スパイスの仕組みが大きく変わる
「Cinnamon」の「スパイス」の仕組みが大きく変わります。スパイスとは
「Cinnamon」は多種多様なテーマでデザインを変更でき、アプレット、デスクレット及び拡張機能の追加により機能を拡張できます。「Cinnamon」において「Cinnamon」の機能を拡張するソフトウェア(アドオン)を「Spices(スパイス)」と呼びます。
これらのソフトウェアの目的は「Cinnamon」をより良い物にし、ユーザーが気に入るデスクトップ環境を構築できるようにすることです。
「スパイス」を利用することでユーザーは、「Linux Mint」や「Cinnamon」の開発チームによって開発・提供されている機能や環境では実現されていないニッチな機能やルック&フィールを手にすることができます。
スパイスを利用するには
「Cinnamon」で「スパイス」を利用するには、「システム設定」を開き以下の項目から「スパイス」のインストールや設定を行います。- テーマ
- アプレット
- デスクレット
- 拡張機能
例えば「拡張機能」では、以下のようにオンラインから拡張機能を検索しその場でインストールすることが可能です。
Webからスパイスを探す
Webから「スパイス」を探すことも可能です。なぜ変えるのか
「Linux Mint」や「Cinnamon」の開発チームは、数年に渡りサードパーティーのアーティストや開発者達によって開発された素晴らしい「スパイス」の数々を見てきました。例えば「Weather」スパイスは非常に人気のあるスパイスの一例です。
多くのユーザーは「Linux Mint」をクリーンインストール後、「Weather」スパイスを自身の環境にインストールして利用しています。
いわゆる必須アプリというやつですね。
このように「スパイス」は「Cinnamon」にとって優れた環境を構築するためのソフトウェアです。
残念なスパイス
しかしその一方で開発チームは残念ながら質の悪い「スパイス」も見てきました。それは「Cinnamon」デスクトップ全体の質を低下させることにもなりました。
ある「スパイス」は適切にパッケージングされておらず、「システム設定」からユーザーがインストールすることができず全く動作しませんでした。
また開発者が見てきた「スパイス」の中でひどいケースを見ると、「Cinnamon」デスクトップをクラッシュさせたり、「Cinnamon」の起動を妨害する「スパイス」もありました。
セキュリティーの問題
加えて現状の「スパイス」の仕組みには、セキュリティー上の課題があります。理想では「Linux Mint」や「Cinnamon」の開発チームが、サードパーティー製の「スパイス」をユーザーに活用してもらうためのプラットフォームを提供し、そして「スパイス」の開発者に利用者に最も簡単にスパイスを届けられるプラットフォームを提供することです。
しかし現実問題として去年「Linux Mint」のプロジェクトや「Linux Mint」のユーザーは攻撃対象になり、「Linux Mint」開発チームは盲目的にサードパーティー製の「スパイス」を信頼し、それらをユーザーに届けることはできなくなりました
信頼できない提供元からきたすべての変更は、悪意あるコードが含まれていないことを保証するためレビューしなければなりません。
この信頼性の問題を「スパイス」の開発者やアーティストに説明し、「スパイス」が出来る範囲に制限をかけ、と同時に、新しい仕組みに対する期待を彼らに持ってもらうことは困難なことかもしれません。
何が変わるのか
何が変わるのか見てみます。スパイス公式サイトの改良・アカウントやログインが不要に
上記で紹介した「スパイス」の公式サイトが一新されました。また今までと異なり、独自のユーザー登録やログインを行う仕組みがなくなりました。
レビュー等「スパイス」の評価は、「Facebook」や「Github」、「Google」といった既存のSNSアカウントと連携して行えるようになる予定です。
また評価方法も変わります。
今までレイティングによる評価を行っていましたが、これが「いいね」による評価に変わり、人気のあるスパイスかどうかは「いいね」の数に加えてその評価が最近行われたのかどうかも加味されるようになります。
セキュリティー対策
「スパイス」に関わるすべてのコードは、バージョン管理システムにより管理されるようになりました。また信頼されていない提供元によるコードは、レビューされるようになりました。
保守容易性の改善
今まで「スパイス」開発は個人での開発が一般的でした。これからは開発者は、開発チームと信頼された新しい「スパイス」開発者のチームと連携して保守できるようになります。
これにより多くのメリットがもたらされます。
今までは「スパイス」に不具合があってもその開発者が修正しない限り不具合が修正されることはありませんでした。
これからは誰でも「スパイス」の不具合が修正できるようになります。
開発チームが直接「スパイス」の不具合を修正することもできますし、他の誰でもgithubのプルリクエストを経由して修正コードを送ることもできます。
これはすべての不具合が必ずしも修正されるというわけではありませんが、「スパイス」の不具合修正や改良にはずみがつくことになります。
「スパイス」の保守は一元化され、不具合の修正はその不具合の影響を受ける「スパイス」に対して横断的に修正を適用できるようになります。
事前に新しいCinnamonのバージョンをサポートできるように
「スパイス」は、事前に新しい「Cinnamon」のバージョンの機能をサポートできるようになります。例えば「Cinnamon 3.2」ではテーマの仕様に変更があり、既存の多くのテーマは「Cinnamon 3.2」で利用できなくなりました。
この状況を改善するため開発チームは、「スパイス」を直接変更できるようになりました。
そのため「Cinnamon 3.2」リリース前に影響を受ける「スパイス」を修正することも可能になりました。
開発作業の合理化
「スパイス」の開発はGithub上で行われるようになります。「Cinammon」自身もGithub上で開発が行われています。
こうすることでバージョン管理や変更履歴を行いつつも、多くの開発者は慣れ親しんだツールによる開発が行えるようになります。
自動同期
Githubで「スパイス」をアップデートすれば、自動的に「The official addons repository」と同期が行われます。
そしてユーザーの環境にもそのアップデートが提供されることになります。
制限や制約
認証やコメント、評価の更新があった場合、スコアは0にリセットされコメントも最初から始まります。スパイスのアップデート
テーマを除くすべての「スパイス」は、各「スパイス」を一意に識別する既存のUUIDをそのまま保持します。これにより「Cinnamon」デスクトップは、アプレット/デスクレット/拡張機能のアップデートを検出できるようになります。
テーマのアップデート
テーマも同様にアップデートが可能ですが、今までUUIDによる識別を行っていなかったため、すでにインストール済みのテーマのアップデートは受け取ることができません。テーマのアップデートを受け取るには、一旦インストール済みのテーマを削除し、新たにテーマをインストールし直してください。