LightDMからGDMに変更
以前お知らせした通り現在開発中の「Ubuntu 17.10」では、デフォルトのデスクトップ環境が「GNOME Shell」に変更されています。さて「GNOME」ではディスプレイマネージャーに「GDM」を採用しており、一方「Ubuntu」では「LightDM」を採用しています。
デスクトップ環境を「GNOME Shell」に変更しても、ディスプレイマネージャーを従来の「LightDM」から変更することなく、「Ubuntu 17.10」でも「LightDM」の採用が検討されていました。
「GNOME Shell」と「LightDM」を連携させ、円滑に動作させることができるかどうか、約1ヶ月をかけ技術的な調査が行われました。
ディスプレイマネージャー
ディスプレイマネージャーはセッションを管理するソフトウェアであり、ユーザーがログインするのに必要な準備を行います。ユーザーから見ると、最初にユーザーが直接触れるUIは、ディスプレイマネージャーが表示するログイン画面です。
ちなみに「LightDM」においてログイン画面のUIを提供するのは、「LightDM」上で動作するグリーターの役目です。
LightDM
「LightDM」は「Ubuntu 11.10」で採用されて以来、長きに渡り「Ubuntu」のディスプレイマネージャーとして利用されてきました。長年「Ubuntu」と共に開発やメンテナンスが行われてきたこともあり、「Ubuntu」との組み合わせで十分なテストが行われ、開発チームには「LightDM」の開発やテスト、メンテナンス面で様々なノウハウが蓄積されています。
ゲストセッション
「LightDM」はゲストセッションをサポートしており、セキュリティーを配慮しつつ不特定のユーザーがログインしてデスクトップを利用する機能も備えています。この機能は「GDM」にはありません。
融通の利く仕組みや機能
「GDM」と比べると「LightDM」は、ユーザーや開発者にとって融通の利く仕組みや機能を備えています。パッケージ提供者やシステム管理者が「LightDM」の設定を上書きでき、デザインの変更や機能の切り替えを行うことができます。
詳細なログを出力する機能があり、問題発生時に原因の特定に役立てることができます。
C言語、Qt、Python(GIR経由)、Valaなど、複数のプログラミング言語やプラットフォームで提供されるグリーターをサポートしています。
VNCもリモートログインもサポートしています。
もちろんWaylandもサポートしています。(Ubuntu 15.10のLightDMから)
現在の状況
デスクトップ環境の移行に関する現在の状況です。1.GDMをmainに移動
「GDM」をmainに移動するため、「GDM」はセキュリティーチェックを受けています。2.GNOME Shellがデフォルトのデスクトップ環境に
「GNOME Shell」が「Ubuntu 17.10」のデフォルトのデスクトップ環境となり、「Ubuntu 17.10」のイメージに反映され、現在は「LightDM」の元で動作しています。3.GNOME ShellとLightDMの連携
「LightDM」環境で「GNOME Shell」のロック画面をサポートし、「GNOME Shell」を「LightDM」のグリーターとして利用するための作業が行われていました。
しかし「GNOME Shell」から「GDM」のコードを切り離すことは、容易なことではありません。
4.時間に余裕がない
「GNOME Shell」と「LightDM」を連携して動作させるために必要な作業が他にも残っていますが、これらの作業を行う十分な時間がありません。GDMの採用
技術的な調査の結果、開発チームの抱えている作業量、及び「GNOME」を修正することで発生する不具合等の品質面のリスクを踏まえ、「Ubuntu 17.10」及び「Ubuntu 18.04」で「GDM」の採用が良いとの判断が下されました。ゲストセッションのサポート
「GDM」はゲストセッションをサポートしていないため、「GDM」にゲストセッションを追加する作業が行われます。ただし「Ubuntu 17.10」には間に合わず、「Ubuntu 18.04」からゲストセッションを利用できるようになる予定です。
LightDMはどうなる?
もし「GDM」へ移行するとなると、「LightDM」の扱いが変わります。既存のUbuntuは引き続きサポートされる
現在サポート対象になっている「Ubuntu」では、引き続き「LightDM」のサポートが行われます。LightDMを利用するフレーバー
「LightDM」を利用しているフレーバー向けに「LightDM」のサポートが行われる予定です。ただしこのサポートは、Ubuntu Desktop Teamから不具合の修正のみのサポートとなります。