Ubuntu 16.04 LTS 日本語 Remix 仮想ディスクイメージ リリース候補版
2016年9月14日に、「Ubuntu 16.04 LTS 日本語 Remix 仮想ディスクイメージ」リリース候補版がリリースされました。リリース候補版はユーザーにテストしてもらった結果、問題がなければこのリリース候補版がそのまま正式版としてリリースされます。
テストに協力できる方は、上記リンク先を参照してください。
Ubuntu 16.04 LTS 日本語 Remix 仮想ディスクイメージとは
「Ubuntu 16.04 LTS 日本語 Remix 仮想ディスクイメージ」とは、すでに「Ubuntu」をインストールしてある仮想HDDのことです。仮想ディスクイメージは「VDI」形式で提供されており、そのまま「VirtualBox」に接続することが出来ます。
「日本語 Remix 仮想ディスクイメージ」ですので、もちろん日本語もすぐに利用できます。
通常のディスクイメージと異なりすでに「Ubuntu」がインストールされているため、インストール方法の指定やパーティションの設定など、インストール作業前半に行う作業が不要になります。
必要な作業は初期設定のみ
ユーザーが「Ubuntu」を使いはじめるまでに必要な作業は、タイムゾーンの設定やユーザーアカウントの作成など、必要最低限の作業だけです。また「Ubuntu」がすでにインストール済みであるため、インストールにかかる時間も少なくて済みます。
環境にもよりますが、全体の作業は10分程度で完了するでしょう。
量販店で販売されている「Windows」でも初めてユーザーが「Windows」を起動した時にユーザーアカウントの設定など初期設定を行います。
それと似たようなものです。
さくっとUbuntuを使いたい人のために
仮想ディスクイメージ利用すれば、「Ubuntu」を使いはじめるまでに必要な作業やインストールにかかる時間を節約できます。もし「VirtualBox」で利用している「Ubuntu」が壊れて起動しなくなってしまっても、ダウンロードした仮想ディスクイメージに差し替えるだけですぐに初期状態に戻すことも出来ます。
仮想ディスクイメージの中身
仮想ディスクイメージの中身を見てみます。仮想ディスクイメージのダウンロードサイズ
「Ubuntu 16.04 LTS 日本語 Remix 仮想ディスクイメージ リリース候補版」のダウンロードサイズは、約1.4GiBです。インストールされているOS
仮想ディスクイメージにインストールされているOSは、「Ubuntu 16.04.1」64bit版です。日本語環境もバッチリ
「日本語 Remix」なので、すでに日本語環境が構築されています。「Fcitx」+ 「Mozc」がインストールされています。
仮想ディスクイメージのパーティション構成
仮想ディスクイメージのパーティション構成を「GParted」で見ると、以下のようになっています。ルートファイルシステムの容量は2TiB
「Ubuntu」がインストールされているルートボリュームの容量は、2TiBです。「Ubuntu」を利用する上で2TiBもHDD容量があれば、まず空き容量が枯渇することはないでしょう。
「VirtualBox」ですから、必要なら新しい仮想HDDを作成して「VirtualBox」に接続することも可能です。
スワップパーティションの容量は2GiB
スワップパーティションの容量は2GiBです。こちらの容量も必要十分な容量です。
「VirtualBox」ですから、仮想マシンに割り当てるメインメモリーの最大容量をいつでも変更することが出来ます。
必要であればメインメモリーの最大容量を調整してください。
パーティションテーブルの形式はMBR
パーティションテーブルの形式は「MBR」形式です。従って「BIOS」で「Ubuntu」を起動する必要があります。
「UEFI」では起動しないため、仮想マシンの設定で「EFIを有効化」のチェックボックスをオフにしておきましょう。
Ubuntuの仮想マシンを作ってみよう
「Ubuntu 16.04 LTS 日本語 Remix 仮想ディスクイメージ リリース候補版」を利用して、「VirtualBox」で「Ubuntu」の仮想マシンを作成してみます。作業の大まかな流れは、以下の通りです。
- 仮想ディスクイメージのダウンロード
- 仮想マシンの作成と設定
- Ubuntuの起動と初期設定
- Ubuntuにログイン
環境は以下の通りです。
項目 | Linux |
---|---|
ホストOS | Ubuntu 16.04 64bit版 |
VirtualBox | VirtualBox 5.1.6 |
1.仮想ディスクイメージのダウンロード
まず仮想ディスクイメージをダウンロードします。1-1.仮想ディスクイメージのダウンロード
ここでは「Ubuntu 16.04 LTS 日本語 Remix 仮想ディスクイメージ」をダウンロードします。仮想ディスクイメージをダウンロードは、以下を参考にしてください。
