おすすめの修復
「Boot Repair」では、起動に関する問題の修復を自動で行う「おすすめの修復」機能があります。ここでは「UEFI + GPT」環境でどのような結果になるか見てみます。
ここでは「おすすめの修復」完了までの流れを見てみます。
使用上の注意
「おすすめの修復」は常におすすめとは限りません。解決方法を知っている場合
何が原因でUbuntuが起動できない状態なのか把握しており、どうすればその問題を解決できるのか自分で調べられる、もしくはすでに解決方法を把握している場合は、「おすすめの修復」ではなくその方法で問題の解決を検討したほうが良いでしょう。おすすめの修復とは
「おすすめの修復」では、現状Ubuntuが起動できない状況を、とにかくUbuntuが起動できるように状況の改善や修復を行います。困ることもある
修復自体は一般的な利用において問題になることはありませんが、複数のHDDが接続されており、各HDDにEFIシステムパーティションが存在する場合、修復前とは異なるEFIシステムパーティションが使われるようになることがあります。例
EFIシステムパーティションが「sda1」と「sdb2」にあり、「sda2」にインストールしたUbuntuは「sda1」のシステムパーティションを利用していたとします。おすすめの修復実行後、「sda2」にインストールしたUbuntuが「sdb2」のEFIシステムパーティションを利用するようになることがあります。
「sda2」にインストールしたUbuntuが、「sda1」のEFIシステムパーティションを利用するように、再度変更したくなるかもしれません。
ということで
ここでいう「おすすめの修復」の「おすすめ」はユーザーが意図・期待した通りに都合よく修正してくれるということではなく、小難しい内容を排除しUbuntuを起動できる状態にしてくれる、と捉えたほうが良いでしょう。とはいえ、OSが起動できなければ何もできず困りますし、原因の調査や修正は内容が難しくてどうしようもない、自分で修正しようとするとさらに状況を悪化させかねない、といった事情もあります。
上記の点を踏まえて「おすすめの修復」を行うか検討しましょう。
環境
「おすすめの修復」を行う環境です。sda
1台目のHDDです。sda1
EFIシステムパーティションです。「sda2」にインストールしたUbuntu 13.10のOSローダーがインストールされています。
sda2
Ubuntu 13.10がインストールされています。sda3
Ubuntu 13.10が利用するスワップパーティションです。sdb
2台目のHDDです。sdb1
Windows 8の回復パーティションです。sdb2
EFIシステムパーティションです。「sda4」にインストールしたWindows8と、「sda5」にインストールしたUbuntu 13.04のOSローダーがインストールされています。
sdb3
Microsoft 予約パーティション(MSR)です。一部のWindowsアプリで利用されるパーティションです。
sdb4
Windows 8がインストールされたパーティションです。いわゆるCドライブです。
sdb5
Ubuntu 13.04がインストールされたパーティションです。sdb6
Ubuntu 13.04が利用するスワップパーティションです。Ubuntu 13.10のEFIシステムパーティション
上記にも記述したとおり、Ubuntu 13.10が利用するEFIシステムパーティションは、「sda1」です。「システムモニター」から確認すると、以下のように「sda1」が「/boot/efi」にマウントされていることが分かります。
UEFIのブートマネージャーの管理画面
UEFIのブートマネージャーの管理画面にOSローダーは登録されていません。今回テストのために、登録されていたWindows 8やUbuntuのOSローダーは全て削除しています。
Ubuntu 13.10のブートメニュー
Ubuntu 13.10の「GRUB2」のブートメニューは以下のようになっています。「sda2」にインストールされた「GRUB2」が起動しています。
「おすすめの修復」を行うと、このブートメニューのメニュー構成が一部変更になるため、ここで紹介しています。
Ubuntu
「sda2」のUbuntu 13.10を起動します。Advanced options for Ubuntu
Ubuntu 13.10のリカバリー用の起動メニューが表示されます。Windows Boot Manager (UEFI on /dev/sdb2)
Windows 8を起動します。Ubuntu 13.04 (13.04)
「sda5」のUbuntu 13.04を起動します。Advanced options for Ubuntu 13.04 (13.04)
Ubuntu 13.04のリカバリー用の起動メニューが表示されます。おすすめの修復を行う
