リリースノートから変更点や既知の不具合をピックアップ
「Ubuntu 16.04」のリリースノートから変更点や既知の不具合を見てみます。ここでは主にデスクトップ向けのUbuntuである「Ubuntu Desktop」に関する項目を見ていきます。
リリースノートは以下を参照してください。
- リリースノート:ReleaseNotes
- リリースノート(日本語): リリースノート
リリースノートは、リリースに関する情報や、「Ubuntu 16.04」やフレーバーに関する既知の問題を記述したものです。
「Ubuntu 16.04」を利用する前に必ずリリースノートに目を通し、使用に問題がないか確認してください。
サポート期間
「Ubuntu Desktop」、「Ubuntu Server」、「Ubuntu Core」、「Ubuntu Kylin」のサポート期間は5年間です。それ以外のフレーバーのサポート期間は3年間です。
フレーバーのリリースノートは、以下を参照してください。
「Edubuntu」については、以下を参照してください。
アップグレードについて
「Ubuntu 14.04」から「Ubuntu 16.04」へのアップグレードが提供されるのは、「Ubuntu 16.04.1」がリリースされた時です。およそ3ヶ月後の2016/7/21に「Ubuntu 16.04.1」がリリースされる予定です。
「Ubuntu 15.10」を利用しているユーザーは、すでにアップグレードの通知が行われています。
Ubuntu 16.04の新機能と変更点
Ubuntu 16.04全体の新機能と変更点の紹介です。Snapアプリケーションフォーマットのサポート
新しいアプリケーションフォーマットである「snap」を導入しました。Linux kernel 4.4
長期メンテナンス版であるLinux kernel 4.4シリーズを採用しています。Python 3
Python 3.5シリーズを採用しています。Python2は、「Ubuntu Server」、「Ubuntu Cloud」、「Ubuntu Touch」にはデフォルトでインストールされなくなりました。
Python2は引き続きインストール可能ですが、将来を踏まえPython3への移行を推奨します。
VIMもPython3へ移行
デフォルトのVIMパッケージはPython2の代わりにPython3でビルドされています。従ってPython2を必要とするプラグインは動作しません。
もしPython2で動作するプラグインを利用するなら、vim-gnome-py2などPython2が利用可能なVIMパッケージを利用してください。
以下のコマンドを実行すれば、Python2が利用できるVIMをデフォルトに設定することができます。
sudo update-alternatives --set vim /usr/bin/vim.gnome-py2
Golang 1.6
golangツールチェインは1.6シリーズを採用しており、gccgoはGCC 6.1 RC1にアップグレードされました。OpenSSH 7.2p2
OpenSSH 7.2p2を採用しています。OpenSSH 7.2p2では脆弱性のある機能を無効にしており、UbuntuをSSHからリモートでアップグレードする場合は、事前に脆弱性のある機能を利用していないか確認してください。
さもないと、Ubuntu 16.04へアップグレード後、そのPCにSSHからアクセスできなくなります。
SSHプロトコルバージョン1の無効化
古いSSHプロトコルバージョン1は、コンパイル時に無効にしています。Cipherキーワードは使用できません。
代わりにSSHプロトコルバージョン2向けのCiphersを利用してください。
SSHプロトコルバージョン1でのみアクセス可能なサーバーに接続する必要がある場合は、「openssh-client-ssh1」パッケージをインストールしてください。
このパッケージは、「ssh1」、「scp1」、「ssh-keygen1」バイナリーを含んでいます。
1024-bit diffie-hellman-group1-sha1の無効化
「1024-bit diffie-hellman-group1-sha1」の鍵交換は、実行時に無効になっています。有効にする場合は、「OpenSSH Legacy Options」を参考にしてください。
ssh-dss/ssh-dss-cert-*の無効化
「ssh-dss/ssh-dss-cert-*」ホスト及びユーザーキーは、実行時に無効になっています。有効にする場合は、「OpenSSH Legacy Options」を参考にしてください。
v00 certフォーマットの非サポート
v00 certフォーマットはサポートされません。一部のCiphersの非サポート
以下のCiphersはサポートされません。- blowfish-cbc
- cast128-cbc
- arcfourすべて
- AESの別名であるrijndael-cbc
一部のHMACアルゴリズムの非サポート
以下のアルゴリズムはサポートされません。- MD5ベースのHMAC
- Truncated HMAC
GNU toolchain
glibcは、2.23を採用しています。binutilsは、2.26を採用しています。
GCCは最近のGCC5ブランチのスナップショットを採用しています。(GCC5.3.0になる予定)
Apt 1.2
Apt 1.2は、Apt 1.1で導入された特権分離機能に対応しています。aptがアウトゴーイング通信及び通信結果を解析する際、非特権ユーザーである「_apt」ユーザーで処理を行います。
Ubuntu Desktop
「Ubuntu Desktop」の新機能や変更点です。以下も参考にしてください。
- 最終βで見るUbuntu 16.04の新機能と変更点(前編)
- 最終βで見るUbuntu 16.04の新機能と変更点(後編)
- ハッシュサムが適合しないエラーはもう起きない
- GNOMEソフトウェアがUbuntuソフトウェアに変わりました
- 新しいパッケージ形式であるSnappyパッケージが利用可能に・debパッケージと共存可能
- Ubuntu 16.04にZFSカーネルモジュールは同梱されているのか?