仮想ディスクイメージのダウンロードサイズは、約1.4GiBです。
以前のバージョンのUbuntuの仮想ディスクイメージをダウンロードするには
「Ubuntu 12.04」や「Ubuntu 14.04」など以前のバージョンの「Ubuntu」でも、仮想ディスクイメージが提供されています。いずれも正式リリース版が公開されており、以下から仮想ディスクイメージをダウンロードすることが可能です。
「Ubuntu 12.04」では32bit版が提供されており、「Ubuntu 14.04」では64bit版が提供されています。
1-2.アーカイブの展開
仮想ディスクイメージは、「Windows」ユーザーでも簡単に展開できるように「ZIP」で圧縮されています。適当な場所にアーカイブを展開(解凍)してください。
深い階層に注意
仮想ディスクイメージを「VirtualBox」に接続する際、あまりにもフォルダーの階層が深い(フォルダーパスが長い)と、仮想ディスクイメージの読み込みに失敗するかもしれません。フォルダー階層が深い場合、アーカイブを展開した後仮想ディスクイメージを上位のフォルダーに移動しておくと良いでしょう。
2.仮想マシンの作成と設定
まず仮想マシンの作成と設定を行います。2-1.仮想マシンの作成
「VirtualBox」のツールバーから「新規」ボタンをクリックします。以下の画面が表示されるので、「名前」に仮想マシンの名称を入力します。
どのような名称でも構いませんが、わかりやすい名称を入力しましょう。
「次へ>」ボタンをクリックします。
2-2.メモリーサイズの指定
以下の画面が表示されるので、メインメモリーの容量を指定します。後からメインメモリーの容量を変更することも可能です。
ここでは例として「1024MB」に設定しておきます。
「次へ>」ボタンをクリックします。
2-3.仮想ハードディスクの設定
以下の画面が表示されるので、「1.」でダウンロードした仮想ディスクを指定します。「すでにある仮想ハードディスクを使用する」を選択し、ダウンロードした仮想ディスクを指定します。
「作成」ボタンをクリックします。
2-4.マザーボードの設定
作成された仮想マシンを選択しツールバーから「設定」ボタンをクリックすると、仮想マシンの設定画面が表示されます。仮想マシンの設定画面が表示されたら、左側の設定項目一覧から「システム」を選択し、「マザーボード」タブをクリックします。
この設定画面から、メインメモリーのサイズを変更することが出来ます。
また既定では「EFIを有効化」がオフになっているので、そのままオフにしておきます。
ここでは例として、上記の画像の設定を行っています。
2-5.プロセッサーの設定
「プロセッサー」タブをクリックします。必要に応じてCPUの論理コア数を「プロセッサー数」から指定します。
「プロセッサー数」は「1」で十分ですが、ホストCPUに余裕があるなら増やすのも良いでしょう。
ここでは例として、上記の画像の設定を行っています。
2-6.ディスプレイの設定
左側の設定項目一覧から「ディスプレイ」を選択し、「スクリーン」タブをクリックします。ビデオメモリーはデフォルト値から少し増やしておくと良いでしょう。
「3Dアクセラレーションを有効化」のチェックは忘れずにオンにしておきましょう。
ここでは例として、上記の画像の設定を行っています。
3.Ubuntuの起動と初期設定
Ubuntuの起動と初期設定です。3-1.Ubuntuの起動
作成された仮想マシンを選択しツールバーから「起動」ボタンをクリックすると、仮想マシンが起動します。少し待つと「Ubuntu」が起動し、以下の言語選択画面が表示されます。
デフォルトで「日本語」が選択されているので、そのまま「続ける」ボタンをクリックします。
3-2.タイムゾーンの選択
タイムゾーンの選択画面が表示されます。デフォルトで「Tokyo」が選択されているので、そのまま「続ける」ボタンをクリックします。
もし海外に住んでいる場合は、その国や地域を地図上からクリックして選んでください。
3-3.キーボードレイアウトの設定
キーボードレイアウトの設定画面が表示されます。一般的な日本語キーボードを利用しているなら、「日本語 - 日本語 (OADG 109A)」を選択します。
「続ける」ボタンをクリックします。
3-4.ユーザーアカウントの設定
ユーザーアカウントの設定画面が表示されるので、ユーザーアカウントの情報を入力します。あなたの名前
ユーザーのフルネームを入力します。インストール後に、設定を変更することができます。
コンピューターの名前
PCのホスト名を入力します。PCのホスト名は、ネットワーク上で表示されるPCの名前です。
英数字及び一部記号が利用できます。
ユーザー名の入力
ユーザー名を入力します。こちらは「あなたの名前」と異なり、「Ubuntu」がユーザーを一意に識別するIDになります。
入力できる文字は、英数字と一部の記号のみです。
パスワードの入力
