既定のフォルダーの変更
ユーザーのホームフォルダー内に作成される既定のフォルダーを変更します。ここでは以下の方法を記述します。
- user-dirs.dirsを直接編集
- 言語環境に合わせてフォルダー名を変更
- 言語設定を変更してフォルダー名を変更
- 既定のフォルダーのパスを変更
注意
基本的にフォルダー名やフォルダーのパスを変更する必要はありません。影響範囲が不明な場合は、変更しないでください。
user-dirs.dirsを直接編集
「user-dirs.dirs」ファイルを直接編集します。ファイルフォーマット
「#」で始まる行はコメント行で、無視されます。1行に既定のフォルダーを1つ記述します。
「UTF-8」で保存します。
キーのフォーマット
キーのフォーマットは以下のようになっています。XDG_フォルダーのキー_DIR
パスのフォーマット
パスのフォーマットは以下のようになっています。"フォルダーのパス"
「$HOME」はユーザーのホームフォルダーである「~」を表します。
後はキーとパスを「=」で繋げばOKです。
言語環境に合わせてフォルダー名を変更
前回記述した通り、既定のフォルダーのフォルダー名は言語環境に応じて異なります。異なる言語環境のフォルダー名を利用したい場合、「xdg-user-dirs-gtk-update」を利用します。
フォルダー名に適用したい言語環境で「xdg-user-dirs-gtk-update」を実行します。
ここでは例として日本語環境で英語環境のフォルダー名に変更してみます。
1.現状の確認
日本語環境なので、以下のように既定のフォルダー名は日本語になっています。2.フォルダー名の変更
「端末」を起動し以下のコマンドを実行します。LANGUAGE=言語 LANG=言語.UTF-8 xdg-user-dirs-gtk-update
今回は英語なので、言語は「en_US」になります。
従って実際に実行するコマンドは以下になります。
LANGUAGE=en_US LANG=en_US.UTF-8 xdg-user-dirs-gtk-update
LANGUAGEについて
LANGUAGEはUIの言語を指定する環境変数です。LANGについて
LANGはLocaleの環境変数のデフォルト値を定義する環境変数です。Localeの環境変数(LC_*)を指定している場合は、そちらの設定が優先されます。
3.変更確認
コマンドを実行すると、以下のように確認画面が表示されます。「Update Names」ボタンをクリックします。
4.変更完了
以下のようにフォルダー名が変更されます。フォルダー名変更前のフォルダー内にファイルが存在する場合は、そのフォルダーは削除されず残ったままになります。
フォルダー内のファイルを移動するなり削除するなりして、変更前のフォルダーを削除するとよいでしょう。
端末の実行結果
端末にも実行結果にフォルダー名の変更結果が表示されます。user-dirs.dirs
「user-dirs.dirs」ファイルを確認すると、変更後のフォルダー名が記述されています。user-dirs.locale
「user-dirs.locale」ファイルを確認すると、変更後の言語が記述されています。元に戻すには
上記の方法で変更したフォルダー名をもとに戻すには、「xdg-user-dirs-gtk-update」を端末から実行してください。同じように以下の画面が表示されるので、「名前を更新する」ボタンをクリックします。
以下のようにフォルダー名が元に戻ります。
アプリを実行しても何も表示されない場合は
「次回から表示しない」にチェックを入れて画面を閉じた場合、「xdg-user-dirs-gtk-update」を実行しても画面に何も表示されません。対処方法 その1
端末から以下のコマンドを実行します。このコマンドでもフォルダー名を変更できます。
LANGUAGE=言語 LANG=言語.UTF-8 xdg-user-dirs-update --force
今回の例では、以下のコマンドになります。
LANGUAGE=en_US LANG=en_US.UTF-8 xdg-user-dirs-update --force
「xdg-user-dirs-gtk-update」は「xdg-user-dirs-update」のフロントエンドです。
ちなみにこのコマンドを実行すると、「user-dirs.locale」ファイルが作成されます。
元に戻す場合は、以下のコマンドを実行します。
xdg-user-dirs-update --force
対処方法 その2
「user-dirs.locale」ファイルを自分で作成します。ファイルの中身は現在の言語を記述します。
英語なら「en_US」、日本語なら「ja_JP」と記述します。
ファイルを保存したら再度「2.」から実行します。
Localeの環境変数を指定している場合
自分で「LC_*」の環境変数を指定している場合も、画面に何も表示されません。上記の「xdg-user-dirs-update」コマンドを試してみるか、Locale関係の環境変数を該当する言語に設定もしくはリセットして、上記で紹介した方法を実行してください。
言語設定を変更してフォルダー名を変更
上記は「xdg-user-dirs-gtk-update」を直接実行する方法を紹介しましたが、そもそも言語設定を変更すればログイン時の「xdg-user-dirs-gtk-update」を経由してフォルダー名の変更と固定が可能です。ここでも例として日本語環境で英語環境のフォルダー名に変更してみます。
1.言語サポート(言語タブ)
「システム設定」から「言語サポート」を起動し、フォルダー名に使用したい言語に変更します。あとで設定を元に戻すので、現状の設定を覚えておきます。
ここでは「English (United States)」をリストの一番上に持ってきて、「日本語」を「English」よりも下に移動しグレー表示にします。
2.地域フォーマット
次に「地域フォーマット」のタブをクリックし、「English (United States)」を選択します。あとで設定を元に戻すので、現状の設定を覚えておきます。
3.フォルダー名の変更
再ログインするか、PCを再起動します。ログイン後に以下の画面が表示されるので、「Update Names」ボタンをクリックします。
これで既定のフォルダー名が変更されます。
この画面が表示されない場合は
上記の「アプリを実行しても何も表示されない場合は」の「対処方法 その2」を参考にしてください。4.言語設定を元に戻す
「1.」と「2.」で変更した言語設定を元の設定に戻します。再ログインするか、PCを再起動します。
5.フォルダー名の変更確認
再度以下の確認画面が表示されるので、「次回から表示しない」をオンにし「古い名前のままにする」ボタンをクリックします。既定のフォルダーのパスを変更
既定のフォルダーのパスを変更します。ここでは例として、ドキュメントフォルダーのパスを変更してみます。
1.コマンドの実行
フォルダーのパスを変更するには、以下のコマンドを端末で実行します。xdg-user-dirs-update --set キー フォルダーのパス
ドキュメントフォルダーのキーは「DOCUMENT」です。
今回フォルダーのパスは「~/ユーザー固有のフォルダー/マイドキュメント」にしました。
従って以下のコマンドを実行します。
xdg-user-dirs-update --set DOCUMENTS '/home/ubuntu/ユーザー固有のフォルダー/マイドキュメント'
2.変更完了
「user-dirs.dirs」ファイルを確認すると、「XDG_DOCUMENTS_DIR="$HOME/ユーザー固有のフォルダー/マイドキュメント"」と変更されています。Nautilusで確認すると、以下のようにブックマークが「マイドキュメント」に変更され、 ブックマークの「マイドキュメント」をクリックすると「~/ユーザー固有のフォルダー/マイドキュメント」に移動します。