スキャナーの検出やスキャナーのテストを行う
前回「SANE」とドライバーのインストールを紹介しました。スキャナーをPCに接続すれば、スキャナーをアプリから利用することができます。
後はスキャナーを利用するアプリ(SANEに対応したアプリ)を用意するだけです。
スキャナーの検出を行う
Ubuntuでは、「システム設定」の「プリンター」のように、スキャナーをGUIで管理するソフトウェアはありません。スキャナーの登録などの作業は必要ありません。
「SANE」とドライバーをインストールした後、スキャナーをPCに接続するだけです。
ただ、スキャナーをPCに接続しても何もおきないため、一見しただけではスキャナーが利用できるのかどうか分からないでしょう。
ここではスキャナーを利用する前に、「SANE」からスキャナーが検出できるかどうか調べる方法を紹介します。
もし接続したスキャナーに対応したバックエンドが見つかれば、スキャナーが検出されます。
スキャナーのテストを行う
「SANE」からスキャナーが検出できたら、次に実際にスキャンできるかテストします。「SANE」からスキャナーが検出できれば、アプリからスキャナーを利用することができるため、SANEに対応したアプリからスキャンを実行してもよいでしょう。
ただアプリの使い方を把握する必要があるため、もしスキャンに失敗した場合、アプリの使い方に問題があるのか、アプリに問題があるのか調べるのは大変です。
ここでは「端末」から簡易スキャンを行い、スキャナーが利用できるかどうかテストを行います。
SANEユーティリティーのインストール
スキャナーの検出やテストを行うために、「SANEユーティリティー」をインストールします。「インストール」ボタンをクリックします。
補足
Ubuntuでは、標準でインストールされています。スキャナーの検出を行う
スキャナーの検出を行います。事前にスキャナーをUSBで接続し、電源を入れておきます。
またスキャナーのモデル名(製品名)を確認しておきます。
ここでは使用するスキャナーのモデル名は、「PX-A620」です。
USB接続です。
1.USBデバイスとして認識されているかどうか調べる
スキャナーを検出するにあたり、まず、そもそもスキャナーがOSにUSBデバイスとして認識されているかどうかを調べます。「端末」を起動し、以下のコマンドを実行します。
lsusb
コマンドを実行すると、以下のように現在OSに認識されているUSBデバイスの一覧が表示されます。
この一覧からスキャナーが検出されている行を探します。
上記では以下の行になります。
Bus 002 Device 007: ID 04b8:082f Seiko Epson Corp. PX-A620 [Stylus CX3900/DX4000/DX4050]
この行から以下のことが分かります。
項目 | 情報 |
---|---|
USBバス番号 | 002 |
USBデバイス番号 | 007 |
ベンダーID | 04b8 |
プロダクトID | 082f |
USBデバイス情報 | Seiko Epson Corp. PX-A620 [Stylus CX3900/DX4000/DX4050] |
USBバス番号とUSBデバイス番号
「USBバス番号」と「USBデバイス番号」は、接続したUSBデバイスの経路を表すものなので、刺すUSBポートにより変わります。環境によって異なります。
ベンダーIDとプロダクトID
「ベンダーID」と「プロダクトID」は、製品を表す識別子なので、同じ製品なら同じ値になります。このうち「ベンダーID」は製造者を表すIDなので、EPSON製のスキャナーであれば「04b8」になります。
USBデバイス情報
USBデバイスの情報には、メーカー名やモデル名などが表示されます。2.スキャナーがUSBデバイスとして認識されていない場合
スキャナーがUSBデバイスとして認識されていない場合、OSからスキャナーを利用することができません。「SANE」以前の問題になります。
スキャナーの電源は入っているか、USBケーブルは断線していないか、USBポートは故障していないかなど、ハードウェアに問題がないか調べてみると良いでしょう。
3.SANEからスキャナーが認識されているかどうか調べる
スキャナーがOSにUSBデバイスとして検出されていることを確認したら、次に「SANE」からスキャナーの検出を行います。「端末」を起動し、以下のコマンドを実行します。
scanimage -L
コマンドを実行すると、以下のように「SANE」が検出した(=バックエンドが検出した)スキャナーの一覧が表示されます。
上記では、以下のように検出されています。
device `epson2:libusb:002:007' is a Epson CX4000 flatbed scanner
この行から以下のことが分かります。
項目 | 情報 |
---|---|
バックエンド名 | epson2 |
デバイスへのアクセス方法 | libusb |
USBバス番号 | 002 |
USBデバイス番号 | 007 |
スキャナー情報 | Epson CX4000 flatbed scanner |
ここでは「スキャナー情報」が海外のモデル名で表示されていますが、気にしなくて良いです。
いずれの項目も環境により異なります。
「SANE」で利用するスキャナーを指定する際、デバイスの識別子(上記では「epson2:libusb:002:007」)で指定するため、このデバイスの識別子を覚えておいてください。
以上でスキャナーの検出は完了です。
4.SANEからスキャナーが認識されていない場合
「SANE」からスキャナーが認識されていない場合、「SANE」に対応したバックエンド(ドライバー)がないため、「SANE」からスキャナーを利用できない状態です。使用している「SANE」及びUbuntuのバージョンに適合したドライバーをメーカーが提供しているなら、そのドライバーをインストールしてからもう一度同じ手順で確認してみてください。
スキャナーのテストを行う
「SANE」でスキャナーが検出されていることを確認したら、次に実際にスキャナーから画像をスキャンして、スキャナーの動作確認を行います。1.スキャンを行う
「端末」を起動し、以下のコマンドを実行します。
scanimage -p --format=tiff -d デバイスの識別子 > ~/scanimage.tiff
デバイスの識別子は、スキャナーの検出の「3.」で確認したデバイスの識別子を指定します。
従ってここの例では、以下のコマンドになります。
scanimage -p --format=tiff -d epson2:libusb:002:007 > ~/scanimage.tiff
スキャンが開始されます。
2.スキャンした画像
スキャンが完了すると、スキャンした画像が「~/scanimage.tiff」に保存されます。「画像ビューワー」で開くと、スキャンした画像が表示されます。