proposedリポジトリーをデフォルトで有効にする提案
proposedリポジトリーは開発者向けのリポジトリーです。不具合の修正確認
ソフトウェアに不具合が見つかった時、ユーザーから不具合報告を受けます。「Ubuntu」ではソフトウェアの不具合を修正した後、本当にその不具合が修正されているのか、修正により他に問題が出ていないのかを確認するため、ユーザーにテストを依頼します。
以下はその一例です。
テストを行うユーザーは修正されたパッケージをインストールしテストします。
そしてそのテスト結果を報告します。
テスト結果に問題がなければ
テスト結果に問題がなければ、その後そのパッケージは「ソフトウェアの更新」を通じてユーザーにリリースされます。テストが行われないとリリースできない
言い換えるとユーザーによるテストが行われないと、いつまで経ってもリリースできません。以前紹介しましたが「Unity」のアップデートでこのような状況になりました。
Stable Release Updates
リリース後の「Ubuntu」でアップデートを提供するための一連の手続きを「SRU(Stable Release Updates)」といいます。「SRU」はユーザーに「Ubuntu」の安定性を継続的に提供するために必要な手続きです。
proposedリポジトリー
さてテスト向けの修正済みパッケージ(ソフトウェア)は、proposedリポジトリーにアップロードされます。そのためテストを行うユーザーはproposedリポジトリーを有効にし、そこからそのパッケージをインストールしてテストを行います。
デフォルトで無効になっている
proposedリポジトリーは上記のようにテスト及び開発者向けのリポジトリーであるため、デフォルトで無効になっています。ユーザーがテスト対象にしていないパッケージも含まれる
proposedリポジトリーには「Ubuntu」全体でテスト対象になっているパッケージがアップロードされるため、特定のユーザーがテスト対象にしていないパッケージもアップロードされます。既存のリポジトリーよりも優先される
proposedリポジトリーには既存のパッケージよりも新しいバージョンのパッケージが提供されるため、そのままアップデートしてしまうとproposedリポジトリーから提供されるパッケージにアップデートされてしまいます。proposedリポジトリーには品質が確認される前のパッケージがアップロードされるため、そのままですとシステム自体の安定性やテストの精度に影響を与えかねません。
そのためユーザーはテストしたいパッケージのみを選択的にインストールしてテストすることになります。
この作業や状況はテストしたいユーザーにとって負担になっています。
proposedリポジトリーをデフォルトで有効にする提案
というわけで前置きが長くなりましたが、テストしたいユーザーの負担を軽減するため、proposedリポジトリーをデフォルトで有効にする提案が以下で行われています。proposedリポジトリーの優先順位を下げる
上記でも紹介したとおりproposedリポジトリーを有効にしただけですと大変なことになります。APTには利用するリポジトリーに優先順位を付ける仕組みがあります。
そこでproposedリポジトリーを有効化すると共にこの仕組みを利用し、proposedリポジトリーの優先順位を下げることで上記のリスクに対応する方針が提案されています。
そうすれば既存の安定版アップデートが優先的に利用されるようになり、テストを行いたいユーザーは特定のパッケージを選択的にインストールできるようになります。
もっと簡単にテストを行えるように
パッケージの中には他のパッケージに依存するパッケージもあります。proposedリポジトリーから提供されるパッケージをインストールする際、そのパッケージに依存するパッケージがproposedリポジトリーから提供されている場合、それらの依存パッケージも一緒にproposedリポジトリーからインストールするツールの開発も提案されています。