ユーザーのパスワードを入力します。ログインする時などに利用されます。
インストール後に、設定を変更することができます。
パスワードの確認
確認のため、「パスワードの入力」で入力したパスワードと同じパスワードを入力します。自動的にログインする
このオプションを選択すると、ここで作成したユーザーで自動的にログインします。パスワードの入力も省略されます。
インストール後に、設定を変更することができます。
ログイン時にパスワードを要求する
このオプションを選択すると、ログイン画面を表示しユーザーの選択及びパスワードの入力を求めます。インストール後に、設定を変更することができます。
ホームフォルダを暗号化する
ユーザーのホームフォルダを暗号化します。よく分からない場合は使用オフにしてください。
3-5.設定完了
後は待つだけです。以上で作業は完了です。
4.Ubuntuにログイン
ログイン画面が表示されるので、「Ubuntu」にログインします。4-1.ログイン
ユーザーのパスワードを入力してログインします。4-2.デスクトップ画面
以下のようにデスクトップ画面が表示されます。不穏なエラーメッセージがでることも・・・
上記手順の「3-5.」以降、以下のように不穏なメッセージが出るケースがありました。「閉じる」ボタンをクリックすると、処理自体は続行されます。
ログイン画面がおかしい
上記のメッセージが出るケースでは、以下のようにログイン画面の背景が単色になります。ログイン画面上部に表示されるはずのバーもありませんでした。
そしてログインできず
ログイン画面でユーザーのパスワードを入力しログインしたのですが、いつまで経っても画面が点滅を繰り返したまま、「Unity」が現れることはありませんでした。30分待ってもダメだったので、仮想マシンをシャットダウンしました。
~/.xsession-errors
ログイン後に画面に何も表示されない時は、まず「~/.xsession-errors」を確認します。以下のように「Unity」が何度も起動しようとしてkillされている様子が分かります。
openConnection: connect: そのようなファイルやディレクトリはありません
cannot connect to brltty at :0
upstart: unity7 プロセス main (3017) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3362) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3394) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3414) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3432) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3449) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3466) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
cannot connect to brltty at :0
upstart: unity7 プロセス main (3017) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3362) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3394) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3414) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3432) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3449) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
upstart: unity7 プロセス main (3466) はシグナル SEGV でkillされました
upstart: unity7 main プロセスが終了しました、再生成しています
「SEGV」は「セグメンテーション違反」でしょうか。
/var/log/syslog
次に「/var/log/syslog」を見てみます。以下のような、GTK+テーマで使用するイメージが読み込めないエラーが大量でに出ています。
Sep 22 16:59:08 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: to make things work again for the time being.
