Window Shufflerの改良
「Ubuntu Budgie」開発チームは「Window Shuffler」の改良作業に取り組んでおり、以下でその取り組み内容を紹介しています。Window Shuffler
「Window Shuffler」は、アプリのウィンドウを指定された位置に配置したり、指定された場所に移動するソフトウェアです。「Window Shuffler」は2018年の春に開発され、「Ubuntu Budgie」に搭載されました。
MATEやGNOME Shellでも動作する
「Window Shuffler」は「Budgie」だけでなく、「MATE」や「GNOME Shell」でも動作するとのことです。Window Shufflerの課題
「Window Shuffler」は期待通り動作していましたが、考慮すべき課題がいくつか見つかりました。パフォーマンス
「Window Shuffler」は「Python」で作られており、「Window Shuffler」がコールドスタートで起動する場合、「Window Shuffler」の動作が遅くなります。コールドスタートとは、ソフトウェアがキャッシュされていない状況で起動することです。
つまりコールドスタート時、ユーザーのアクションに即座に反応できず、応答性が悪くなります。
GUIの呼び出し
「Window Shuffler」はデスクトップ環境やシェル統合されたソフトウェアではなく、別のソフトウェアとして提供されており、ウィンドウの整列時にGUIが呼び出されます。このGUIの呼び出しはユーザーのワークフローにおいて一手間となります。
Window Shufflerの作り直し
2019年末から2020年始めにかけ、「Window Shuffler」は作り直されました。PythonからValaへ
今まで「Python」で開発されていましたが、プログラミング言語が「Vala」に変更されました。「Vala」は「Python」や「C#」のような記述ができ、ソフトウェアのビルド時に「C言語」に翻訳してからコンパイルする言語です。
そのためパフォーマンスの向上が期待できます。
サービス(デーモン)
「shuffler-daemon」の導入や機能ごとの実行ファイルの分割、共通機能の共有化により、コールドスタート時に発生するパフォーマンスの低下が解消されました。キーボード主体の操作へ
GUI主体の操作からキーボード主体の操作に変更されました。新しいオプションの追加や機能の改良が行われ、キーボードから任意の方向にウィンドウをリサイズしたり、ウィンドウサイズと位置の入れ替え、マージンやパディングの設定など、ユーザーのワークフローを支援する改良が行われています。
新しいオプションの追加
現在の開発では、以下の2つの新しいオプションが追加されています。Shuffler window rules
特定の「WM_CLASS」を持つウィンドウを指定されたモニターの指定された位置に配置する機能です。Shuffler Layouts
作業環境に応じて予めウィンドウレイアウトを定義しておくことで、即座に各ウィンドウを指定された位置に配置することができます。Shuffler Control Centerの改善作業
ユーザーにとって分かりやすいUXを提供するため、「Shuffler Control Center」の改善が計画されています。以下でユーザーからフィードバックを募集しています。
Window Shuffler開発版に追従するには
「Ubuntu Budgie」開発チームは「Budgie Extras Daily PPA」にて開発版(テスト版)の「Window Shuffler」を提供しています。以下の手順で「Budgie Extras Daily PPA」の追加及開発版「Window Shuffler」のインストールが可能です。
1.PPAの追加
「Tilix(端末)」を起動して以下のコマンドを実行し、「Budgie Extras Daily PPA」を追加します。
sudo add-apt-repository ppa:ubuntubudgie-dev/budgie-extras-daily