントの作成機能やインストーラーとの一貫性向上が予定されています。
またSnapアプリのアップデート状況を示すメッセージの改善や、Snapアプリのパブリッシャーの詳細情報を表示する機能の検討が予定されています。
Ubuntu Desktop では、Ubuntu Desktop Installer や App Center など GUI アプリの開発に Flutter を採用しています。
他にも Invertase と連携し、デスクトップと Dart で FlutterFire を利用できるようになりました。
また Ubuntu 24.10 では、NVIDIA GPU を搭載した環境でも Wayland セッションがデフォルトのになる予定です。
組織内のPCやユーザーなどのリソースを管理するための仕組みです。
その取り組みにより最初に登場した実装が aad_auth です。
aad_auth は Azure Active Directory をサポートするように設計されていました。
しかし aad_auth は、デバイスをエンロール(登録)する機能や、多要素認証に対応していませんでした。
authd は Microsoft Entra ID によるデバイスをエンロールする機能や多要素認証のサポートに加え、OpenID Connect にも対応する予定です。
これらの機能を搭載した authd は、Ubuntu LTS を利用している企業で活用できるように、今年の後半に登場する予定です。
これを祝い Ubuntu 24.10 でイースターエッグが搭載されるかもしれません。
それに向けCanonical では、今後数週間で幅広い役職を募集し、Ubuntu Desktop チームで活躍できる優れた人材を確保していく予定です。
そのため Ubuntu 24.04 LTS β版前に十分なリソースを確保できず、開発チームは方針を変更し、最も重要な機能の実装や安定化に注力することになりました。
そこでUbuntu 24.10 では、Ubuntu 24.04 LTS で導入したが間に合わなかった既存機能の改良が計画されています。
Ubuntu Desktop Installerの改良
LTSリリースで初めて導入された Ubuntu Desktop 向け新インストーラーの改良作業が予定されています。TPMによるFDEのサポート改善
新インストーラーは TPM による FDE(ディスクの暗号化)を試験的にサポートしています。この機能を利用可能なハードウェア構成は限られており、サポートするハードウェア構成の拡大に向けた取り組みが予定されています。
また TPM による FDE では外部カーネルモジュールを利用できませんが、NVIDIA GPUドライバーを利用できるように対応作業が行われる予定です。
Welcome wizardの再設計
Welcome wizard は、ユーザーが Ubuntu Desktop インストール後に初めて Ubuntu Desktop を起動した時に表示される画面及びそれを提供するソフトウェアです。かつてプリインストールイメージで GNOME Initial Setup が提供していたユーザーアカウントの作成機能やインストーラーとの一貫性向上が予定されています。
App Center
App Center はアプリのインストールやアップデートなど、ユーザーがアプリを管理するためのアプリです。使い勝手の改善
UIレイアウトの見直しや検索性の向上、アプリ評価システムの改善が予定されています。またSnapアプリのアップデート状況を示すメッセージの改善や、Snapアプリのパブリッシャーの詳細情報を表示する機能の検討が予定されています。
debパッケージのサポート
debパッケージをインストール機能のサポートが予定されています。Ubuntu Core 24 への移行作業
Ubuntu Desktop チームがメンテナンスしているSnapアプリを、将来リリース予定のUbuntu Core 24 へ移行する作業が予定されています。Flutter
Flutter は GUI アプリを構築するためのフレームワークです。Ubuntu Desktop では、Ubuntu Desktop Installer や App Center など GUI アプリの開発に Flutter を採用しています。
Linux 固有の機能
Ubuntu はアップストリームの Flutter チームと連携し、デスクトップ通知やネットワークマネージャーインターフェースのサポート、GSettings や Bluetooth のサポートなど、Linux 固有の機能をサポートするために取り組んできました。他にも Invertase と連携し、デスクトップと Dart で FlutterFire を利用できるようになりました。
GTK 4への移行
さて Flutter では GTK 3 から GTK 4 への移行が予定されており、これによりパフォーマンスの改善やアクセシビリティーのサポートが向上します。GNOME と Wayland
Ubuntu Desktop のデフォルトセッションが Wayland セッションになって久しいですが、NVIDIA GPUのサポートがまだ不完全です。NVIDIA GPU で Wayland セッションのサポート
Ubuntu 24.10 では NVIDIA GPU で Wayland セッションのサポートが予定されています。また Ubuntu 24.10 では、NVIDIA GPU を搭載した環境でも Wayland セッションがデフォルトのになる予定です。
Ubuntu Core Desktop
Ubuntu Core Desktop は Snap 版の Ubuntu Desktop です。プレビュー版ディスクイメージ
デスクトップを構成するためのすべての Snap コンポーネントが安定版に移行し、インストーラーとの統合が完了したら、Ubuntu Core Desktop のプレビュー版ディスクイメージがリリースされる予定です。Active Directory
Active Directory は Microsoft によって開発されているディレクトリーサービスです。組織内のPCやユーザーなどのリソースを管理するための仕組みです。
aad_auth の登場
Ubuntu 23.04 で Ubuntu Desktop と クラウドベースの認証システムをサポートする取り組みが開始されました。その取り組みにより最初に登場した実装が aad_auth です。
aad_auth は Azure Active Directory をサポートするように設計されていました。
しかし aad_auth は、デバイスをエンロール(登録)する機能や、多要素認証に対応していませんでした。
authd の改良
次に aad_auth よりも洗練された実装を目指し、authd が登場しました。authd は Microsoft Entra ID によるデバイスをエンロールする機能や多要素認証のサポートに加え、OpenID Connect にも対応する予定です。
これらの機能を搭載した authd は、Ubuntu LTS を利用している企業で活用できるように、今年の後半に登場する予定です。
イースターエッグ
今年で Ubuntu 誕生 20周年を迎えます。これを祝い Ubuntu 24.10 でイースターエッグが搭載されるかもしれません。
WSL 向け Ubuntu のサポート改善
WSL 上で動作する Ubuntu 向けに、セキュリティーの設定や管理、標準化を簡単に実現できるようにするためのツールの開発が行われています。Ubuntu Desktop チームの強化
Ubuntu のパブリッシャーであり、Ubuntu プロジェクトの後ろ盾となっている Canonical では、今後1年かけて Ubuntu Desktop チームを少なくとも 1.5倍に拡大する計画です。それに向けCanonical では、今後数週間で幅広い役職を募集し、Ubuntu Desktop チームで活躍できる優れた人材を確保していく予定です。