kledgeb UbuntuやLinuxの最新情報を紹介

Ubuntu 12.04 印刷 その1 - 印刷と印刷画面・サーバーの設定

印刷

  Ubuntuでは、システム設定の「印刷」でプリンターの管理を行います。
  印刷システムはMac OS Xと同じくCUPSを採用しています。
  ちなみに現在CUPSは、Appleに買収されAppleにより開発されています。

  WindowsやMac OS Xと比較して

    UIは親切ではありませんし、機能が一部省かれていることもあります。

    Mac OS XでCUPSを採用しているとはいえ、各メーカーがプリンターの性能を活かせるよう、それぞれのOSに適したドライバーを提供しているため、多くの機能や使いやすさが実現されています。
    もちろんOSもそれらが実現できるように設計されています。

    残念ながらUbuntuでは、同程度の機能や使い勝手を期待しないほうが良いでしょう。
    またプリンターの設定において、利用しているプリンターの仕様や知識が必要になることがあります。

  CUPSデーモン

    CUPSではCUPSデーモンがバックグラウンドで動作しており、このデーモンがプリンターの管理を行なっています。
    従って「システム設定」の「印刷」は、CUPSデーモンのフロントエンドという事になります。

  CUPSのバージョン

    デフォルトでインストールされるCUPSのバージョンは以下の通りです。

    Ubuntu 12.04

      CUPS 1.5.3

    Ubuntu 12.10

      CUPS 1.6.1

  印刷画面の表示

    「システム設定」を起動し、「印刷」をクリックします。


印刷画面

  以下の画面が表示されます。
  この画面からプリンターの追加と削除やプリンターの設定等を行います。


  追加ボタン

    プリンターやクラスを追加します。

  更新ボタン

    プリンタ一覧を更新します。
    共有プリンタは自動検出できるため、表示されない時は更新してみてください。

  フィルタ

    プリンター一覧で表示するプリンターを絞りこみます。
    部分一致です。

  プリンター一覧

    登録(追加)されたプリンターや、検出された共有プリンターの一覧です。

サーバーの設定

  サーバーとはCUPSデーモンのことです。
  共有プリンターの公開やリモートによる管理などの設定を行います。

  この画面で設定を行うと「/etc/cups/cupsd.conf」ファイルが更新され、CUPSデーモンが再起動します。

  「lpadmin」グループについて

    「lpadmin」グループに属するユーザーがCUPSデーモンに対して操作を行うことができます。
    従って「lpadmin」グループに属するユーザーがいないと、設定を変更することができません。

    どのユーザーが「lpadmin」グループに属しているか、あるいは「lpadmin」グループに属するユーザーを変更したい場合は、「グループを管理する」を参考にグループの設定を確認・変更してください。

  ユーザー認証について

    ログインしているユーザーが「lpadmin」グループに属していないと、以下のようなユーザー認証画面が表示されます。


    この画面が表示されたら、「lpadmin」グループに属するユーザーとそのユーザーのパスワードを入力して、「OK」ボタンをクリックしてください。

    ちなみにUbuntuでは「root」アカウントが無効にされているため、「root」で認証を行うことはできません。

  サーバー設定画面の表示

    「サーバー」メニューから「設定」をクリックします。


    ユーザー認証の画面が表示された場合は、「lpadmin」グループに属するユーザー名とパスワードを入力します。

  以下の画面が表示されます。


  他のシステムで共有されているプリンターを表示する

    他のPCで共有されているプリンターを表示します。
    表示できるプリンターは、同じサブネットに属するPCの共有プリンターです。

    異なるサブネットに属するPCの共有プリンターを表示するには、「サーバーを閲覧」にPCのIPアドレス(ホスト名)を指定する必要があります。

    チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
    他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。

      # Allow remote access
      Port 631
      Browsing On
      BrowseOrder allow,deny
      BrowseAllow all
      BrowseRemoteProtocols CUPS dnssd

  このシステムに接続されている共有プリンターを公開する

    他のPCにこのPCで共有されているプリンターを公開します。

    チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
    他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。

      # Allow remote access
      Port 631
      Browsing On
      BrowseOrder allow,deny
      BrowseAddress @LOCAL
      BrowseLocalProtocols CUPS dnssd

      <Location />
        # Allow shared printing...
        Order allow,deny
        Allow @LOCAL
      </Location>

  インターネットからの印刷を許可する

    外部ネットワークからの共有プリンターへのアクセスを許可します。

    チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
    他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。

      <Location />
        # Allow shared printing...
        Order allow,deny
        Allow all
      </Location>

    注意(2013/2/3)

      このチェックをオンにし設定を保存した後に、再度チェックをオフにし設定を保存しても「Allow all」が記述されたままになります。
      元の設定戻すには、その状態で「このシステムに接続されている共有プリンターを公開する」をオフにして設定を保存してください。
      再度「このシステムに接続されている共有プリンターを公開する」をオンにすれば「Allow @LOCAL」が記述されます。

  リモート管理を許可する

    別のPCからサーバーの設定やプリンターの管理を行えるようにします。  

    チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。
    他の設定と重複する設定は、各設定を有効にする記述になります。

        # Only listen for connections from the local machine.
        Listen localhost:631
        <Location />
          # Allow remote administration...
          Order allow,deny
          Allow @LOCAL
        </Location>
        <Location /admin>
          # Allow remote administration...
          Order allow,deny
          Allow @LOCAL
        </Location>
        <Location /admin/conf>
          AuthType Default
          Require user @SYSTEM
          # Allow remote access to the configuration files...
          Order allow,deny
          Allow @LOCAL
        </Location>

