Recursiveマージストラテジーで、gitattributesで定義した属性を適用してから、マージする
「Recursiveマージストラテジー」では、「HEAD」の「gitattributes」で定義した属性を適用してから、マージを行うことができます。属性の適用対象は、マージする全てのファイルが対象になります。
マージするブランチに含まれるファイルの改行コードを揃えたい時など、フィルターを実行してからマージしたい時に利用します。
gitattributesを適用せずマージした場合
比較のため、まず「HEAD」の「gitattributes」で定義した属性を適用せずにマージしたケースを紹介します。1.ブランチの確認
現在のブランチ構成を確認すると、以下のようになっています。現在のブランチは、「master」ブランチであることが分かります。
同様に、「HEAD」は「master」ブランチを指していることが分かります。
ここでは例として、「master」ブランチに「fix」ブランチをマージします。
2.ブランチの状態
ブランチの状態を図にすると、以下のようになります。3.masterブランチのcommon.txtの中身
「master」ブランチの「common.txt」の中身は、以下のようになっています。「common.txt」の改行コードを調べると、「LF」であることが分かります。
「LF」は、UbuntuやOS Xのデフォルトの改行コードです。
4.fixブランチのcommon.txtの中身
「fix」ブランチの「common.txt」の中身は、以下のようになっています。一見「master」ブランチの「common.txt」の中身と同じように見えます。
実際文字列の構成は同じです。
しかし「common.txt」の改行コードを調べると、「CR + LF」であることが分かります。
「CR + LF」は、Windowsのデフォルトの改行コードです。
5.masterのgitattributes
「master」ブランチの「gitattributes」の中身は、以下のようになっています。6.マージを行う
「master」ブランチに「fix」ブランチをマージします。マージすると、以下のように「common.txt」ファイルで「マージコンフリクト」が発生します。
7.common.txtの中身
「マージコンフリクト」が発生した「common.txt」ファイルの中身を見ると、コンフリクトが発生した差分に「コンフリクトマーカー」が挿入されています。文字列の構成は同じですが、改行コードが異なるため、差分として検出されています。
gitattributesで定義した属性を適用してから、マージする
上記の例を利用して、「gitattributes」で定義した属性を適用してから、マージしてみます。上記の「5.」までは同じです。
6.マージを行う
コマンドのオプションは、以下のオプションを指定します。ショートオプション | ロングオプション | オプションの値 |
---|---|---|
-X | --strategy-option= | renormalize |
「端末」から、以下のコマンドを実行します。
コマンドの詳細は、「ファイルのマージを行うコマンドの説明」を参考にしてください。
ポイントは、赤字の箇所です。
git merge --verbose --strategy=recursive --strategy-option=renormalize fix
7.コミットメッセージの入力
「3ウェイマージ」によるマージが行われ、かつ、「マージコンフリクト」が発生しなかったため、「マージコミット」が行われます。通常のコミットと同様に「コミットメッセージ」を入力します。
「fix」ブランチ及び「マージベース」の「common.txt」ファイルの改行コードが「LF」に変換されてからマージが行われたため、「マージコンフリクト」は発生しません。
「コミットメッセージ」を入力したら、ファイルを上書き保存してテキストエディターを終了します。
8.コマンドの実行結果
「3ウェイマージ」によるマージの結果が表示されます。「Recursiveマージストラテジー」でマージを行ったと表示されています。
9.common.txtファイルの中身
上記の例で「マージコンフリクト」が発生した「common.txt」ファイルの中身は、以下のようになっています。「common.txt」の改行コードを調べると、「LF」であることが分かります。
10.マージ後のブランチの確認
マージ後のブランチを確認すると、以下のようになっています。「master」ブランチのブランチヘッドが指す「コミットオブジェクト」の識別子は、「マージコミット」で生成した「コミットオブジェクト」を指しています。