実際に「おすすめの修復」を実行してみます。BootInfoサマリについて
「おすすめの修復」を行うと、「BootInfoサマリ」が作成され、さらにどのような修復を行ったのか情報が出力されます。以下の説明では「BootInfoサマリ」作成の流れは省略しています。
「BootInfoサマリ」作成の流れはリンク先を参考にしてください。
1.おすすめの修復
「Boot Repair」を起動し以下の画面が表示されたら、「おすすめの修復」ボタンをクリックします。2.修復
以下のように修復が開始されます。3.セキュアブートの確認
環境によってはセキュアブートをオフにするように促されます。セキュアブートが有効な場合
もしセキュアブートが有効な状態でUbuntuを起動している場合は、「いいえ」ボタンをクリックし、修復を中止してください。その後、UEFIの設定画面からセキュアブートをオフにし、再度「Boot Repair」から「おすすめの修復」を行ってください。
セキュアブートの確認やUEFIの設定画面の表示方法は、PCによって異なります。
PCの説明書を確認してください。
セキュアブートが無効な場合
「はい」ボタンをクリックして、修復を続行します。4.WindowsのOSローダー置き換えの確認
環境によっては、WindowsのOSローダーを「GRUB2」のOSローダーに置き換えるか確認が行われます。Windowsは起動時に、UEFIに自身のOSローダーを登録し、UEFIが起動する既定のブートマネージャーに設定します。
この結果、次回以降常にWindowsが起動するようになり、「GRUB2」が起動しなくなります。
UEFIのブートマネージャー選択画面から、Ubuntuを既定に戻したり、Ubuntuを起動することが可能ですが、Windowsが起動するたびにUEFIが起動する既定のブートマネージャーをWindowsに設定してしまいます。
またUEFIの実装によっては、常にWindowsを起動するようハードコーディングされているUEFIもあります。
このようなPCの場合、「GRUB2」を起動することができません。
特にWindowsがプリインストールされているメーカー製のPCは注意が必要です。
これらを避けるため「Boot Repair」では、WindowsのOSローダーを「GRUB2」のOSローダーに差し替え、「GRUB2」が起動するように変更します。
Windowsは「GRUB2」経由で起動することができます。
ここでは例として「はい」をクリックしました。
補足
後で「高度なオプション」から、差し替えた「GRUB2」のOSローダーをWindowsのOSローダーに戻すことができます。5.修復完了
修復が完了すると、以下のような画面が表示されます。起動ディスクについて
修復後、どのディスクから起動すればよいか情報が表示されます。上記の画面では、以下のように表示されています。
BIOSはsda (107GB)ディスクにブートすることを忘れないでください!
この環境はUEFIで、かつ、従来MBRが担っていた役割はOSローダーに移っており、UEFIが管理するブートマネージャーに「ubuntu」がこの時点で追加されています。
このメッセージは、気にしなくてよいです。
警告について
環境によっては以下のような警告が表示されます。「/boot」が遠い位置にあり、GRUB2が起動できないかもしれない、という警告です。
UEFI環境でこの問題が(バグを除いて)起きることはまずないでしょう。
この環境では問題なくUbuntu(GRUB2)が起動できました。
[今使っているOS - Ubuntu 13.10]のブートファイルが、ディスクのスタート位置から遠く離れた位置にあります。BIOSはこれを検知できないでしょう。 /bootパーティションを作ったあとで、再度試した方がいいかもしれません (EXT4, >200MB, ディスクの開始). これはgPartedのようなツールを介して実行することができます。 [ブート修復]オプションの [別パーティションに/bootを構成:] から、このパーティションを選択して下さい。 (https://help.ubuntu.com/community/BootPartition)
Backup and rename Windows EFI files
「4.」の手順でOSローダーの差し替えを行ったため、以下のメッセージが表示されています。
[Backup and rename Windows EFI files]オプションを無効にした後に再試行することができます。
「高度なオプション」からOSローダーを元に戻すことができます。
6.PCの再起動とUEFIのブートマネージャーの確認
PCを再起動し、問題がないか確認します。以下のように「GRUB2」のブートメニューが表示されればOKです。
「Ubuntu」を選択して、Ubuntuを起動します。