Ubuntu Touch on Raspberry Pi 3B+
「UBports」コミュニティーでは、「Ubuntu Touch」を「Raspberry Pi」へ移植する取り組みを行っています。以下で「Raspberry Pi 3B+」に「Ubuntu Touch」をインストールする方法が紹介されています。
テストに協力を
現在「Raspberry Pi」向け「Ubuntu Touch」は、日常的に利用できるほど安定していません。開発者やテスター向けの品質であり、安定版ではありません。
「Raspberry Pi」向け「Ubuntu Touch」に関する議論は、以下の「Telegramグループ」で行われています。
不具合の報告は、以下で受け付けています。
アプリの開発に関する情報は、以下を参照してください。
1.事前準備
まずは事前準備です。1-1.事前準備
以下のものを用意します。- Raspberry Pi 3B+
- 安定した電力の供給
- microSDカード(8GB 〜 32GB)
- microSDカードを読み書きできるPCか、Linuxが動作しているRaspberry Pi
- USBキーボードとマウス
- HDMIディスプレイ/TV + HDMIケーブル
- イーサネット接続 + LANケーブル
1-2.イメージのダウロード
以下から「Ubuntu Touch」の最新版のイメージをダウンロードします。ダウンロードするファイルのファイル名は「ubuntu-touch-raspberrypi.img.gz」
1-3.イメージの展開
ダウンロードしたイメージはアーカイブになっているので、イメージを展開します。イメージは4GBあるので、展開するのに少し時間がかかるでしょう。
2.イメージの書き込み
展開したイメージを「microSDカード」に書き込みます。イメージの書き込みに使用するツールは、好みのツールを利用してください。
注意
ここでは「Linux」上で「dd」コマンドによるイメージの書き込み方法を紹介しますが、操作方法を間違えると意図せずデータを全消去することになります。自信がない場合はGUIツールを利用してください。
2-1.microSDカードカードの挿入
「microSDカード」をPCか「Linux」が動作している「Raspberry Pi」に挿入します。2-2.microSDカードの確認
「端末」を起動し、以下のコマンドを実行します。
sudo fdisk -l
以下のように「microSDカード」の情報が出力されるので、「microSDカード」のデバイスファイル名を覚えておきます。
以下の例で「microSDカード」のデバイスファイル名は、「/dev/sda」になります。
また容量が32GB(29.7GiB)であることが分かります。
2-3.イメージの書き込み
「cd」コマンドを実行し、カレントディレクトリーをイメージを展開したディレクトリーに変更します。その後以下のコマンドを実行し、「1-3.」で展開したイメージを「microSDカード」に書き込みます。
sudo dd bs=4M if=ubuntu-touch-raspberrypi.img of=デバイスファイル名 conv=fsync
デバイスファイル名には「2-2.」で確認したデバイスファイル名を指定します。
今回の例では以下のようになります。
sudo dd bs=4M if=ubuntu-touch-raspberrypi.img of=/dev/sda conv=fsync
イメージの書き込みには少し時間がかかります。
3.パーティションの拡大
次に「microSDカード」内のパーティションを拡大します。ここでは例として「Linux」上で「GParted」を利用し、パーティションを拡大
します。
3-1.GPartedの起動とストレージの選択
「GParted」を起動し、「microSDカード」のデバイスファイルを選択します。以下のように「microSDカード」上に2つのパーティションが見つかります。
以下の例では「/dev/sda1」と「/dev/sda2」が「microSDカード」にあるパーティションです。
また一番下にある「unallocated」が未使用の領域です。
ここで行う作業は、「ext4」でフォーマットされた領域を拡大する作業です。
上記の例では「/dev/sda2」を拡大します。
3-2.パーティションのアンマウント
パーティションの拡大作業を行う前に、マウントされている各パーティションをアンマウントします。(マウントされているには、鍵アイコンが表示されています。)各パーティションを右クリックし、「unmount(アンマウント)」を実行します。
3-3.パーティションの拡大設定
「ext4」でフォーマットされたパーティションを選択し、「Resize/Move」を実行します。上記の例では「/dev/sda2」を選択し、「Resize/Move」を実行します。
以下のような画面が表示されるので、パーティションの右側をドラッグ&ドロップし、右側いっぱいまで広げます。
またパーティション前後の「Free space ...」が「0」になるようにしてください。
設定が完了したら「Resize/Move」ボタンを実行します。
3-4.パーティションの拡大
「Apply all operations(すべての操作を適用)」を選択し、「Apply(適用)」をクリックします。パーティションの拡大が完了すると、以下のようになります。
「/dev/sda2」のサイズが増えていることが分かります。
以上で作業完了です。
「GParted」を終了します。
4.Raspberry Piの準備
「Raspberry Pi」の準備です。4-1.電源を外す
「Raspberry Pi」が電源に接続されている場合、一旦電源を外します。4-2.接続の確認
「Raspberry Pi」に以下のハードウェアが接続されている確認します。- HDMI
- イーサネット(LAN)
