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Ubuntu 24.10 その9 - Linux kernel の採用方針の変更・従来の方針と最新版を求めるユーザー(Part 1)

Ubuntu で採用する Linux kernel のバージョン

Ubuntu で採用する Linux kernel の採用方針を紹介します。


  • Kernel Version Selection for Ubuntu Releases

気になる Linux kernel のバージョン

新バージョンの Ubuntu のリリースが近づくに連れ、その新バージョンの Ubuntu で採用される Linux kernel のバージョンはいくつのなるのか。
それはユーザーにとって関心事の一つだと思います。

Linux kernel のバージョンが新しくなれば、サポートされるハードウェアが拡大されるだけでなく、特定のユースケースやプラットフォームで活用可能な新機能が追加されることもあります。

とにかく最新版の Linux kernel を採用して欲しいと思うユーザーは多いかと思います。
しかし必ずしも Ubuntu に最新版の Linux kernel が採用されるとは限りません。

誰が決めているのか

Ubuntu で採用する Linux kernel のバージョンは、Canonical のカーネルチーム(以下 CKT)が決定しており、CKT は Ubuntu で利用可能な Linux kernel に対して様々な責務を負います。
CKT は Ubuntu で提供する Linux kernel に関連する全ての事柄を対象にしており、広範な作業を行っています。

Ubuntu の各バージョンで提供する Linux kernel のバージョン選択はもちろんのこと、Linux kernel の準備やリリース、そして継続的なメンテンナンスまで、CKT がそのすべての道筋を担当しています。

常に最新版でええやん

そう思うユーザーは多いでしょう。

しかし Ubuntu はカジュアルユーザーやコンシューマーの分野で活用されるだけでなく、様々な企業や産業などエンタープライズの分野でも活用されている OS です。
そのため気軽に最新版の Linux kernel を採用し続ければ良い、というわけには行きません。

また Linux kernel そのものは Ubnutu や Canonical が開発しているソフトウェアではなく、アップストリームで開発されているソフトウェアです。

  • The Linux Kernel Archives

そもそも組織及びプロジェクトが異なるため、それぞれのスケジュール方針も異なります。
ではまずアップストリームのスケジュール方針から見てみましょう。

アップストリームのスケジュール方針

アップストリームのスケジュール方針はどうなっているのでしょうか。

寛容なスケジューリング

アップストリームのリリースプロセスでは、割と寛容なスケジューリングを行っています。
つまりリリーススケジュールに余裕や幅をもたせています。

  • 2.1. The big picture

2ヶ月から3ヶ月の間隔で次期メジャーバージョンの Linux kernel をリリースする方針です。
ただ実際のリリーススケジュールには流動性があり、不具合などリリースを妨げるような問題が発生した場合は、その修正に合わせてリリーススケジュールが調整されることもあるでしょう。

Ubuntu のスケジュール方針

次に Ubuntu のスケジュール方針はどうなっているのでしょうか。

この日に出すと言ったら出す

Ubuntu は半年に一度リリースされます。
Ubuntu のスケジュールは半年以上前に決められ、その中で Ubuntu のリリース日も決定されます。
例えば Ubuntu 24.10 のリリース日は、2024年10月10日と定められています。

  • Ubuntu 24.10の開発始まる・Ubuntu 24.10の開発コードとリリーススケジュール

Linux kernel と対照的に Ubuntu は、リリーススケジュールに厳格に沿います。
そのため致命的な問題など余程のことがなければ、リリーススケジュール通りに Ubuntu がリリースされます。

リリーススケジュールが異なる

というわけで上記のように Ubuntu と Linux kernel のスケジュール方針は異なっています。

そんな都合よくリリースされない

Ubuntu の都合に合わせて Linux kernel がリリースされることはありません。
そのため Ubuntu と Linux kernel のリリース日がたまたま同じ日になったり、あるいはお互い似たような日にリリースされることもあります。

Linux kernel はリリースできると判断された時にリリースされる性質を持つため、準備が整っていないと判断された場合は、予定されていたスケジュールよりも遅くなるケースもあります。

CKT の経験則

CKT の経験に基づくと、アップストリームでリリースされた Linux kernel が Ubuntu で安定した Linux kernel として採用できると判断できるようになるまで、アップストリームで Linux kernel がリリースされてから約1ヶ月かかります。

そのため Ubuntu の都合と照らし合わせると、アップストリームのリリース日が Ubuntu のリリース日の4週間前以内になるだろうと想定できる場合、その Linux kernel の採用に問題が発生します。
仮に Ubuntu のリリース日がスケジューリングされてから数週間後にリリースされると想定できたとしても、リリース日に流動性があるため採用に問題が発生することすらあります。

Ubuntu 24.10 がまさにそう

Ubuntu 24.10 がまさにこの状況です。
アップストリームの Linux kernel 6.11 のリリース日と Ubuntu 24.10 のリリース日が同じか近い日になることが予想されています。


さてここで CKT はどうするのでしょうか。

  1. すでにリリース済みの Linux kernel 6.10 を採用する?
  2. Linux kernel 6.11 を採用して Linux kernel 6.11 の安定性や品質評価の期間を短くし、Ubuntu 24.10 のリリースに間に合わせる?
  3. Ubuntu 24.10 のリリース日を遅らせて、 Linux kernel 6.11 を採用する?

今までの様子見アプローチ

今まで CKT は Linux kernel のバージョンを選択する際、いわゆる様子見しながらバージョンを選択する保守的なアプローチをとってきました。

暫定的なバージョンの選択

Linux kernel の安定性が十分かどうか判断するのに約1ヶ月かかりますから、それを勘案しほぼ確実に Linux kernel のリリース日が Ubuntu のスケジュールに合うと判断できた時は、その Linux kernel のバージョンを暫定的なバージョンとして採用します。
特に問題がなければそのまま採用バージョンとして採用されます。

余裕があれば、さらに新しいバージョンを選択

もし Ubuntu のスケジュールに余裕があると判断できた場合は、さらに新しいバージョンが選択されることもあります。

安定性は高まるが・・・

このアプローチは Ubuntu に搭載する Linux kernel の安定性確保に注力できるアプローチですが、その一方でどうしても最新版ではないバージョンの Linux kernel が採用されてしまうケースもあります。

そのため新しいハードウェアを搭載しているユーザーや、ベンダーが提供した実装が含まれていない Linux kernel のバージョンが選択されてしまった時に、そのユーザーやベンダーから不評を買っていました。

ええよ、ほな最新版で行こうや

というわけで CKT から大胆で新しい方針が出されました。
ではその新しい方針を見てみましょう。
以下に続きます。

  • Linux kernel の採用方針の変更・Ubuntu と Linux kernel のスケジュールの兼ね合い(Part 2)

Ubuntu
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