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Ubuntu 21.04 その10 - APTがフェーズドアップデートに対応・apt/apt-getでもフェーズドアップデートが有効に

APTがフェーズドアップデートに対応

「APT」が「APT 2.1.16」でフェーズドアップデート(Phased Update)に対応しました。


  • Phased updates in APT in 21.04

フェーズドアップデートに対応した「APT 2.1.16」が「Ubuntu 21.04」で採用されるため、「apt」や「apt-get」コマンドでもフェーズドアップデートが有効になります。

フェーズドアップデート

元々「Ubuntu Desktop」では「ソフトウェアの更新(update-manager)」がフェーズドアップデートに対応しており、「ソフトウェアの更新」経由でソフトウェアをアップデートしているユーザーはすでにフェーズドアップデートが有効になっています。

その一方で「apt」や「apt-get」コマンドはフェーズドアップデートに対応していないため、「Ubuntu Desktop」でもこれらのコマンドを利用してソフトウェアをアップデートしている場合、フェーズドアップデートが有効になっていません。

さてそもそもフェーズドアップデートとはどういう機能なのかは以前紹介しておりますので、以下を参照してください。

  • 段階的にパッケージのアップデートを提供するフェーズドアップデート

APTもフェーズドアップデートに対応

そして「APT」もフェーズドアップデートに対応しました。
これにより「apt」や「apt-get」コマンドもフェーズドアップデートに対応するため、ソフトウェアのアップデートに主にこれらのコマンドを利用する「Ubuntu Server」や「Raspberry Pi」、コンテナーでもフェーズドアップデートが有効になります。

マシンIDでマシンを区別する

さてフェーズドアップデートの対象になっているパッケージは、対象のマシンをマシンID、対象となっているパッケージ名及びパッケージバージョンで区別します。
この時ユーザーのマシン(PC)を区別する識別子がマシンIDです。

APTの設定

「/etc/machine-id」ファイルにマシンIDが記述されており、このマシンIDでフェーズドアップデートの対象を区別しています。
マシンIDのフォーマットはこのファイルに記述されているようにUUIDのようなフォーマットになります。

複数のマシンを同一マシンと認識させるには

もし「APT」に複数のマシンを同一マシンと認識させるには、マシンIDを「APT::Machine-ID」オプションで指定するか、マシンIDが記述された別のファイルを「Dir::Etc::machine-id」オプションで指定します。

常にすべてのパッケージをアップデート対象にするには

必要なら従来の動作と同じようにフェーズドアップデートを無効にして常にすべてのパッケージをアップデート対象にすることも可能です。
この場合「APT::Get::Always-Include-Phased-Updates」オプションに「true」を指定します。
これでフェーズドアップデートの対象になっているすべてのパッケージが常にアップデートに含まれるようになります。

ソフトウェアの更新の設定に従う

「APT」は「ソフトウェアの更新」のフェーズドアップデートに関する設定と連携します。

/etc/machine-idファイルの参照

「/etc/machine-id」ファイルは「Dir::Etc」設定で指定されているディレクトリーから検索されます。
もし「Dir」や「Dir::Etc」設定に別のディレクトリー指定する場合、その先に「/etc/machine-id」ファイルのコピーを配置するか、上記で紹介したオプションでマシンIDを指定しないと、マシンIDが見つけられずフェーズドアップデートが無効になります。

留意点

留意点です。

新規にインストールするパッケージは対象にならない

新規にインストールするパッケージはフェーズドアップデートの対象になりません。
これはパッケージのインストールであってパッケージのアップデートではないためです。

APTライブラリーを利用するアプリも影響を受ける

「apt」や「apt-get」コマンド自身もそうですが、APTライブラリーを利用しているAPTのフロントエンドも本影響を受けます。
例えば「aptitude」や「packagekit」が該当します。

Ubuntu
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