Ubuntu mdadm その74 - デグレードモードでアレイを構築し開始する

デグレードモードでアレイを構築し開始する

  「デグレードモード」でアレイを構築し開始するコマンドの例です。
  アレイ構築時にアレイを構成する物理ボリュームが見つからなかった場合、「mdadm」はアレイを構築しますがアレイを開始しません。

  もしアレイが「デグレードモード」で開始できる場合、「デグレードモード」でアレイを開始することができます。

  環境について

    「RAID 1」アレイを作成した環境でコマンドを実行しています。
    「RAID 1」アレイの作成については、「RAID 1アレイを作成する基本的なコマンドの例・作成したアレイの確認と利用」を参考にしてください。

    この例で使用するアレイの情報は以下のとおりです。

アレイは構築するがアレイは開始しない

  まずは比較のために、デフォルトの動作を見てみます。
  アレイは構築するがアレイを構成する物理ボリュームが不足しており、アレイを開始しない例です。

  コマンドの実行

    以下のコマンドを実行し、アレイを構築します。
    ここでは例としてアレイ作成後に「/dev/sdf2」を削除し、2つの物理ボリュームを指定してアレイを構築しています。

    各オプションの説明は「論理ボリュームのデバイスファイルを指定してアレイを構築するコマンドの説明」を参考にしてください。

  コマンドの実行結果

    以下のように実行結果が表示されます。


    結果から以下のことが分かります。

• 2つの物理ボリュームからアレイを構築した
• アレイを開始するには物理ボリュームは3つ必要
• アレイは開始していない

    この状態ではアレイは開始していませんが、論理ボリュームのデバイスファイルは作成されています。
    アレイを構築し直す場合は、一旦アレイを停止する必要があります。

  詳細情報の表示

    「--verbose」オプションを追加すると、以下のように追加情報が表示されます。
    以下のコマンドを実行します。


    以下のように実行結果が表示されます。
    どの物理ボリュームがどのスロットに対応しているかが分かります。


    実行結果からスロット1に対応した物理ボリュームがないことが分かります。

アレイを構築しアレイを開始する

  アレイを構築時にアレイを構成する物理ボリュームが不足していても、「デグレードモード」でアレイを開始する例です。

  コマンドの実行

    以下のコマンドを実行し、アレイを構築します。
    ここでは例としてアレイ作成後に「/dev/sdf2」を削除し、2つの物理ボリュームを指定してアレイを構築しています。
    アレイ構築後アレイを「デグレードモード」で開始します。

    各オプションの説明は「論理ボリュームのデバイスファイルを指定してアレイを構築するコマンドの説明」を参考にしてください。

    変更点は赤字の箇所です。

  コマンドの実行結果

    以下のように実行結果が表示されます。


    結果から以下のことが分かります。

• 論理ボリュームのデバイスファイルは「/dev/md/RAID1Array」である 
• 2つの物理ボリュームからアレイを構築した
• アレイは開始した

  デグレードモードの確認

    論理ボリュームの詳細情報を表示すると、以下のように「デグレードモード」で起動していることが分かります。
    ポイントは赤字の箇所です。

  詳細情報の表示

    「--verbose」オプションを追加すると、以下のように追加情報が表示されます。
    以下のコマンドを実行します。


    どの物理ボリュームがどのスロットに対応しているかが分かります。


    実行結果からスロット1に対応した物理ボリュームがないことが分かります。