最終βで見るUbuntu 16.04の新機能と変更点(後編)
最終βで見るUbuntu 16.04の新機能と変更点の後編です。前編は、「最終βで見るUbuntu 16.04の新機能と変更点(前編)」を参考にしてください。
UnityとNautilusの連携強化
「Unity」と「Nautilus」の連携が強化されました。Nautilusで選択したボリュームをUnityランチャーに表示する
Unityランチャーには、マウントできるボリュームがUnityランチャーに表示されており、ユーザーがUnityランチャーに表示されたボリュームをクリックすると、そのボリュームをマウントし「Nautilus」を起動します。ユーザーはUnityランチャーに表示されたボリュームを非表示にすることも可能です。
非表示にしたいボリュームを右クリックし表示されるメニュー(クイックリスト)から「Launcherへの登録解除」をクリックすれば、そのボリュームを非表示にできます。
ここまでは従来のUnityランチャーの動作と同じです。
Ubuntu 16.04では、非表示に設定されたボリュームでも「Nautilus」からボリュームやボリューム内のフォルダーを開くと、以下のようにUnityランチャーにボリュームが表示されるようになりました。
他のボリュームや他のボリューム内のフォルダーを開くと、Unityランチャーから非表示に設定されたボリュームが非表示になります。
Unityランチャーのボリュームから、そのボリュームを開いているNautilusを閉じる
Unityランチャーのボリュームから、そのボリュームを開いている「Nautilus」をすべて閉じることができるようになりました。Unityランチャーのボリュームを右クリックし表示されるメニュー(クイックリスト)から「終了」をクリックします。
右クリックしたボリュームを開いている「Nautilus」が全て終了します。
Unityの変更点
Unityの変更点です。メニューを常に表示できるようになった
アプリのメニューを常に表示するオプションが追加されました。「常に表示」を選択すると、マウスカーソルがメニューの表示位置になくてもアプリのメニューが表示されるようになります。
「マウスが通過したときに表示」を選択すれば、従来通りマウスカーソルがメニューの表示位置にある時のみ、アプリのメニューを表示します。
従ってマウスカーソルがメニューの表示位置にない時は、以下のようにアプリのメニューを表示する場所にアプリのウィンドウのタイトルが表示されます。
マウスカーソルがメニューの表示位置にあれば、以下のようにアプリのメニューが表示されます。
ウィンドウスプレッドの動作改善
「Super + W」キーを押すと、すべてのアプリのウィンドウをスプレッド表示し、アクティブにしたいウィンドウを選択できます。これは従来通りの動作です。
Ubuntu 16.04では上記に加え、現在アクティブになっているアプリのウィンドウのみスプレッド表示することが可能になりました。
「Super + Ctrl + W」キーを押すと、以下のように現在アクティブになっているアプリのウィンドウのみスプレッド表示されます。
現在アクティブになっているアプリのウィンドウの中から、アクティブにしたいウィンドウを選択できます。
Dashのスクロールバーが操作し易くなった
Dashのスクロールバーが操作し易くなりました。Dashからセッションを操作できるようになった
DashからPCの再起動やログアウトなど、セッションを操作できるようになりました。「Logout」をクリックすれば、ログアウトします。
「Reboot」をクリックすれば、PCを再起動します。
「Shutdown」をクリックすれば、PCをシャットダウンします。
ワークスペーススイッチャーのクイックリスト対応
ワークスペーススイッチャーがクイックリストに対応し、クイックリストからワークスペースのサイズを変更できるようになりました。Unityランチャーの画面下部への配置
Unityランチャーを画面左端から画面下部へ移動できるようになりました。Dashを開くと以下のようになります。
システム設定から変更できない
この機能は「システム設定」から変更できず、ユーザーは直接「dconf-editor」等で設定を変更する必要があります。「com.canonical.Unity.Launcher」の「launcher-position」を「Bottom」に変更すればよいです。
元に戻すには、「Left」に変更してください。
「端末」から以下のコマンドを実行しても変更できます。
gsettings set com.canonical.Unity.Launcher launcher-position Bottom
「端末」から元に戻すには、以下のコマンドを実行します。
gsettings set com.canonical.Unity.Launcher launcher-position Left
その他のアプリ
その他のアプリの変更点です。LibreOffice 5.1.1.3
「LibreOffice 5.1.1.3」が採用されています。HTTPS経由でWebDAVにアクセスできるようになりました。
また、アイコンテーマがBreezeに変更され、フラットなデザインになりました。
LibreOffice Writer
「LibreOffice Writer」では、「空白の非表示」機能が追加されています。「空白の非表示」をオフにすると、以下の表示になります。
「空白の非表示」をオンにすると、以下の表示になります。
LibreOffice Calc
PNG形式でスプレッドシートをエクスポートできるようになりました。テキストエディター(gedit)
「gedit」のツールバーがシンプルになり、ツールバーから多くのボタンが削除されました。ツールバーには、以下の3つボタンが表示されます。
- ファイルを開く
- ファイルを新規に作成する
- ファイルを保存する
「開く」ボタンをクリックすると、以下のようにファイルの履歴が表示されます。
サウンドインジケーター
サウンドインジケーターにマイクの入力音を調整する機能が追加されました。fglrxの削除
以前紹介した通り、Ubuntu 16.04ではAMD GPUのプロプライエタリードライバーであるfglrxが非サポートになりました。これはUbuntu 16.04で採用されるXサーバー1.18.1をAMDがサポートしないためです。
Radeonを利用しているユーザーは、オープンソースドライバー(radeon/amdgpu)を利用する必要があります。
ユーザーが特に意識しなくても、自動的にオープンソースドライバーが使用されます。
Ubuntu 16.04 最終βの不具合
Ubuntu 16.04 最終βで予め明らかになっている不具合です。インストール時、スワップパーティションの作成に失敗する
Ubuntu 16.04 最終βインストール時、スワップパーティションの作成に失敗します。詳細は以下を参考にしてください。
Ubuntu 14.04からUbuntu 16.04へのアップグレードに失敗する
Ubuntu 14.04からUbuntu 16.04へアップグレードしようとすると、アップグレードに失敗します。詳細は以下を参考にしてください。
Ubuntu 16.04 最終βの感想
今回変更点が非常に多く、また多くの変更点はユーザーにとってメリットになる変更点でしょう。特にUnityの機能追加や改善は、使い勝手が良くなる変更が多く、多くのUbuntuユーザーが恩恵に与れるかと思います。
全体的な動作
Ubuntu 16.04 最終βの起動時間もUbuntu 15.10と比べて遜色なく、重くなっていたり、遅くなっているという感触はありません。体感できるぐらい速くなったということも感じませんでしたが、全体的に軽快に動作しているという印象です。
(もちろん3Dアクセラレーションは必須です。)
Dashの動作
Dashはアプリの一覧などアイテムがすぐに表示されるようになり、余計な待ち時間が減少しています。素晴らしい改善です。
fglrxが利用できない
上記でも記述しましたが、Radeonのプロプライエタリードライバーが利用できなくなっています。Radeonのオープンソースドライバーで十分な性能を確保できない環境では、Ubuntuの動作が重くなったりゲームや動画の再生に影響が出るでしょう。
まとめ
Ubuntu 16.04は、多くのUbuntuユーザーにとって価値のあるアップグレードになると思います。Ubuntu 16.04は、2016/4/21にリリースされる予定です。
期待して待つ価値がありますよ。