VirtualBox 6.1.0がリリースされました
2019年12月10日、「VirtualBox 6.1.0」がリリースされました。リリース情報
今回のリリースはメジャーバージョンアップであり、不具合の修正以外にも新機能の追加が積極的に行われています。- 変更点:Changelog for VirtualBox 6.1
- ダウンロード:Download VirtualBox
- マニュアル:Documentation
VirtualBox 6.1の新機能
新機能や改良点をいくつかピックアップします。Oracle Cloud Infrastructureのサポート改善
「Oracle Cloud Infrastructure」から仮想マシンをインポートする機能がサポートされ、また仮想マシンを「Oracle Cloud Infrastructure」へエクスポートする機能が改良されました。
再アップロードなしに複数の仮想マシンの生成が可能になり、より効果的な準仮想化を使用して仮想マシンをエクスポートするオプションが追加されました。
またクラウドイメージにタグを付けるオプションも追加されました。
ネスト化されたハードウェア仮想化支援のサポート改善
ネスト化されたハードウェア仮想化支援のサポートが改善されました。今回の改善では、第5世代の「Intel Core(Broadwell)」以降の「Intel CPU」で本機能を利用可能です。
グラフィックサポートの改善と変更
新しいスタイルの「VBoxSVGA」及び「VMSVGA」は引き続き利用可能ですが、古いスタイルの「VBoxVGA」は削除されました。Windowsホストでは、サポートするテクスチャーフォマットが追加されました。
またフリッカーに関する問題が改善されています。
VBoxSVGA/VMSVGA
「VBoxSVGA」及び「VMSVGA」では、「OpenGL」を使用するLinux/macOSホストにて、「YUV2」とそれに関連するテクスチャーフォーマットがサポートされました。これにより色空間の変換をホストGPUに任せることができ、3Dを有効にした仮想マシンで動画再生のパフォーマンスが向上します。
また3D描画に関する不具合が修正されました。
VMSVGA
「VMSVGA」の3Dサポートでは、「OpenGL」の圧縮テクスチャーに関連する不具合が修正されました。VBoxSVGA
Windowsゲストで「VBoxSVGA」利用時に発生する描画に関する不具合が多数修正されました。同様に「VHWA」機能が復活しました。
クリップボードの共有機能の改善
クリップボードの共有機能では、ファイルの転送が試験的にサポートされました。現状この機能はWindowsホスト及びクライアント間で利用可能です。
この機能はデフォルトで無効になっているためこの機能を利用するには、「VBoxManage」を使用してこの機能を有効にする必要があります。
CPUにハードウェア仮想化支援が必須に
仮想化コアからリコンパイラーが削除されたため、仮想マシンを実行するにはハードウェア仮想化支援をサポートするCPUが必要になりました。最大1024のCPUをサポート
大量のCPUを搭載したホストマシン上で動作するようになりました。水平スクロールのサポート
「IntelliMouse Explorerプロトコル」を使用するPS/2マウスデバイスで、水平スクロールが利用可能になりました。この機能はLinuxゲストでは自動的に有効になります。
NTFS、FAT、ext2/3/4のサポート改善
「vboximg-mount」では、ディスクイメージ内の「NTFS」、「FAT」、「ext2/3/4」ファイルシステムを、ホストのサポートなしに読み込み専用で直接読み込む機能がサポートされました。この機能は試験的なサポートです。
Linux
Linux関連の変更点です。PCIパススルーの削除
Linuxホストでは、PCIパススルーの機能が削除されました。現在のコードは不完全であり、PCIeデバイスを全く扱えないためです。
Linux kernel 5.4のサポート
「Linux kernel 5.4」がサポートされました。カーネルモジュールの署名
ビルド時にカーネルモジュールの署名が強制的に無効になりました。vboxwebサービス
「systemd」の「vboxweb」サービスの依存情報が改善されました。EFI
「EFI」の改善です。- ファームウェアのコードベースが新しくなり、「NVRAM」のサポートが追加されました。
