Ubuntu 25.04の開発状況
以下で Ubuntu 25.04 の開発状況が紹介されています。Feature Freeze を迎える
Ubuntu 25.04 の開発では、2025年2月21日に Feature Freeze を迎えました。Feature Freeze を迎えると Debian から全体的なパッケージの導入が凍結され、今後は不具合の修正に焦点をあてた取り組みが主体となります。
ちなみに Feature Freeze 以降でも Feature Freeze Exceptions という手続きにより、例外的にパッケージをアップグレードするプロセスもあります。
Feature Freeze 時のパッケージの状態など、以下でその詳細を確認できます。
コンポーネントのアップデート
以下のコンポーネントのアップデートが予定されています。| コンポーネント | バージョン | LaunchPad |
|---|---|---|
| glibc | 2.41 | glibc/2.41-1ubuntu1 |
| systemd | 257.2 | systemd/257.2-3ubuntu1 |
| openssl | 3.4.1-1 | openssl/3.4.1-1ubuntu1 |
ツールチェーンのアップデート
以下のツールチェーンのアップデートや採用が予定されています。| ツールチェーン | デフォルト | 他に利用可能なバージョン |
|---|---|---|
| GCC | GCC 14 | GCC 15 GCC 13 GCC 12 GCC 11 |
| Python | Python 3.13 | なし |
| OpenJDK | OpenJDK 21 | OpenJDK 25ea OpenJDK 24ea OpenJDK 17 OpenJDK 11 OpenJDK 8 |
| Golang | Golang 1.24 | Golang 1.23 |
| Rust | Rust 1.84 | Rust 1.83 Rust 1.82 Rust 1.81 |
| .NET | .NET 9 | .NET 8 |
| LLVM | LLVM 20 | LLVM 19 LLVM 18 LLVM 17 LLVM 16 LLVM 15 LLVM 14 |
以下のツールチェーンのデフォルトバージョンがアップデートされました。
- Python 3.13
- Go 1.24
- Rust 1.84
- LLVM 20
以下のツールチェーンのデフォルトバージョンは引き続き維持されています。
- .NET 9
- OpenJDK 21
- GCC 14
またアーリーアクセスとして、以下のツールチェーンが利用できるようになっています。
- OpenJDK 24ea
- OpenJDK 25ea
- GCC 15
Dracut のサポート
以前紹介した通り Dracut がサポートされます。crypto-config
crypto-config は システム全体で使用する暗号化プロファイルを選択するためのソフトウェアです。crypto-config が Ubuntu 25.04 の公式リポジトリーから利用できるようになりました。
これにより cloud-init などからも簡単に crypto-config を導入できるようになりました。
ただ crypto-config はまだ開発中のソフトウェアであり、プロファイル設定などユーザーからのフィードバックを募集しています。
Ubuntu Desktop ARM64
ARM64 向け Ubuntu Desktop のサポート改善作業が行われています。以前 Qualcomm Snapdragon X Elite のサポートに向けた取り組みを紹介しました。
この取り組みの成果として、以下のパッケージが Ubuntu 25.04 の公式リポジトリーに配置されました。
また Linux kernel のサポート改善作業や、インストーラーのサポート改善作業が行われています。
Ubuntu Desktop 25.04 リリース時に追加作業をすることなく、Ubuntu Desktop を Qualcomm Snapdragon X Elite にインストールできる日が来るでしょう。
デバイス固有の Ubuntu Desktop ARM64 を一つのイメージに
従来は ARM64 アーキテクチャーの各デバイス向けに、それぞれのデバイスに対応したデバイス固有のインストーラーとイメージを提供してきました。これらのイメージを一つに統合し、単一のイメージで ARM64 デバイスに対応します。
Raspberry Pi のカメラスタックが有効に
Ubuntu 25.04 で Raspberry Pi のカメラスタックがサポートされます。新しい PiSP ドライバーが libcamera に追加されました。
また rpicam-apps アプリと picamera2(カメラ向けの Python API)が利用可能になりました。
このサポートにより Raspberry Pi OS と同じ方法でカメラを利用できるようになります。
さらに Raspberry Pi AI 機能のサポートにも取り組んでいます。
動作自体はできましたが、ライセンスの都合により Ubuntu でこの機能のサポートに必要なソフトウェアを再配布できません。
現状 Ubuntu ではこの課題にも取り組んでいます。
いち早くこのサポートを体験してみたいユーザーは
いち早くこのサポートを体験してみたいユーザーは、以下の PPA を利用すると良いでしょう。ちなみに現時点で libcamera が /dev/dma_heap/linux と cma にアクセスできるように、読み書き可のパーミッションを設定しておく必要があります。
この問題は Ubuntu 25.04 のリリースまでに解消される予定です。
.NET 9
Ubuntu では公式リポジトリーから簡単に .NET をインストールできるようになっています。Ubuntu 25.04 では Ubuntu 24.10 と同様に、.NET 9 が提供されます。
.NET 9 は .NET 8 と同様に、以下のアーキテクチャーを含む複数のアーキテクチャーでサポートされます。
- amd64(x64)
- arm64
- s390x(IBM System Z)
- ppc64el(POWER)
ちなみに Ubuntu 22.04 LTS や Ubuntu 24.04 LTS を利用しているユーザーは、.NET Backports PPA から .NET 9 等の .NET をインストールできます。
Snap版 .NET の改良
Snap版 .NET が改良されました。インストーラーツールが搭載され、.NET のセットアップ(構成)を従来よりも簡単に管理できるようになりました。
例えば複数の .NET のバージョンをサイドバイサイドでインストールしたり、毎月のセキュリティーアップデートを簡単に受け取れるようになりました。
今後に向けた取り組み
Ubuntu 25.04 を含め先も見据えた取り組みを紹介します。clang によるビルドテスト
デフォルトの C コンパイラを gcc から clang に変更し、ビルドテストが実施されました。人々が clang を好む理由の一つがコードの実行パフォーマンスであり、clang への変更が現実的かどうかビルドテスト含め調査が継続されています。
このビルドテストは main リポジトリーに配置されている 2379 個のパッケージが対象になっています。
このパッケージのうち約12%にあたる 284 パッケージでビルドに失敗しています。
今後数週間かけ問題の調査が実施されます。
いずれにせよ clang への変更は多大な労力がかかることが想定されています。
デフォルトの最適化フラグを -O3 に変更する計画の破棄
Ubuntu 25.04 の開発が始まった初期の段階で、デフォルトの最適化フラグを -O3 に変更する計画が発表されました。この取り組みの一環として広範にベンチマークを取ったところ、いくつかのワークフローでパフォーマンスの改善が見られたものの、システム全体のパフォーマンスはわずかに低下しており、さらにバイナリーサイズも増加していました。
この結果を踏まえ、デフォルトの最適化フラグを -O3 に変更する計画は破棄される予定です。
詳細は今後別途数週間以内にアナウンスされる予定です。
Ubuntu 25.04 β リリースまであともう少し
2025年3月27日に Ubuntu 25.04 β がリリースされる予定です。ぜひ多くの方にテストに参加して頂ければと思います。
