mdadmの特徴
「mdadm」は「MDドライバー」を操作するコマンドです。Linux上でソフトウェアRAIDの作成や管理を行うことができます。
「MDドライバー」Linux上で動作しソフトウェアで論理ボリュームを作成するため、フェイクRAID(これもソフトウェアRAIDに分類される)やハードウェアRAIDと比較し、より柔軟でLinuxと親和性のある論理ボリュームを利用することができます。
アレイを構成する物理ボリューム
アレイを構成する物理ボリュームは、HDD全体を対象にすることも、既存のパーティションを対象にすることもできます。例えばHDD全体を対象にし、「sda」と「sdb」で「RAID 0」の論理ボリュームを作成することも、「sda1」と「sdb1」で「RAID 0」の論理ボリュームを作成することもできます。
物理ディスクの種類や接続形態は何でも良い
物理ディスクの接続形態には、主流である「SATA」や以前使われていた「IDE」と言った接続形態があります。「mdadm」は、これらの接続形態を気にすることなく利用できます。
「SATA」で接続された物理ディスクと「IDE」で接続された物理ディスクを組み合わせて、アレイを作成することができます。
また、「HDD」や「SSD」と言った物理ディスクの種類も気にすることなく利用できます。
「HDD」と「SSD」を組み合わせて、アレイを作成することができます。
アレイからアレイを作ることができる
作成済みのアレイから、新たなアレイを作成することができます。例えば物理ボリュームから「RAID 0」アレイを2つ作成し、その「RAID 0」アレイから「RAID 1」アレイを作ることができます。
このアレイは「RAID 01(RAID 0+1)」アレイになります。
パーティションでアレイを構成するかディスクでアレイを構成するか
上記でも記述した通り「mdadm」は、HDD全体もしくは既存のパーティションをアレイの対象にすることができます。どちらの構成でも問題ありません。
この違いによるパフォーマンスへの影響はありません。
ただどちらかというと、パーティションでアレイを作成したほうが、融通を利かせやすいかと思います。
mdadmのインストールと確認
「mdadm」をインストールと確認を行います。1.mdadmのインストール
「Ubuntu ソフトウェアセンター」を起動し、「mdadm」で検索します。「インストール」ボタンをクリックします。
2.PCの再起動
MDドライバーを読みこませるため、PCを再起動します。3.カーネルモジュールの確認
MDドライバーが読み込まれているか、確認します。「端末」を起動し、以下のコマンドを実行します。
lsmod | grep raid
以下のように一番左の列に「raid10」等が出力されていればOKです。
「/proc/mdstat」ファイルが作成されます。
中身を開くと以下のようになっています。
「Personalities」の行に、サポートされているアレイの種類が表示されます。
MDドライバーがサポートするアレイの種類
「MDドライバー」がサポートするアレイの種類は以下のとおりです。アレイの種類 | 復旧可能かどうか | HDDの必要台数 |
---|---|---|
RAID 0 | 復旧不可 | 2台以上 |
RAID 1 | HDDが1台稼働していれば復旧可能 | 2台以上 |
RAID 4 | HDDの故障が1台なら復旧可能 | 3台以上 |
RAID 5 | HDDの故障が1台なら復旧可能 | 3台以上 |
RAID 6 | HDDの故障が2台までなら復旧可能 | 4台以上 |
RAID 10 | 設定による | 設定による |
リニア (LINEAR) |
復旧不可 | 2台以上 |
マルチパス (MULTIPATH) |
ー | ー |
コンテナー (CONTAINER) |
設定による | 設定による |
フォルティー (FAULTY) |
ー | ー |
以前記述しましたが、RAIDアレイにRAIDアレイを作成すれば、「RAID 01」アレイ等を作成することができます。
注意
すべてのアレイの種類が利用できるわけではありません。Ubuntuでは、フォルティー用のカーネルモジュールはデフォルトで読み込まれません。
必要であれば、自分でカーネルモジュールを読み込む必要があります。