- 「APFS」からのブートがサポートされました。
- OS Xで作成された非標準のSATA/NVMeのブートデバイスパスがサポートされました。
- 古いOS Xゲストが再びサポートされました。
GUIの改善
GUIが大幅に改善されています。- VISOの作成とファイルマネージャーのサポートが改良されました。
- 仮想マシン一覧が改良され、グループの区別がより明確に分かるようになり、また仮想マシンの検索も改良されました。
- グローバルツールのピン留めが可能になり、仮想マシン一覧をスクロールしてもグローバルツールを常に表示できるようになりました。
- 仮想マシンの詳細ペインでは、仮想マシンの設定画面を開かずに直接変更できるようになりました。
- 詳細ペインに表示する仮想マシンの情報が増えました。
- 多数のメディアが登録されている時のパフォーマンスが改善されました。
- Virtual Media Manager経由でメディアの作成や追加が可能になりました。
- 仮想マシンのストレージ設定画面では、ストレージコントローラーのバスタイプを変更できるようになり、ストレージをドラッグ&ドロップしてコントローラー間で移動できるようになりました。
- マルチメディアキーを含む任意のキー入力をゲストへ伝える新しい仮想キーボードが追加されました。
- ステータスバーのCPUインジケーターに仮想CPUの負荷が表示されるようになりました。
- セッション情報ダイアログにパフォーマンスモニターなど、様々な情報が表示されるようになりました。
- ストレージのネットワーク設定画面の不具合修正と、使い勝手の改善が行われました。
- マウスポインターのスケーリングの不具合修正と改善が行われました。
その他の改善
その他の改善です。- USB EHCIコントローラーの実装が改善されました。
- USBデバイスのフィルタリングでは、ポートパスやシステム内で一意に識別されるポートを指定できるようになりました。
- LinuxのNATネットワークでは、接続受け入れ(ポートフォワーディング)に非ブロックのソケットを使用するようになりました。
- 新しいネットワークアダプタータイプである「PCnet-ISA」が追加されました。現状このアダプターはCLIでのみ設定可能です。
- 仮想マシンが保存状態の時に、ホストのオーディオバックエンドを変更できるようになりました。
- 新規に作成された仮想マシンでは、SMBIOSのシステムUUIDがリトルエンディアンで保存されるようになりました。 既存の仮想マシンでは後方互換性のため従来どおりビッグエンディアンで保存されます。
VirtualBox 6.0.xからアップグレード
「VirtualBox」のリポジトリーを利用しているユーザーは、「VirtualBox 6.0.x」から仮想マシンを引き継ぎつつ「VirtualBox 6.1.0」へアップグレード可能です。ただし「VirtualBox 6.1.0」へアップグレードすると、既存の「VirtualBox 6.0.x」本体は削除されます。
注意
「VirtualBox」をアップグレードする時は、必ず事前に「VirtualBox」が起動していないことを確認してください。「VirtualBox」が起動している状態でアップグレードを行うと、アップグレードに失敗します。
ソフトウェアの更新からアップグレードできない
「VirtualBox」のメジャーアップデートでは、ソフトウェアの更新からアップグレードすることはできません。「VirtualBox 6.1.0」を明示的にインストールする必要があります。
「端末」を起動し以下のコマンドを実行すれば、「VirtualBox 6.1.0」をインストールできます。
sudo apt install virtualbox-6.1
後はいつものアップデート手順と同じです。
次回以降、「ソフトウェアの更新」から「VirtualBox」をアップデートできるようになります。
また忘れずにゲストOSに「Guest Additions」をインストールしておきましょう。
アップデートの流れは、以下を参考にしてください。
VirtualBoxをインストールするには
「Ubuntu」に「VirtualBox 6.1.0」をインストールする方法は、以下を参照してください。次回以降、「ソフトウェアの更新」から「VirtualBox」をアップデートできるようになります。