Ubuntu Desktop 23.10の注目機能
「Ubuntu Desktop 23.10」の注目機能を紹介します。1. デスクトップ
「Ubuntu Desktop 23.10」では最新の「GNOME 45」が採用されています。1-1. GNOME 45
「GNOME 45」ではワークスペースを切り替えるワークスペースインジケーターの搭載や、フルハイトのサイドバーが採用され、使いやすさが向上しています。またアクティビティオーバービューやアプリのパフォーマンスが向上しています。
「GNOME 45」の新機能と変更点は、以下を参照してください。
1-2. ウィンドウのタイリング
「GNOME 45」とは別に「Ubuntu Desktop 23.10」では、キーボード操作によるウィンドウのタイリング機能が導入されました。デスクトップ全体を2分割や4分割にして、アプリのウィンドウを配置できます。
ウィンドウのタイリング設定は、「設定」アプリの「Enhanced Tiling」から変更できます。
ちなみにデフォルトのキーボードショートカットキーは、以下のようになっています。
2. 新しいアプリケーションストアアプリ
新しいアプリケーションストアが導入されました。「App Center(アプリセンター)」は新規に開発された新しいアプリケーションストアアプリであり、従来の「Ubuntu Software(Snap Store)」を置き換える新しいアプリケーションストアです。
アプリケーションストアはアプリの検索やインストール、アンインストールなど、アプリを管理するためのアプリです。
3-1. 高速に、そして使いやすく
「App Center」はSnapとdebパッケージをサポートし、高速にそして優れた使い勝手を提供しています。「App Center」上で検索可能なSnapアプリやそのアプリの情報は、「Canonical」が管理する「Snap Store」から取得した情報(メタデータ)を活用しています。
3-2. 新しいアプリの評価システム
「App Center」では新しいアプリの評価システムも導入されています。今後Snapのメタデータやユーザーの評価を組み合わせ、「最も人気のある」アプリを表示するカテゴリーや「最近アップデート」されたアプリを表示するカテゴリーなど、アプリのナビゲーションを支援する機能が追加される予定です。
3. Firmware Updater
「Firmware Updater」はデバイスのファームウェアをアップデートするためのアプリです。例えばPCのUEFIファームウェアがこれに該当します。
今までファームウェアのアップデート機能は「Ubuntu Software」が担っていましたが、今回「Firmware Updater」が単独アプリとして導入されました。
これによりファームウェアのアップデート機能を利用するために、バックグラウンドで完全なUbuntu Software(Snap Store)」を起動したままにしておく必要がなくなり、システムリソースへの負担が軽減されました。
4. TPMによるFDE
「Ubuntu Desktop 23.10」で「TPM(Trusted Platform Module)」を利用した「Full Disk Encryption(FDE)」が試験的にサポートされました。これにより「TPM」によるストレージの暗号化が可能になりました。
詳細は以下を参照してください。
5. 管理ツールの統合
管理者が利用する管理ツールが統合され、管理コストが削減されました。5-1. Netplanの導入
「Ubuntu Server」では以前から管理者がネットワーク構成を定義する時に「Netplan」を活用してきました。「Ubuntu Dekstop 23.10」でもネットワーク構成の定義に「Netplan」が利用されるようになりました。
これにより管理者はデスクトップとサーバーのネットワーク構成を定義する時に、同じ手法を用いてネットワーク構成を定義できるようになりました。
5-2. 証明書の自動登録
「Windows Server」は「Active Directory」でグループポリシーを利用して証明書をクライアントに自動登録する機能を提供しています。「Ubuntu」の「Active Directory」クライアントである「ADSys」でこの機能に対応しました。
これにより「Wi-Fi」や「VPN」利用時に、手動で証明書の登録作業を省けるようになります。
ちなみに「ADSys」を利用するには「Ubuntu Pro」との契約が必要です。
5-3. フリート管理の改善
フリート管理を改善するため「Ubuntu Pro」クライアントは追加ガイダンス付きのLandscape登録ウィザードを提供するようになりました。これにより大規模なLandscapeへの登録が従来よりも簡単になりました。
詳細は「pro enable landscape」コマンドを確認してください。
6. Ubuntu Desktop Installerの改善
「Ubuntu Desktop Installer」が改善されました。6-1. プリインストールアプリの選択
プリインストールするアプリセットを選択する画面では、従来の最小インストールに相当する「Default Installation」と従来の通常インストールに相当する「Full Installation」を選択できます。この選択肢のデフォルトが従来の最小インストールに相当する「Default Installation」に変更されました。
6-2. ZFSの試験的なサポート
「Ubuntu Desktop Installer」で「Ubuntu Desktop」を「ZFS」上にインストールする機能が試験的にサポートされました。「Ubuntu Desktop Installer」ではインストーラーのバックエンドに「Subiquity」を採用していますが、この機能は「Subiquity」にとって初めてのサポートになります。
現状この機能を利用して「ZFS」上に「Ubuntu Desktop」をインストールする場合、ボリュームの暗号化はサポートされていません。
ボリュームを暗号化してインストールする機能は、将来の「Ubuntu Desktop Installer」でサポートされる予定です。
7. Raspberry Pi 5のサポート
「Ubuntu 23.10」で「Raspberry Pi 5」がサポートされました。「Raspberry Pi 5」で「Ubuntu Desktop 23.10」をインストールできます。