  ユーザーにジョブのキャンセルを許可する

    通常は印刷を実行したユーザーか、「lpadmin」グループに属するユーザーのみがその印刷処理をキャンセルできます。
    このチェックをオンにすると、他のユーザーでもその印刷処理をキャンセルすることができます。

    チェックをオンにすると、設定ファイルの以下の記述が削除されます。

        <Policy default>
          # Only the owner or an administrator can cancel a job...
          <Limit Cancel-Job>
            Order deny,allow
            Require user @OWNER @SYSTEM
          </Limit>
        </Policy>

  トラブルシュート

    エラーログにCUPSデーモンの動作情報を出力します。
    エラーログは「/var/log/cups/error_log」です。

    チェックをオンにすると、設定ファイルに以下の記述が行われます。

        LogLevel debug

  ジョブ履歴

    ジョブとは印刷処理のことです。

    ジョブ履歴を保持しない

      ジョブ履歴を保持しません。

    ジョブ履歴は保存し、ファイルでは保存しない

      ジョブ履歴は保存しますが、印刷データは保存しません。

    ジョブファイルを残す(再印刷が可能)

      ジョブ履歴と印刷データを保存します。
      印刷データも残すため、あとで再度印刷することができます。

      印刷データを保存するとHDDの使用量が増えるので、注意してください。
 

  サーバーを閲覧

    通常異なるサブネットに属するサーバー(PC)の共有プリンタは、表示することができません。
    ここにサーバーのIPアドレスやホスト名を追加することで、異なるサブネットに属するサーバーの共有プリンタを表示させることができます。

    注意

      この項目を設定するには、「他のシステムで共有されているプリンターを表示する」が有効になっている必要があります。
      「他のシステムで共有されているプリンターを表示する」にチェックを入れただけではダメで、一度設定を保存し再度この画面を表示してください。

    「追加」ボタン

      サーバーを追加します。
      ボタンをクリックすると、以下のように項目が追加されます。


      サーバーのIPアドレスかホスト名を入力します。


      ブロードキャストアドレスを指定することもできます。
      ブロードキャストアドレスを指定すると、そのサブネットに属するPCの共有プリンターを表示することができます。
      上記の場合、「192.168.57.10/24」なので「192.168.57.255」と入力します。

    「削除」ボタン

      選択されたサーバーを削除します。

  「OK」ボタン

    設定を保存し、この画面を閉じます。
    また、CUPSデーモンを再起動します。
 

  「Cancel」ボタン

    設定を保存せず、この画面を閉じます。


システム設定 , プリンター , 印刷
スポンサー
コメント
コメントポリシー
コメントをする前に UbuntuのCode of Conduct(CoC/行動規範) を確認し、CoCに沿ったコメントをお願いします。
コメントの使い方は、コメントの使い方を参照してください。
同一カテゴリーの記事
SNS
人気の記事
  • Ubuntu 22.04 その98 - 入力ソースとキーボートレイアウトと日本語入力のカスタマイズ
    入力ソースとキーボートレイアウトと日本語入力 「Ubuntu」ではユーザーが利用しているキーボードレイアウトや日本語入力のカスタマイズが可能です。
  • WSL その219 - WSL 2のLinux kernelをアップデートするには・Linux kernelのバージョンを調べるには
    WSL 2のLinux kernelをアップデートするには 「WSL 2」の「Linux kernel」をアップデートする方法です。
  • Ubuntu 22.04 その99 - 日本語入力(Mozc)の設定をカスタマイズして作業効率を上げよう
    日本語入力(Mozc)の設定をカスタマイズするには 「Ubuntu」では日本語入力に「Mozc」を採用しています。
  • Ubuntu 22.04 その64 - Windows/Linux/macOSでUbuntu 22.04 LTSのライブUSBメモリーを作るには
    Ubuntu 22.04 LTSのライブUSBメモリーを作る方法 Windows/Linux/macOSでPC向け「Ubuntu 22.04 LTS」のライブUSBメモリーを作る方法を紹介します。
  • Ubuntu 20.04 その74 - UbuntuとUEFIセキュアブート
    UbuntuとUEFIセキュアブート 「Ubuntu」と「UEFIセキュアブート」に関するお話です。
  • Ubuntu 22.04 LTSのインストール その5 - UEFI環境でパーティションの作成と構成 〜 ブートローダーのインストール先の選択
    UEFI環境でパーティションの作成と構成を行う UEFI環境でパーティションの作成と構成を行います。
  • Ubuntu 22.04 その120 - UbuntuのブートローダーをBoot Repairで修復するには・Ubuntuが起動しないトラブルを解決
    UbuntuのブートローダーをBoot Repairで修復するには 「Boot Repair」はOSのブートローダーに起因するOSが起動しない問題を簡単に解決してくれるアプリです。
  • Ubuntuのバージョンと開発コードの対応表
    バージョンと開発コード 「Ubuntu」には各バージョンごとに開発コードが設定されます。
  • Ubuntu 24.04 その1 - Ubuntu 24.04 LTSのリリーススケジュール
    Ubuntu 24.04 LTSのリリーススケジュール 「Ubuntu 24.04 LTS」のリリーススケジュールを紹介します。
  • Ubuntu 22.04 その107 - ローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有するには
    ローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有するには 「ファイル(Nautilus)」アプリはファイルマネージャーです。 「ファイル」はローカルネットワーク上でフォルダーやファイルを共有する仕組みを提供しており、簡単に他のPCとフォルダーやファイルをやりとりできます。
記事のピックアップ
オプション