ローリング・リリース
ローリング・リリースとは、「Ubuntu」にバージョンを設けずソフトウェアを更新し続けていくリリースモデルの事です。現状のUbuntuデスクトップのリリースモデルは、ローリング・リリースではありません。
現在のUbuntu デスクトップにはバージョンが設けられ、現時点での最新バージョンは「Ubuntu 15.10」です。
もしローリング・リリースが採用されたら
もしローリング・リリースに移行した場合、バージョンが設けられないため、この最新バージョンという表現がなくなります。リリースされる「Ubuntu」のディスクイメージは、ある時点でのスナップショットになります。
デイリービルドのディスクイメージみたいなノリでしょうか。
ユーザーはソフトウェアをアップデートすれば、最新の状態になります。
言い換えると、「Ubuntu」をアップグレードする必要が無くなります。
ユーザーは日常的にアップデートさえすれば、各ソフトウェアは常に最新の状態になるためです。
ローリング・リリースを採用しているOS
「Arch Linux」や「Gentoo Linux」などのディストリビューションでは、ローリング・リリースを採用しています。また「Windows 10」も「Windows as a Service」という方針の元、ローリング・リリースへ移行しました。
Ubuntuでローリングリリース?
数年前に「Ubuntu」でローリング・リリースに関する議論がありましたが、ローリング・リリースへの移行は決定されていません。LTSユーザーはどうなる
「Ubuntu」では2年に一度、長期サポート版(LTS版)のUbntuをリリースしています。「Ubuntu 14.04」や今年の4月にリリースされる「Ubuntu 16.04」は、LTS版としてリリースされます。
1つ前のLTS版から次のLTS版へのアップグレードがサポートされているため、2年おきに「Ubuntu」をアップグレードしているユーザーもいるでしょう。
もしローリング・リリースになると、バージョンによる区切りが存在しなくなるため、どのようにサポート期間が設定されるのかが気になるところです。
パッケージごとにサポート期間が設定されるのでしょうか。
サーバーを運営している人からしたら、予告もなくソフトウェアがメジャーアップデートされ、現状の機能が大きく変化するのは困るでしょうから、何かしらのサポートは必要かと思います。
一般のデスクトップユーザーにとっても同様のことが言えるでしょう。
「Ubuntu 13.04」で多くの機能が削除された「Nautilus」や、「Ubuntu 13.10」の「ibus」で起きた日本語環境の変化がいきなり起きても混乱するだけでしょう。
「Ubuntu 15.04」でRadeonのプロプライエタリードライバーが利用できないとうケースもありました。
RadeonのプロプライエタリードライバーはAMDがメンテナンスしているため、コミュニティーは手を出せません。
急にこのようなトラブルが発生しても困るでしょう。
さて、現状のリリースサイクルではリリーススケジュールが決められているため、アップグレードの計画を立てやすいというメリットがあります。
また、影響の大きい変化は通常版(=非LTS版)のUbuntuに導入し、次のLTSに向けて機能を熟成させるという現在のポリシーは、多くのユーザーにとってメリットがあります。
例えば変化した機能については、多くのユーザーが疑問を持てばそれに対する対応策や代替案が見つかるかもしれません。
LTSからLTSへアップグレードする際、予め情報収集しておくことも可能ですし、導入された時よりもそれらの変化は改善されているかもしれません。