Ubuntu Touch OTA-12がリリースされました
2020年5月13日、「Ubuntu Touch OTA-12」がリリースされました。Ubuntu Touchとは
「Ubuntu Touch」は、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイス向けに最適化されたOSです。ユーザーのプライバシーと自由を尊重したOSです。
「Ubuntu Touch」は「Ubuntu」ベースのOSであり、「UBports」コミュニティーにより開発が行われています。
外部ディスプレイとキーボード、そしてマウスをモバイルデバイスに接続すれば、UIがデスクトップ向けのUIに変化し、デスクトップとして活用することもできます。
つまり1つのモバイルデバイスで、モバイル環境とデスクトップ環境を利用することができます。
「Ubuntu Touch」がサポートしているデバイスや、各デバイスで利用可能な機能及び制限は、以下を参照してください。
Unity8
「Ubuntu Touch OTA-12」では、「Unity8(Lomiri) 8.20」が採用されています。Unity8
「Canonical」が修正した最後の「Unity8」が取り込まれています。「Unity8 8.20」への移行作業は2019年4月から開始され、様々な新機能がもたらされています。
以前紹介したように「Unity8」は現在「Lomiri」という名称に変更されています。
この変更を受け「Unity8」の名称になっているソースコードの箇所を修正する作業が行われています。
「Unity8」の名称は表に出ていないため、この作業はソースコードが対象です。
ホーム画面
「Ubuntu Touch」のホーム画面(Unity8 Dash)の背景が空の背景に置き換えられ、新しいアプリケーションリストに「Drawer」が採用されています。広範なテスト
最新の「Unity8」の導入にあたり広範なテストが実施され、新たな不具合やリグレッションがないか確認されています。Mir
「Ubuntu Touch OTA-12」では、「Mir 1.2」が採用されています。Mir 1.2
2015年にリリースされた「Mir 0.24」から、2019年にリリースされた「Mir 1.2」へアップグレードされました。Waylandのサポート
従来の「Mir」と異なり「Mir 1.2」は、「Wayland」クライアントをサポートしています。ただし「Android」ベースのデバイスではサポートに必要な実装が欠けているため、「Wayland」クライアントのサポートは利用できません。
「PinePhone」や「Raspberry Pi」といった著名なデバイスは、すでに「Wayland」を利用可能です。
Mir 1.8への移行は簡単になる予定
「Mir 0.24」と「Mir 1.2」は構造が大きく異なるソフトウェアでしたが、「Mir 1.2」への移行により、今後控えている2020年4月にリリースされた「Mir 1.8」への移行は、もっと簡単に移行できるようになる予定です。Suru
「Suru」はUIで使用されるテーマです。デフォルトのカラーやコントロールのデザインが調整され、アプリの一貫性やデザイン性が向上ました。
カラー調整
カラー調整により背景とテキストのコントラストが改善され、「Ubuntu Touch」は「W3C」の「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)」に準拠しました。簡潔に言えば、視認性が向上したということです。
上は調整前で、下は調整後のデザインです。
ほぼすべてのデフォルトのアプリにこの調整が施され、多くのダイアログの視認性が向上しています。
コントロールのデザイン改善
一部コントロールのデザインを変更し、エンボス加工等のデザインからデボス加工のデザインへと変更されました。左が調整前で、右が調整後のデザインです。
キーボードの改善
キーボード(Kugi)が改善されました。編集オーバーレイへの切り替え
ボトムスワイプにより、キーボードから編集オーバーレイへ切り替えられるようになりました。これにより全てのレイアウトから編集オーバーレイへアクセスできるようになりました。
選択とカーソルモードの切り替え
編集オーバーレイの秋部分をダブルタップすると、選択とカーソルモードを切り替えることができます。また「Done」ボタンでそれぞれのモードを終了できます。
コロン入力時の改善
コロン入力時に次の文字を自動的に大文字にしないように修正されました。Morphブラウザー
「Ubuntu Touch」ではデフォルトのウェブブラウザーに、「Morph」を採用しています。プライベートブラウジングの改善
プライベートブラウジング終了時に、すべてのブラウザーセッションではなく、プライベートブラウジングセッションのみを削除するようになりました。またクッキーの削除オプションが追加されました。
webappコンテナー
webappコンテナーで作られたアプリは、ファイルをダウンロードできるようになりました。ドロップダウン要素
ページのドロップダウン要素は、ブラウザーにより適切に処理されるようになりました。小さなドロップダウンボックスを表示する代わりに、テーマが適用されたウィンドウを開き、タッチしやすい選択肢が表示されるようになりました。
またドロップダウンボックスを開く時にクラッシュする不具合が修正されました。
横幅に合わせたズーム
ウェブページを横幅に合うように自動的にズームする機能が追加されました。QtWebEngineのアップグレードなし
「Ubuntu Touch OTA-12」で「QtWebEngine」はアップグレードされていません。しかしすでに「Ubuntu Touch OTA-13」に向けてテストが行われており、「Ubuntu Touch OTA-13」で「QtWebEngine」がアップグレードされる予定です。
その他
その他の変更や既知の問題です。バッテリーの充電状況をLED表示
マルチカラーLEDを搭載したデバイスでは、LEDで充電状況を示します。オレンジの点滅は、バッテリー残量が少ないことを示します。
充電中は点灯したままになります。
緑色の点灯はフル充電を示します。
FairPhone 2
「FairPhone 2」で「SIM」を「4G」に切り替える際、他方のスロットを手動で「2G」に切り替える必要がなくなりました。この切り替えは自動的に行われるようになりました。
インジケーターのローカライズ改善
多くのインジケーターで翻訳ファイルを適切に作成及び読み込みできるようになり、英語以外のUIで英語が表示される機会が減っています。Anbox
「Anbox」に必要なカーネルドライバーが、以下のデバイスのデフォルトのカーネルに追加されました。- Nexus 5
- OnePlus One
- FairPhone 2
これらのデバイスを利用しているユーザーは「Anbox」を試す際、今までのように別のカーネルをフラッシュする必要がなくなりました。
OnePlus
「OnePlus」でキーを押した時にバイブレーションが正しく動作するようになりました。Googleにサインインできない
「Ubuntu Touch」では「Ubuntu Touch」が保有する「Google OAUTH」キーを使用し、「Google連絡先」や「Googleカレンダー」との同期を実現しています。しかし「Google」は懐疑的だと思われるブラウザーをブロックし始めており、多くのユーザーは「Google」サインインを利用できません。
本件に関する内容は、以下を参照してください。