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/entry.png': Unrecognized image file format
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/entry-disabled.png': Unrecognized image file format
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/button.png': Unrecognized image file format
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/button-active.png': Unrecognized image file format
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/entry.png': Unrecognized image file format
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/entry-disabled.png': Unrecognized image file format
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/button.png': Unrecognized image file format
Sep 22 16:59:09 ubuntu-vb-16 gnome-session[2881]: (nautilus:3176): Gtk-WARNING **: Error loading image 'file:///usr/share/themes/Ambiance/gtk-3.0/assets/button-active.png': Unrecognized image file format
その直後、「Compiz」がクラッシュしています。
Sep 22 16:59:10 ubuntu-vb-16 kernel: [ 33.969812] show_signal_msg: 33 callbacks suppressed
Sep 22 16:59:10 ubuntu-vb-16 kernel: [ 33.969816] compiz[3017]: segfault at e0 ip 00007fe66d16d263 sp 00007ffdbfd21780 error 4 in libnux-graphics-4.0.so.0.8.0[7fe66d120000+cf000]
Sep 22 16:59:10 ubuntu-vb-16 org.freedesktop.fwupd[1848]: (fwupd:3259): Fu-WARNING **: Failed to coldplug: UEFI firmware updating not supported
Sep 22 16:59:10 ubuntu-vb-16 dbus[1848]: [system] Successfully activated service 'org.freedesktop.fwupd'
Sep 22 16:59:12 ubuntu-vb-16 kernel: [ 35.549486] compiz[3362]: segfault at e0 ip 00007f48b196c263 sp 00007ffed6028560 error 4 in libnux-graphics-4.0.so.0.8.0[7f48b191f000+cf000]
Sep 22 16:59:13 ubuntu-vb-16 kernel: [ 36.538636] compiz[3394]: segfault at e0 ip 00007f11eb14a263 sp 00007fffbf893800 error 4 in libnux-graphics-4.0.so.0.8.0[7f11eb0fd000+cf000]
Sep 22 16:59:10 ubuntu-vb-16 kernel: [ 33.969816] compiz[3017]: segfault at e0 ip 00007fe66d16d263 sp 00007ffdbfd21780 error 4 in libnux-graphics-4.0.so.0.8.0[7fe66d120000+cf000]
Sep 22 16:59:10 ubuntu-vb-16 org.freedesktop.fwupd[1848]: (fwupd:3259): Fu-WARNING **: Failed to coldplug: UEFI firmware updating not supported
Sep 22 16:59:10 ubuntu-vb-16 dbus[1848]: [system] Successfully activated service 'org.freedesktop.fwupd'
Sep 22 16:59:12 ubuntu-vb-16 kernel: [ 35.549486] compiz[3362]: segfault at e0 ip 00007f48b196c263 sp 00007ffed6028560 error 4 in libnux-graphics-4.0.so.0.8.0[7f48b191f000+cf000]
Sep 22 16:59:13 ubuntu-vb-16 kernel: [ 36.538636] compiz[3394]: segfault at e0 ip 00007f11eb14a263 sp 00007fffbf893800 error 4 in libnux-graphics-4.0.so.0.8.0[7f11eb0fd000+cf000]
ちなみに「/var/log/Xorg.0.log」には、これといった情報は出力されていませんでした。
また再現性が確実ではなく、何をきっかけにしてこの現象が発生するのかも不明です。
作業をやり直した
現在接続している仮想HDDを「VirtualBox」から削除し、ダウンロードしたアーカイブをもう一度展開後、再度その仮想ディスクイメージから作業をやり直したところ、正常にログインできるようになりました。ちなみに接続している仮想HDDの削除は、「ファイル」メニューの「仮想メディアマネージャー」から削除してください。
「Nautilus」等ファイルマネージャーから直接仮想HDDを削除しないでください。