- キーボード
- マウス
- 「3.」で作業したmicroSDカード
4-3.Raspberry Piの起動
ディスプレイの電源を入れ、「Raspberry Pi」に電源を接続します。スタートアップ処理が実行され、1分から2分後に「Ubuntu Touch」のセットアップが起動します。
ここでうまくいかない場合は、もう一度「microSDカード」にイメージを書き込む作業から再度実施してください。
(「2.」以降の作業)
5.Ubuntu Touchのセットアップ
「Ubuntu Touch」のセットアップを行います。マウス操作がおかしい
マウス操作が見た目通りに動作しない現象が発生します。そのため、マウスによる項目の選択や実行がうまくできないケースがあります。
もしマウスカーソルがスクリーン上の特定の領域内でしか移動できない現象が発生した場合は、その領域周辺で円を描くように円のサイズを大きくしつつ、数秒間マウスカーソルを動かしてみてください。
その領域からマウスカーソルが解放されるでしょう。
もしマウスによる選択操作がうまくいかない場合は、選択操作を行う前に数回マウスカーソルを水平に動かしてみてください。
また状況によっては、垂直にマウスカーソルを動かしてみるのも良いでしょう。
また複数回クリックするなど、試行錯誤してみてください。
その過程で見えてくるものがあると思います。
またマウス操作の代わりに、キーボードの「Tab」キーによる項目の選択や、「Return」キーによる項目の実行を利用してみてください。
5-1.言語の選択
「area screen」が表示されるので、OSで使用する言語を選択し、「next(次へ)」をクリックします。5-2.キーボードレイアウトの選択
キーボードレイアウトを選択し、「next(次へ)」をクリックします。5-3.タイムゾーンの選択
タイムゾーンを選択し、「next(次へ)」をクリックします。日本ではTokyoでしょうか。
インターネットに接続されていること
このタイミングでインターネットに接続されていないと、ここでセットアップがストップする可能性があります。5-4.名前の入力
最後にユーザー名を入力します。5-5.Welcome
以下のように「ようこそ画面」が表示されるので、「Get Started」を選択してください。デフォルトのログイン名(ユーザーアカウント名)とパスワードは、「phablet」です。
動作は緩慢
「Raspberry Pi 3B+」のハードウェアスペックでは、「Ubuntu Touch」の動作が緩慢になり、応答性も良くありません。今後「Raspberry Pi4 2GB/4GB」モデルで発生する問題が解決されれば、「Raspberry Pi4」上でもっとスムーズに「Ubuntu Touch」を動かせるようになるでしょう。
apt updateとapt upgradeに注意
「apt update」及び「apt upgrade」を実行すると、システムが壊れる可能性があります。Ubuntu Touchのバックアップ
「Ubuntu Touch」のバックアップは「dd」を利用してバックアップイメージを作成するか、ユーザーのホームフォルダーをバックアップし、再インストール後にそれらのファイルを復元してください。スワップとZRAMを設定するには
「スワップ(Swap)」と「ZRAM」を設定する方法です。ただし「microSDカード」の寿命に影響を与えるため、寿命の心配がある場合は、やらないほうが良いでしょう。
1.2GBのスワップを設定する
2GBのスワップを設定するには、「端末」で以下のコマンドを実行します。
sudo apt-get install dc dphys-swapfile
処理が完了するまで長い時間がかかります。
処理が完了した後以下のコマンドを実行すれば、スワップの利用状況を確認できます。
free -m
「Swap:」の行がスワップの利用状況です。
2.ZRAMを設定する
「ZRAM」はスワップのディスクI/Oを軽減する仕組みです。「microSDカード」への書き込みを軽減することができます。
「端末」で以下のコマンドを実行します。
sudo apt-get install zram.config
処理が完了したら以下のコマンドを実行し、デバイスを再起動します。
sudo reboot
定期的な画面のロックを抑制するには
定期的に画面がロックされる設定を変更するには、「Battery Settings(バッテリー設定)」内の「Lock when Idle(アイドル時にロックする)」設定を、「10 minutes(10分)」か「Never(ロックしない)」に変更してください。アプリを入手するには
「OpenStore」で各種アプリが提供されています。アプリの入手やアップデートに「OpenStore」を覗いてみてください。
注意
ただし「Raspberry Pi」向け「Ubuntu Touch」は、「Edge」チャンネルがベースになっており、「OpenStore」で提供されているアプリの中には、アップデートがまだ行われておらず、起動に失敗するアプリもあります。また数多くのアプリを起動して作業する場合や、ブラウザーで多くのタブを開く場合、クラッシュする可能性があります。
UT Tweak Tool
「UT Tweak Tool」は、「Ubuntu Touch」の高度なカスタマイズを行うツールです。Docviewer
「Docviewer」は、様々なドキュメントフォーマットに対応したビューアーです。Dekko
「Dekko」は、メールクライアントアプリです。Logviewer
「Logviewer」は、ログビューアーです。問題の調査や特定に役立つでしょう。
TELEports
「TELEports」は、「Telegram」のクライアントアプリです。活発なグループに参加している場合は、設定から通知をオフにしてください。
さもないと通知が届く度にシステムが一時的にフリーズします。