Ubuntuとフレーバーの比較
「Ubuntu」やフレーバーをメモリー消費量等のリソースやUI面で比較してみます。比較対象のOSについて
ここでは以下のOSを比較対象にしています。- Ubuntu
- Kubuntu
- Xubuntu
- Lubuntu
- Ubuntu Budgie
- Ubuntu MATE
環境について
今回比較する「Ubuntu」及び各フレーバーは、以下の環境にインストールしています。- VirtualBox 5.2.12
- 各OSは日本語環境にセットアップ済み
- VirtualBox Guest Addtionsをインストール済み
- すべてのアプリ(パッケージ)をアップデート済み
- OSのバージョンは18.04 64bit版
- UEFIで通常インストール
あくまで「VirtualBox」上で比較した内容なので、各種数値は参考程度に留めてください。
比較内容と比較結果
「Ubuntu」及び各フレーバーの比較内容と比較結果です。OS | DE | メモリー | ストレージ | UI | OpenGL | LTS | 通常サポート |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ubuntu | GNOME | 916MiB | 5.2GiB | Windows 8 | ○ | 5年 | 9ヶ月 |
Kubuntu | KDE | 458MiB | 6.1GiB | Windows XP Windows Vista |
ー | 3年 | 9ヶ月 |
Xubuntu | Xfce | 407MiB | 4.4GiB | Windows XP Windows Vista |
ー | 3年 | 9ヶ月 |
Lubuntu | LXDE | 213MiB | 3.4GiB | Windows 98 Windows 2000 |
ー | 3年 | 9ヶ月 |
Ubuntu Budgie | Budgie | 626MiB | 4.9GiB | macOS | ○ | 3年 | 9ヶ月 |
Ubuntu MATE | MATE | 390MiB | 5.1GiB | Windows XP Windows Vista |
ー | 3年 | 9ヶ月 |
各項目を紹介します。
DE
OSで採用されているデスクトップ環境です。メモリー
メモリーの使用量です。ログイン後にOSのデフォルトのアプリケーションランチャーから「端末」を起動し、「free」コマンドを実行した時に出力される値を元にしています。
「Kubuntu」のメモリー使用量の少なさは、特筆に値します。
「Kubuntu」ではデスクトップ環境に「KDE」を採用していますが、今までよく言われていた”重い”、”リソースを多く消費する”といった印象とは異なる値を示しており、過去の印象を払拭するのに十分な軽さになりました。
「Lubuntu」は相変わらず最軽量のOSとなっています。
メモリー使用量も少なく、性能が不十分なPCやPCのリソースを多くアプリに割きたいユーザーにお薦めです。
ストレージ
ルートパーティション(OSをインストールしたパーティション)の使用量です。EFIシステムパーティションやスワップパーティションは含まれません。
「VirtualBox Guest Addtions」のインストールや、「VirtualBox Guest Addtions」をビルドするためのパッケージ等を後からインストールしているため、素の状態だとストレージの使用量は表中の値よりも少なくなります。
また最小インストールに対応しているOSでは、さらにストレージの使用量が少なくなります。
UI
「UI(デスクトップ環境)」の構成を他のOSで表現しています。あくまで見た目や使い方が似てるというだけであり、他のOSの使い方とは必ずしも一致しません。
ユーザーが持つであろう印象を他のOSに当てはめただけに過ぎない点は留意ください。
(強いて当てはめるなら、ということです。)
「Windows」で言うところのスタートメニュー(アプリケーションランチャー)や、タスクバーの構成等を対象にしています。
またOSによってはUIレイアウトを自由に変更できるため、カスタマイズ内容によりUI構成は大きく変わります。
OpenGL
「GPU」の3Dアクセラレーションの性能が高いほうが快適に利用できる場合は「○」と記述しています。それ以外は「ー」と記述しています。
「Kubuntu」など一部のOSは、レンダリング方法のカスタマイズが可能なので、自分でパフォーマンスを調整することも可能です。
GPUの性能が高ければ、3Dを活用したより高度なレンダリングを行うことも可能です。
LTS
LTSリリースのサポート期間です。表内の記述は、LTSリリースである「18.04」のサポート期間です。
「18.04」では、2018年4月がサポート期間の始まりとなります。
OSによりサポート期間が異なるため、注意が必要です。
通常サポート
通常リリースのサポート期間です。表内の記述は通常リリースである「17.10」のサポート期間です。
現状通常リリースのサポート期間は、どのOSでも9ヶ月です。
各OSのディスクイメージをダウンロードするには
各OSの試用やインストールは、ディスクイメージをダウンロードするところから始まります。各OSのリリースノートやディスクイメージのダウンロード方法は、以下を参照してください。
システム要件
次は各OSのシステム要件を比較してみます。OS | CPU | メモリー | ストレージ | GPU |
---|---|---|---|---|
Ubuntu | 2GHz 2コア | 2GiB 4GiB推奨 |
25GiB | XGA 256MiB GPUメモリー推奨 3D推奨 |
Kubuntu | 1GHz 2コア | 2GiB | 10GiB | XGA |
Xubuntu | 1GHz | 0.5GiB 1GiB推奨 |
7.5GiB 20GiB推奨 |
XGA |
Lubuntu | Pentium 4 Pentium M AMD K8 |
1GiB 2GiB推奨 |
8GiB 16GiB推奨 |
XGA |
Ubuntu Budgie | 1.5GHz 2コア | 2GiB 4GiB推奨 |
10GiB | XGA |
Ubuntu MATE | Pentium M 1GHz Core 2 Duo 1.6GHz推奨 |
1GiB 2GiB推奨 |
9GiB 16GiB推奨 |
XGA WXGA推奨 3D推奨 |
補足
OSによって要件の基準が異なるため、比較はあくまで参考程度に留めてください。ユーザーがOS上でどのような作業を行うかにもよりますが、1ランクから2ランク上の性能を持つPCがお勧めです。
32bit版と64bit版のディスクイメージ
「Ubuntu」は「64bit版(x86-64)」のディスクイメージのみ提供しています。それ以外のOSは、「32bit版(x86)」と「64bit版(x86-64)」のディスクイメージを提供しています。
ただし「18.10」以降「32bit版(x86)」の廃止が提案されており、「18.10」で「32bit版(x86)」が無くなる可能性があります。
また「Skype」や「Google Chrome」、「PowerShell」など、「32bit版(x86)」のリリースを行っていないサードパーティーが増加しています。
CPUについて
「PAE」に対応したCPUが必要です。古いCPUでもない限り、「PAE」に対応しています。
まとめ
最後に用途別にお勧めのOSを紹介します。軽量なOSを望む
軽量なOSを求めるなら、以下のOSがお薦めです。- Lubuntu
- Xubuntu
- Ubuntu MATE
高度なカスタマイズを望む
高度なカスタマイズを望むなら、以下のOSがお薦めです。- Kubuntu
- Ubuntu MATE
またカスタマイズ性の高い以下のOSもお薦めです。
- Xubuntu
- Ubuntu Budgie
英語は嫌、日本語で
どのOSでも日本語の表示や日本語入力は可能です。インストール作業も日本語で行なえますし、インストール時に日本語を選択すれば日本語環境が整います。
しかしUIのローカライズ状況を加味した場合、「Kubuntu」は英語表記のUIに遭遇する機会が他のOSより多めです。
またライブセッションが完全に日本語化されているOSは、「Ubuntu Desktop 日本語 Remix」のみです。
必ず試用を
使い勝手やパフォーマンス、カスタマイズなど、ユーザーがOSに何を望むのかはユーザー次第です。そのため事前に各OSを試用してからインストールするOSを決めましょう。