APT の新機能と改善点
Ubuntu 24.10 では APT 2.9.8 がインストールされています。APT
APT は deb パッケージを管理するための仕組みです。パッケージのインストールやアップデートといったパッケージ操作だけでなく、パッケージが配置されているリポジトリーの管理も行います。
その APT から提供される apt コマンドはユーザーが deb パッケージを操作する時に利用するコマンドであり、全 Ubuntu ユーザーがお世話になっているコマンドでしょう。
APT 2.9.8
Ubuntu 24.10 にインストールされている APT 2.9.8 は 開発中の APT 3.0 のスナップショット版にあたります。APT 2.9.8 では APT 3.0 に搭載予定の機能が取り込まれています。
新しいユーザーインターフェース
APT 3.0 では apt コマンドのユーザーインターフェースが新しくなります。パッケージ操作の確認画面
apt コマンドに指定したパッケージ操作により、実際にパッケージ操作を行う前に変更内容を確認する確認画面が表示されます。この確認画面は従来でも同様に表示されていましたが、新しいユーザーインターフェースではこの確認画面が改良され、パッケージ操作による変更内容を把握しやすくなりました。
変更内容の各セクションは空白行で区切られ、見出しは読みやすくなり、全体的に見通しが良くなりました。
また影響を受けるパッケージの一覧は色分けされており、変更内容がひと目で分かるようになりました。
空き容量のチェックと警告表示
/usr や /boot があるパーティション(ファイルシステム)の空き容量がチェックされ、事前にパッケージ操作に十分な空き容量があるかどうかチェックするようになりました。パッケージ操作に必要な空き容量が十分にない場合は、警告メッセージが表示されるようになっています。
メッセージの改善
パッケージ操作中に情報を表す E/W/N 文字が、それぞれ Error/Warning/Notice に置き換えられ、ローカライズも可能になりました。セキュリティーの向上
APT ではパッケージをキーで署名し検証する仕組みがあります。APT はこのキーの暗号強度に少なくとも 2048 bit 以上の RSA キーを要求するようになりました。
再署名される前の PPA を APT に登録しているユーザーは、以下のコマンドで一括して PPA のキーを更新できます。
add-apt-repository --refresh-keys
このコマンドは software-properties-common パッケージから提供されるコマンドです。
すでにこのパッケージ及びコマンドはプリインストールされていますので、状況がよく分からないユーザーは、とりあえず一度だけこのコマンドを実行しておけばよいでしょう。
検査や診断機能
apt コマンドに --audit オプションを指定し、apt の実行に関する検査や診断が可能になりました。このオプションを指定すると、将来廃止予定の機能や好ましくない使い方が見つかった時に、エラーメッセージを出力するようになります。
例えばリポジトリーが 3072 bit 未満の弱い RSA キーを署名に使用している場合や、RSA や Ed25519、Ed448 以外のキーを使用している場合、診断メッセージが出力されるようになります。
新しいソルバー
早期プレビュー版の新しいソルバーが利用できるようになりました。この新しいソルバーは --solver 3.0 オプションを指定することで利用できます。
このソルバーでは --no-strict-pinning オプションを提供し、パッケージの候補バージョンとは異なるバージョンのパッケージをインストールできます。
ただし現状このソルバーには、複雑な解決策を見つける処理にいくつか既知の問題があります。
特にバックトラッキングが意図せず中止されてしまいケースがあります。
必ずしもエラー報告が適切は限りませんが、現在のソルバーより役に立つ可能性があります。
この新しいソルバーの詳細は、以下を参照してくださ。