- ビルド依存パッケージの扱いが変わる
- コンテナー向けにデフォルトでZFSが利用できるようになる
全般
全般的な変更点です。- テーマの不具合修正と改善
- 多くのソフトウェアをGNOME 3.18へアップグレード
- GLibはGNOME 3.20の2.48へアップグレード
- UbuntuソフトウェアセンターをGNOME Software(Ubuntu Software)に置き換え
- デフォルトのすべてのアプリとライブラリーは、WebKit2へ移行
- GNOMEカレンダーの追加
- EmpathyとBraseroをデフォルトのアプリから除外
- Chromium 48の採用
- Firefox 45の採用
- Unityダッシュのオンラインサーチをデフォルトで無効化
- グリーターのHiDPIサポートの改善
- サポートする言語の追加
- 様々なバグ修正
Unity & Compiz
UnityとCompizに関する変更点です。- Unityランチャーにファイルマネージャーやデバイスの扱いを統合
- クイックリストからリムーバブルデバイスのフォーマットができるようになった
- ヘッダーバーを使用するGTKアプリのサポート改善
- スイッチャーやスプレッド動作の改善
- 「Super + Ctrl + W」キーでアクティブなアプリをスプレッドできるようになった
- 常にアプリのメニューを表示できるようになった
- GNOMEのキーグラッブの改善
- Dashに新しいオーバーレイスクロールバーの採用
- より良いダッシュテーマのサポート
- HiDPI環境でカーソルのスケーリングのサポート
- 異なるワークスペースでアプリが起動した時に、アプリの起動状態のアイコンをランチャーに表示
- Unityランチャーを画面下に移動可能
LibreOffice
LibreOfficeに関する変更点です。LibreOffice 5.1を採用しており、様々な改善や新機能の追加が行われています。
LibreOfficeの変更点は、リリースノートを参考にしてください。
- Breezeテーマを採用
- Pythonスクリプティングと言語バインディングの改善
- HTTPSによるWebDAVのサポート
LibreOffice Writer
LibreOffice Writerに関する変更点です。- 空白の非表示のサポート
- Mailmergeをスプレッドシートのデータソースとして利用可能
- スペルチェックのダイアログが自動で閉じなくなった
LibreOffice Calc
LibreOffice Calcに関する変更点です。- トレンド線の指数と乗羃のY値にマイナス値を指定可能
- SSE3によるSUM関数のパフォーマンス改善
- PNGエクスポートのサポート追加
- フォーマット/表示されている数値で検索可能
LibreOffice Impress
LibreOffice Impressに関する変更点です。- 画面切り替えのアニメーションの描画にOpenGL 2.1+を使用
- 新しい画面切り替えのアニメーションの追加
- ナビゲーションや並び替え用のショートカットキー追加
- KDE、XFCE、Mate向けにスクリーンセーバーの抑制機能の追加
既知の問題
既知の問題です。UEFIのgrubからXenハイパーバイザーを起動できない
UEFIのgrubからXenハイパーバイザーを起動できません。にもかかわらず、パッケージはこの問題を検出せず、Xenモードをデフォルトのブートとして設定します。
UEFIモードでXenハイパーバイザーをインストールしないでください。
不具合の詳細は、以下を参照してください。
MySQLサーバーの設定をカスタマイズしていると、アップグレード時にエラーが表示される
MySQLサーバーの設定をカスタマイズしていると、Ubuntuアップグレード時にエラーが表示されます。この問題は手動で修正する必要があります。
不具合の詳細と修正方法は、以下を参照してください。
GTKアプリのメニューが表示されなくなる
時々GTKアプリのメニューが表示されなくなります。メニューが表示されなくなった時は、以下のコマンドを実行します。
restart unity-panel-service
不具合の詳細は、以下を参照してください。
Ubuntu Softwareの不具合
Ubuntu Softwareの不具合一覧です。1.アプリインストール後、時々アプリがインストール済みとして認識されない
(Remove button missing after package installation)
2.時間のかかる処理をユーザーに通知無しで行う
(Doesn't indicate that an operation is happening in the background)
3.インストールされていないアプリの詳細情報が時々表示されない
(Version unkown of not-installed applications, it appears for installed ones)
(Size of not-installed applications is "Calculating..." in Details section)
4.アプリを削除しても依存パッケージはインストールされたままになる
(gnome software leaves dependencies installed)
5.自分が投稿したアプリのレビューが、自分のレビューとして認識されない
(Doesn't recognise own reviews)
6.パッケージの説明が正しく表示されない
(Doesn't seem to use deb package descriptions?)
7.アップグレードした環境でソフトウェアセンターのアイコンが表示される
Ubuntuをアップグレードした環境では、「Ubuntuソフトウェアセンター」が削除されないため「Ubuntuソフトウェアセンター」がインストールされたままになっています。
不必要なら「Ubuntuソフトウェアセンター(software-center-aptdaemon-plugins)」をアンインストールしてください。
fglrxがサポートされなくなった
不具合ではなく仕様ですが、AMDのGPU向けプロプライエタリードライバーであるfglrxが非サポートになりました。AMDのGPUを利用しているユーザーは、オープンソースドライバー(radeon/amdgpu)を使用する必要があります。
オープンソースドライバーは最初からインストールされているので、別途インストールする必要はありません。
Skylake CPUとグラフィックカードを搭載したPCでUnityが起動しない
以下の条件をすべて満たすPCでは、Unityが起動しません。- Skylake CPUを搭載している
- AMDやnVidiaなどの外部GPUを搭載している
- 外部GPUに対応したオープンソースドライバーが存在しない
不具合の詳細は、以下を参照してください。
この問題が発生する環境でUbuntuをインストールする場合、ブートメニューで「Install Ubuntu」を選択してインストールを行ってください。
また必ず「Ubuntuのインストール中にアップデートをダウンロードする」にチェックを入れ、インターネットに接続した状態でインストールを行ってください。